マイ・ラスト・ソング

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2005年 05月 23日

【DVD】「喜劇・駅前温泉」 絶品、森繁はやっぱり花嫁の父

◆薫風そよぐ五月晴れの下、まだ陽も落ちぬうちから本日も駅前喜劇である。だんだん世捨て人気分だなあ(笑)。残業等で日本経済を支えている人には相済まないが、日本が平和であることの有難さにしみじみ。b0036803_2231539.jpg
 さて本作は1963年東京映画、駅前シリーズの4作目、こんどは福島県の飯坂温泉が舞台である。白虎隊の子孫を自称する森繁は昔かたぎの旅館主でやもめ、三助上がりの伴淳はお色気路線の旅館主で艶福家。当然というか、かねて犬猿の仲の設定であり、こんなご両人のこども同士が恋仲になってしまい……となれば東西問わず喜劇の黄金律である。
 クレイジー・キャッツの「日本無責任時代」との2本立てで大ヒットしたらしい。まさに最強の2本立て、本作品もクレイジーの影になったきらいはあるが、まちがいなく日本喜劇映画史上の名作である。封切りでみた人が実にうらやましい。東京オリンピックの前年で夢も希望も大きかった時代だ。
◆いちばんの見どころは、「三助コンクール」の場面におけるスラップステイック。「三助」なんて当時でさえ時代遅れの失笑ものであったろうが、それを大まじめにやっている。森繁、伴淳、柳家金語楼それぞれの珍妙な三助ぶり、そこに司会役のフランキーがからんで、はちゃめちゃドタバタになるのが、もう抱腹ものである。金語楼の頭に排水口掃除の吸引カップがくっつくところで爆笑、ふだんの金語楼はムスっと不機嫌な表情だったらしい。そりゃふつうの顔をしていても笑われるんだからね。とにかく稀有な芸人であったと再認識する。
 あと、結婚式の場面で伴淳とフランキーによるリンボーダンスも大いに笑わせる。
◆たっぷり笑わせた後は一転、娘の結婚話でしんみりとなる。花嫁の父テーマでは、小津の「彼岸花」と並ぶ作品ではないだろうか。そういえば森繁の当たり役テヴィエじいさんも花嫁の父である。花嫁の父の哀愁では年季が入っていたわけだ。ラスト、預かった女の子の手を引いて、新婚さんの列車が東京に向けて去っていくところを見送るシーンも実によかった。
◆俳優メモ
 三木のり平;森繁軍隊時代の部下、宿泊客できてばったり邂逅。この人はなんといっても酔っ払い演技である。
 森光子;伴淳の口うるさい妻役、たまたま昨夜NHK教育で放浪記を放送していたが、さすがにもう無理があるなあ。
 池内淳子;温泉芸者、いやこの時は若いです。
 菅井きん;なんと子連れの哀れな乞食役、その正体は? 後年の婿さまいびりはとても想像できない。
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by chaotzu | 2005-05-23 22:34 | 日本映画


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