2005年 03月 04日
◆田口俊樹訳、ハヤカワミステリ文庫。ブロックの裏芸であるユーモア・ミステリ、泥棒バーニイ・シリーズの6作目。 スカダー・シリーズのほうが著名であるが、肩のこらないこっちのほうもときに読みたくなる。とはいっても、最後は登場人物を一堂に集めて主人公バーニイが謎解きするという、かつてエラリイ・クィーンなど古典ミステリでおなじみの結末を踏襲している。余裕綽々の語り口である。 ◆ミステリとしての出来はたいしたことないが、毎度サイド・ストーリーで読ませる。本作では野球カードをめぐる投機話と“猫おばさん”のはなしが面白い。 「ホークス・ワグナー。ピッツバーグ・パイレーツの遊撃手。野球殿堂入り。彼のカードが作られたのは1910年。ただ当時は風船ガムではなくてタバコのおまけだった」 「でもワグナーは煙草を吸わなかったので子供への悪影響を心配してカードを回収させた。その結果、希少価値が生れたわけだ」 「二、三年前のオークションで45万1千ドルという値がついたそうだ。今なら優に百万ドルはするって言ってた」 「“猫おばさん”たち。別にそうなろうと思ってなったわけじゃないはずよ。まず一匹目、次に二匹目、続いて三匹目と思っているうちに気がついたら猫だらけになってたんだと思う」 「三匹目の猫が猫おばさんになるかどうかの分かれ目というわけだ」
by chaotzu
| 2005-03-04 21:25
| 読書
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