2005年 02月 24日
◆扶桑社文庫、公手成幸訳。太平洋戦争の勇者である元合衆国海兵隊員アール・スワガーもの二作目。 アメリカのディープ・サウス、ミシシッピ湿地帯にある謎の黒人刑務農場の殲滅戦、前作「悪徳の都」以上のドンパチぶりである。原題は「蒼ざめた馬が来る」、スワガー率いる“7人のガンマン”を蒼ざめた馬=死に喩えている。ガンマンはみな年輩者で、最高齢は80代というのは「スペース・カウボーイ」、饒舌寡黙さまざまのキャラ設定は「七人の侍」とあちこちの映画を参考にしているようだ。このほか老ガンマン(なんと任務完遂後に老衰死)の孫娘サリイ・マグリフィンも出色のキャラであり、いずれ再登場するかもしれない。 前半はスワガーがさんざん痛めつけられ、後半はたっぷりそのお返しをするという、おなじみのストレス解消パターンである。看守長のビッグボーイなど刑務所側の敵役が前半の精彩きわだつ悪玉ぶりに比べて、後半はあっけないほどのやっつけられぶりでちと物足りないが、刑務所長の正体や謎の医師などのミステリ趣向がそれを補っている。 しかし、黒人差別にはかなり批判的であるのに、黄色人種とくに日本人について侮蔑的な表現が散見されるのが、前作にひきつづき若干気になった。
by chaotzu
| 2005-02-24 23:59
| 読書
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