2005年 03月 03日

【DVD】「BARで灯ともる頃」 うらやましい父子のドラマ

◆1989年イタリア映画、老境の父親と兵役中の息子との久々の再会を描いた映画であるが、アクション、色気なし、ほとんど父子の会話だけといった極めつけの地味映画である。若い頃なら見向きもしなかったろうし、テレビならばまず観ないドラマだ。
 ところがこれが案外面白いのである。自分が年とったせいかもしれないが、父親、息子それぞれの心情が痛いほど伝わってくる。自分の子供に関する情報をたまたま他人から聞くことがある、そのとき全然知らなかったことがあったりするとちょっとしたショックを受ける。マルチェロ・マストロヤンニの父親はその辺りの機微をうまく演じているし、息子役マッシモ・トロイージの誠実味ある演技も素晴らしい。b0036803_20561776.jpg
◆この映画が日本で公開されたのは製作後10年経った1999年だそうだ。で、その時はマストロヤンニとトロイージの両主役共すでに亡くなっているのである。配給会社の怠慢と云えるかもしれないが、バブル当時の公開であればさっぱり受けないまま雲散霧消してしまい、DVDで残るようにはならなかったかもしれない。いま現在でみれば、どこかギクシャクしながらもお互いに相手を思い遣っているこの父子は、うらやましいような親子関係である。
◆BAR(バール)というと、日本で云うバーをつい思ってしまうが、この映画をみると、軽食喫茶というか地域の溜まり場みたいなものらしい。なかなかいい雰囲気である。監督のエットーレ・スコラは「星降る夜のリストランテ」も監督しており、食物屋関係がよほど好きみたいだ。たしかに日常の哀歓を自然なかたちで表せる場である。これも地味ながらほのぼのする作品だった。
◆別のはなし
 まさか堤義明“容疑者”なんて呼ばれる時代がくるなんて思ってもいなかった。前社長の自殺で腹を括ったのだろうが、元凶は先代の堤康次郎の妄執にあるのではないか。こちらは歪みきった父子関係の悲劇である。
 しかし、今になって、新聞・テレビが「堤家の家訓」など報じているが、昔からとっくに承知していたことをしたり顔で報道するのも実にかっこ悪いというか情けないはなしだ。
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by chaotzu | 2005-03-03 21:22 | 外国映画


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