2005年 04月 10日
◆1976年アメリカ映画、ジョン・ウェイン最後の出演作で、もうかなり老け込んでいる。肺がんで亡くなったのはこの3年後である。冒頭に「赤い河」や「リオ・ブラボー」のハイライトシーンがあって、内容も末期ガンに侵された老ガンマン最後の1週間を描いたものと、まさにウェイン本人の俳優人生を投影した作品。 クリント・イーストウッドの「許されざる者」は本作のオマージュだろう。かなり意識しているのではないか。 実のところ、ウェインの存命中、その出演作はほとんどみていない。学校の課外で行った「アラモ」くらいである。威勢がいいだけのタカ派俳優というイメージ(グリーン・ベレー隊員とか「勇気ある追跡」の眼帯保安官!)があって、あまり好きではなかった。だから、ウェイン映画の大半をみたのは、ここ数年のことである。ひとまとめにいえば、格調高いものはなく、B級映画の「王道」といったところで、なかには凡作駄作もある。そして、2通りのジョン・ウェインを見つける。 ◆兄貴分あるいは家長としての貫禄をふるういわば暴れん坊役と繊細かつコンプレックスを抱えて弱さも垣間見せる役である。そして、おそらく素の人柄は後者のほうに近いんだろうなと推測する。 この映画の時代は1901年1月、20世紀の劈頭であり、イギリスのビクトリア女王死去のニュースが西部でも報じられている。原題は「ザ・シューテスト」、ガンマンのことだろうが、もはや時代おくれの存在でもある。それでも、かつての有名ガンマンが死にかけているとあって、新聞記者や葬儀屋、そして昔の女まで商売目的で近づいてくる。そのときの寂しい表情は胸に迫るものがある。本人も自分の病気を承知していたのだろう。 葬儀屋に指図した墓碑銘はただ名前と生年没年だけ。散髪し洋服をクリーニングして、最後の「仕事」に出向くジョン・ウエィン。共演のローレン・バコールもバツグンの味。 じいさんばあさんカップルに泣かされました。
by chaotzu
| 2005-04-10 18:38
| 外国映画
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