マイ・ラスト・ソング

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2005年 05月 22日

【映画】「キングダム・オブ・ヘヴン」 天の王国は人々の胸中にあり

◆2005年アメリカ映画、12世紀の十字軍遠征を描いた一大スペクタクル。歴史劇とエンターティメントのバランスをよくとっており、けっこう面白い。
 21世紀に至っても、なおキリスト教文明とイスラム教文明の衝突=「十字軍」はつづいている。
第2次イラク戦争である。ただ、立場はすっかり逆転している。むかしの十字軍当時はイスラムのほうが先進国であって、攻め入ったキリスト教兵士は野蛮人の集団だったようだ。エルサレム王国を建設するさなかでも十字軍が随分無茶苦茶なことをしたらしい。イスラム側の史書では、十字軍兵士による人肉食の記録もある。b0036803_20433014.jpg
 この映画のなかでも、イスラムの指導者サラディンのほうが紳士的に描かれる。いっぽう、十字軍側のテンプル騎士団などはなんでも「神のご意志」で好戦性を隠蔽しようとするし、ローマ・カトリックの大司教に至っては身勝手もいいところである。ただし、癩王ボードワン4世(なんとエドワード・ノートンの目玉演技)の如く英明な指導者も登場する。
 要するに十字軍のプロパガンダ映画にはしていない、イスラムも含めて公平に扱っている。そこはまず感心する(ユダヤ教徒がみえてこないが、それは仕方がないか)。
 製作も兼ねているリドリー・スコット監督がいま、この時期に十字軍を採りあげた意図はなんだろうか。
 日本でも十字軍と近似型の史実がある。豊臣秀吉の朝鮮出兵である。アタマの狂った支配者の妄想で駆りだされる日本兵、諸侯の思惑そして異国で死屍累々の悲惨さ、朝鮮人陶工の流転……、十分映画ネタになると思うが、無理かな「キングダム・オブ・スキッツォイド・マン」(苦笑)
◆ストーリイの主軸は、妻子を喪った村の鍛冶屋が突然現れた十字軍騎士の父親(=エルサレム国王の股肱の臣)の導きでエルサレムに行って、あれよあれよの間にサラセンの英雄サラディンを苦しめるヒーローになる、おまけに彼女もゲットするという、はっきり云って、ほとんどあり得ないはなしだ(笑)。森で父親から刀の使い方を教わっていたのが、瞬く間に剛勇無双の勇士で卓越した戦術指揮者になるのだから、まるで将軍さまである……と、突っ込みどころはあるものの、まあ商業映画である以上やむを得ないのか(オーリー・ファンのみなさまには申しわけなし)。
 影の主役はサラディンと銀仮面のボードワン4世である。とくにサラディンは決めゼリフいっぱいで、存在感バツグンの役回り。
 「約束?このサラディンが云っているんだぞ」
 「偉大な指導者のそばにいて、何も学ばなかったのか」
 「エルサレムには何もない-nothing、だけどすべて-everythigだ」
◆たまたま字幕版と吹替版の両方を併映しており、上映時間の早い吹替版を選択したが、目線がふらつかなくていいというかなかなかよかった。ビデオやDVDとちがって、劇場でみる映画は吹替版でもいいかもしれない。
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by chaotzu | 2005-05-22 20:49 | 外国映画


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