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マイ・ラスト・ソング

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2005年 04月 08日

【読書】山田風太郎「戦中派動乱日記」

◆小学館刊、時代は昭和24~25年、まだ医学生も兼ねていた風太郎27、28歳当時の日常日記。備忘録のような簡明スカスカな日記だから読みやすいこと。創作と読書の記録がメインの内容であるが、瑣末なところが面白い。【読書】山田風太郎「戦中派動乱日記」_b0036803_22412198.jpg
 とにかく読書量はものすごい、モンテクリスト伯なんか2日で読了している。ただ感想めいたものはあまりない。それと連日お酒をよく呑んでいる、小説の収入があったので、20代青年としては金回りがよかったのだろう。昭和24年当時で50万円を超える年収を得ており、スーツ1着を1万3千円で誂えている。また、悪所通いもちゃんと記録している。後に夫人となる「啓子ちゃん」もひんぱんにでてくるというのに、まああっけらかんとしたものだ。今の時代よりはるかに自由を謳歌しているようである。
◆ちょうど朝鮮動乱の時期であるが、筆者のアメリカへの感想は実に鋭い。
 「アメリカはあまりにも全世界の富を独占していはせぬか。自分だけひとりゼイタクをして、他国の苦しんでいるのを、乞食でもみるように施してイイ気になっているきらいはないか、施されるのは決して愉快ではない。施されなくてもよい世界をつくりたい。そう全世界が考えるのも当然ではないか。この反省なきところ、驕慢児アメリカは、いつの日か悔いのホゾをかむことがないとはいえまい。」~50年以上経ったいまでも通用する。
◆執筆作品のなかには、ものすごい題名がある。
 「うんこ殺人」 「接吻反射」 「尻喰え如来」 「陰茎人」
 うーん、さすが風太郎というべきか。とても常人では思いつかんよ。
 生地である但馬関宮のひとはどこまで山田風太郎の小説を読んでいるのだろうか。ある意味で変態猟奇世界の最高峰を極めた作家なんだが。

by chaotzu | 2005-04-08 22:40 | 読書


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