2005年 04月 19日

【ビデオ】 「ミラノの奇蹟」 我らは明日も生きていく

◆1950年イタリア映画、NHK・BSで昨日放送されたその録画、白黒である。ずいぶん前に小説家の井上ひさし(この人も相当な映画狂)が絶賛していたような記憶があり、ずっとみたいと思っていた、やっと念願成就。
 レンタル店にハリウッドの駄作はいっばいあるが、こういうヨーロッパの過去の名作はあまり置いていない。ギリシアのアンゲロブロスなんかはほとんどみたことなしである(苦笑)。
◆「自転車泥棒」のビットリオ・デシーカ監督が贈るファンタジー(寓話)。キャベツ畑に捨てられた孤児が成長、善人トトとなり貧しき人々を助け励ましそして導く。b0036803_22224472.jpg
 いまやブランド工業都市のミラノが舞台であるが、敗戦国イタリアの戦後の荒廃、民衆の貧乏ぶりにはすさまじいものがあり、同時期のまばゆいばかりのアメリカ映画とは対照的である。もはや死語であろう「ルンペン集落」のありさまは、戦後の黒澤明映画とも通じるものがある。また、金持ち列車が通り過ぎる場面があるが、イタリアにおける共産党(現在は左翼民主党)の歴史的な強さ、その背景の一端をうかがわせる。
◆一条の太陽光がさしこむ下、貧しき民衆が集まり、寒さよけで足踏みする印象的なシーン、冬の寒い朝、小学校の校庭でおしくらまんじゅうをしたことを思い出す。日本人とイタリア人の感性はどこかで似たものがあるのだろうか。
 特撮もチープでちゃち、ネタも甘っちょろい、なにより古くさいとみられるかもしれない。たしかにラスト、ドゥオモ大聖堂前から、みんなが箒にまたがって空を飛ぶところなんかはオイオイと思ってしまいそうだが、こんな時代だからこそ、全編を貫く人間賛歌には心揺さぶられるものがある。デシーカ監督らしい辛口味もあちこちにまぶしている。
 日本公開は1952年(昭和27年)であるが、当時の日本人には生きる勇気と希望をかなり与えたのではないか。
とにかく生きているうちにみられてよかった。

 ♪生きていくには眠る小屋があればいい
  生きて死ぬには少しの土地があればよい
  欲しいのは靴と靴下と少しのパン
  我らは明日もそう信じて生きていく
[PR]

by chaotzu | 2005-04-19 22:26 | 外国映画


<< 酒井俊「満月の夕」 ヤサホーヤ...      と゜うする?アイフル! アイフ... >>