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マイ・ラスト・ソング

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2005年 01月 06日

拉致のキーパースンよど号犯妻

◆高沢皓司著のノンフィクション「宿命」はよど号ハイジャック犯の数奇な人生を辿った「スコぶる面白い」ノンフィクションである。へたなミステリ小説顔負けといってもいい。いまから30数年前、日航機よど号が平壌郊外の空港に着陸したときは、日本赤軍派の北朝鮮への亡命事件と思っていた。ところがそれは序章に過ぎず、ヨーロッパでの日本人留学生の拉致事件に関わってくるのである。この本では有本さんは実名であるが、石岡さんと松木さんはそれぞれIさん、Mさんになっている。
 いまの韓流ブームを思えば信じ難いことであるが、よど号事件当時は韓国のほうがカルト国家視されていた。朴軍事政権の人権抑圧問題が取り沙汰され、1973年には後に大統領になる金大中を東京で拉致する事件まで起こしている。一方北朝鮮のほうは1960年代から千里馬運動の「成功」を高らかに宣伝しており、まったく好対照にみえる両国であった。今では北朝鮮が楽園を偽装した収容所国家であることは知れ渡っているが、当時の日本人の多数はすっかり北のプロパガンダに騙されていたのである。岩波新書の「韓国からの通信」がベストセラーになり、韓国批判は盛り上がっても、北朝鮮の批判はさほどなかった。なにせ学校の先生が北朝鮮の発展を賛美する時代であり、わたしも欺かれていた。そうした今とはまったく異なる時代の空気の下で赤軍派の学生たち9人が“明日のジョー”を気取って軍事訓練を目的に北朝鮮に行ったのである。その後3人が死亡したとされ、1人は日本で服役中、1人は出所済み、そして4人がなお北に残っている。若者の挫折した冒険譚で終わるならばそれもよしであろうが、物語はいまも続いており、その残った4人の妻子等家族6人がこの夏までに日本に帰国するそうである。拉致のキーパースンよど号犯妻_b0036803_22225147.jpg
 このうちよど号犯の妻である森順子と若林佐喜子は拉致事件にからむ重要容疑者だ。拉致被害者のことは頬かむりして、自分らが先に帰国するとは身勝手きわまりない行為である。将来の金王朝の崩壊を見越した行動であろうが、黙秘して旅券法違反の軽罪で切り抜けられると思っているとしたら、人間として恥ずかしくないのだろうか。
 さて、冒頭紹介の著者高沢皓司は本件の取材で知り合ったよど号犯の元妻八尾恵と内縁関係になり、今は病床にあって八尾恵の看病を受けているらしい。続編を期待していただけに残念なことであるが、これもまた数奇な物語である。
◆冷え込みがきびしく、暖房していても寒くて震えがとまらない。使い捨てのミニかいろを4個肌着に貼り付けて出勤する。なんともはや、かつてのプレイボーイも台無しだね(苦笑)。

by chaotzu | 2005-01-06 22:32 | 時事


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