マイ・ラスト・ソング

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2005年 05月 08日

まるでイタコ芸のJR事故報道

◆連日のJR事故報道であるが、このところレベルの低い煽情記事ばかりが目立っている。JR社員の「宴会」報道であるが、本日の読売地域版では、神戸支社懇親会の居酒屋予約表「JRの文字黒塗り」までとうとうニュースになった。勤務時間でもないし緊急招集がかけられていたこともない、酒ぐらい静かに呑ませてやれよと云いたいが、これは少数意見だろうか。なんだか「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」式の戦時翼賛報道を想起せぬでもないトホホさ加減である。いまなら叩き放題というかマスコミが代わりに日勤教育をやっているみたいなものじゃないのか。b0036803_2125737.jpg
 もちろん、事故に至る「稼ぎが第一」経営の道筋をつけたこれまでの経営首脳や現場の一部管理職そして蝙蝠もどきの御用組合幹部は厳しく批判されねばならない、それもしつこくだ。だけど、JR西の社員一般を無差別に吊るし上げてどうするねん。彼らはなにか法律違反を犯したのだろうか。
◆まず事故当日のボウリング大会、たしかに自粛中止すべきであったとは思うが、それは今にして思えばのことである。ごていねいに、参加者のうち何人が事故を知っていたとか、何人しか中止を進言しなかったとまでしっかりと後追い報道しているが、はたして新聞の一面で再三叩くような重大事件なのかどうか。
今になれば、空前の大惨事であることはみな承知しているが、ふりかえって当日の昼間の空気はどうであったか、JR受け売りの粉砕痕を真に受けた「置石示唆」報道が繰り返されており、テロがあったのかと思ったほどである。JR=被害者的な感覚が幾分かあったのではなかったのか。いまのJR社員へのパッシングは、10日以上前の行為の理非曲直を、事後の理屈で裁いているようなもので、あまりにイージーな非難ごうごうであるように思う。まして勤務時間中の「宴会」行為ではないのだ。
また、問題視されたレクリェーション行事や懇親会等が、事故の救助活動とか原因の究明調査、さらにはJR西社の緊急配備体制にどのような影響を及ぼしたのか、具体的な支障があったのかどうか、その辺まで掘り下げた報道は残念ながらあまりみかけない。結局のところ、「喪に服しておれ」というだけであったらあまりに精神論的で感情に走りすぎと思わざるを得ない。そして、こういった粗探しが、事故再発防止のために、なにがしかの役に立つのだろうか。
また、事故当日JR西社の粉砕痕リークを鵜呑みにして垂れ流ししてしまい、後で恥ずかしさのあまり逆上してしまい、それが煽情報道になったといったら言い過ぎだろうか。
◆別段JR西社を庇い立てするつもりはないが、現状の尻馬報道にはなんだか気味悪いものを感じてしまうのだ。社員が4万人規模の大会社となれば、毎日なんらかの行事が進行しているのはあたりまえである。私的な集まりまで含めたらいっぱいあるだろう。いったいそれらを全て断罪するつもりだろうか、退職者の送別会もアウトか、年1回だけの会合もダメなのか、こんな調子ではJR西の社員は、私的な旅行(事故以前に予約済であっても)はおろか居酒屋、カラオケにも行っちゃいかんことになってしまいかねないが、ほんとにそれで気が済むのか。また、いつまで自粛せねばならないのか。いったいそれは誰が決めるのか。まるで魔女狩りだ。
なかには事故の犠牲者の御霊を持ち出して、水戸黄門的な昂揚気分で断罪する向きもある。「これでは死者がうかばれません」「死者のたましいを冒涜しているようなもの」……、叩くネタが切れかけると必ずこういったイタコもどきが出現する。思わずあのなあ、何様のつもりじゃと云いたくなるよ。阪神大震災のときでも、大阪新地の盛り場は賑わっていたし、それを悪く云うつもりもない、被災者も酒を呑んでいたし、カラオケ懇親会もあったのだから。
◆ただ、マスコミの一方的な糾弾報道、読者多数のニーズの反映という見方もある。マスコミは現状社会の多数派の空気を先取りしているだけで、多くの読者が求めるニュースを優先的に報じているだけ、それのどこが悪いねんというわけだ。
 そうだとしたら、なんとも窮屈な社会になったものだと思う。形にはめられた意見、「多数」に阿った意見の発露しか受け入れられないとしたら、それこそ中国の「愛国無罪」と同じである。なんでも一方に偏する世の中はこわい。マスコミの惨状をみるにつけ、意地でも少数意見派にならにゃいかんなと思うことしきり。
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by chaotzu | 2005-05-08 21:02 | 時事


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