2005年 02月 09日
◆伝説的名狙撃手ボブ・リー・スワガーの4部作シリーズにつづき、今度は第二次大戦の英雄である父親のアール・スワガーもの1作目。いわば小説のスター・ウォーズ方式である。各作品があちこちで連携している。もちろん単独で読んでも差し支えはない。 作者はアメリカ版の大薮春彦といったところで、銃器マニアはたまらないだろう。ただ、大薮作品の主人公ほどの寂寞感はあまりみられない。 スワガー親子はどちらもとにかく強いの一語、エンタメ小説史上最強のキャラクターかもしれない。マフィア相手の死刑執行人シリーズといい勝負か。直接の戦闘力のみならず武器の操作、作戦立案能力、知力胆力すべてにおいて抜群で弱点はなく、おまけに美人の妻までいて嫉ましいというしかない主人公を造形して、ラストまで力業でおしきっている。さすがに気恥ずかしいのか、父親のトラウマも混ぜているがご愛嬌だろう。 作中にはかのラスヴェガス・フラミンゴホテルの“バグジー”・シーガルも登場するが、主人公アールにからむものの一発でKOされ、おまけにラストは悲惨な最期を迎えるというトホホ加減である。他の悪役もみな主人公の引き立て役であって、精一杯威嚇しようが恫喝しようがあるいは懐柔にかかろうが、みんな主人公に軽くあしらわれるのである。そして最後はおきまりのドンパチがあって、悪いやつらが叩きのめされる結末。それが分かっちゃいるけど面白い。ストレス解消にはお奨めだ。
by chaotzu
| 2005-02-09 23:59
| 読書
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