2005年 05月 24日

【DVD】 「キッチン・ストーリー」 うらやましいかぎりの隣国関係

◆2003年ノルウェー/スウェーデン合作映画。
1950年代、スウェーデンの家事なんたら研究所が機能的な台所設計のため、台所内の動線を調査をしている。主婦の動線は調査した、こんどは独身オトコの調査だ、というわけでスウェーデン人の中年調査員がノルウェーの独居老人宅に張り付くというはなし。
b0036803_2218959.jpgところが、その調査方法なるものが、調査員が審判台みたいなところに座って、四六時中、住人の動線をメモするという、マンガチックというかあるいは傍迷惑きわまりないしろものなのである(笑)。おまけに会話を交わしてはいけないというルールもある。さあ、密室のノルウェー人とスウェーデン人だ、調査はいかがあいなりますかとなればシチュエーション・コメデイであるが、全然そうはならない。そこが、いかにも北欧の映画らしいところか。
◆それにしても、ハート・ウォーミングあるいはスロー・ライフとはうまい惹句をつけたものだ。ありていに云えば、ぬる燗仕立てのほのぼの話であって、なんちゅうことはない(笑)。だいいち、同じ部屋に2人きりでいて、口もきかないほうが異常である。まして冬の夜はとてつもなく長い。
 この映画の眼目は「兄弟国」といわれるノルウェー人とスウェーデン人の微妙でありかつ成熟した関係ではないのか。映画中でもさりげなく言及される。
“スウェーデン人の前では芋を煮たくないよ”
“嫌いなスウェーデンのタバコを持ってるじゃないか”
“(ノルウエーの友人は)強制収容所で人形の修理をおぼえたんだ”(ナチスに占領されたノルウエー人が抱く中立国スウェーデン人へのこだわり)
◆だからといって、両国民の仲が険悪ということではない。おそらく両国の人がこの映画をみれば、くすくす笑いが途切れないだろう。悪口も云うし、ジョークのたねにもするが、根っこのところでは理解しあっている。なんともうらやましい隣国関係である。
◆同じシチュエーションのまま、登場人物を日本人と韓国人あるいは日本人と中国人におきかえたら、どうなるだろうかとつい考えてしまう。うーん、アタマが痛くなる。
 副首相が訪問国首相との会談をドタキャンして帰ってしまう。どうみても異常な関係だ。キッチン・ストーリーならぬチキン・ストーリー、とてもハート・ウォーミングな映画どころではない。
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by chaotzu | 2005-05-24 22:21 | 外国映画


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