マイ・ラスト・ソング

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2005年 02月 25日

【読書】サラ・ウォーターズ「半身」 ネタバレ注

◆創元推理文庫、中村有希訳。2003年度ミステリ・ベストテンでトップ・ランキングされた作品である。途中まではどこがミステリ1位なのかと思わせたが、ラストに至ってなるほどと納得。b0036803_23402136.jpg
 19世紀後半ビクトリア朝ロンドンの女囚刑務所が舞台、テムズ河畔の石造監獄や霧のロンドンの陰鬱な雰囲気などビジュアル感ある描写ぶりはディケンズを彷彿させる出来映えであるが、なんと作者32歳時の作品である。イギリスはなぜこれほど若手女流作家を次々と輩出するのか、大衆文学の伝統力というものをつくづく感じさせる。日本でも宮部みゆきが「霊験お初捕物控」シリーズなど時代物を手がけているが、どこか違う。
 物語は同性愛傾向のある上流階級令嬢(30代の「老嬢」)と元霊媒師女囚の交流を軸にその2人の女性の日記を交互に紹介していく形式。前半はかなりとっつきにくい。
 原題はAffinity、相性のいい仲というかどこか中島みゆきの「二隻の舟」を連想せぬでもないが、その二隻の舟の正体が問題で(以下略)。とにかくあっといわせる結末であり、読者によってはアン・フェアと感じる向きもあるかもしれない。勘のいい人ならば、途中で過剰な技巧性ゆえの不自然さに気がつくだろう。
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by chaotzu | 2005-02-25 23:59 | 読書


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