2005年 06月 02日
◆1964年東京映画、駅前シリーズの7作目。ここまでくると、登場人物の役名も固定する。森繁は「徳之助」、伴淳は「孫作」、フランキーは「次郎」である。そして女優陣、淡島千景は「おけいさん」、淡路恵子は「ふじ子」、池内淳子は「染太郎あるいは染子」といった具合である。もういちいち考えるのが面倒になったにちがいない(笑)。 ◆舞台はオリンピック直前の東京に戻る。両国である。隅田川の水上バスが出てくる。この辺りは運河も多く橋もたくさんある、水の都東京の一面だがいまはどうなんだろう。 森繁は酒屋「吉良屋」(当然ながら吉良びいきの土地柄だ)、伴淳は鮨屋「孫寿司」の主人、両人とも下町の小金持ち階層で、家業はなかば妻任せで遊びまくっているというけっこうな身分(笑)。 以下はなしは、おきまりの女優陣もからんで、てんわやんわの騒動になるという、まあ大人の艶笑喜劇である。この映画をみて人間が立派になるとか教養がつくとかいうことはけっしてない。 ただ、むかしの宴会芸なんかは参考になるかもしれない。乃木将軍と露軍ステッセル将軍との「水師営の会見」なんてね、いやなりませんか(苦笑)。 ◆今回の女将は、森繁妻役の森光子、伴淳妻役の京塚昌子、森繁の援助で小料理屋を開業する未亡人の淡島千景(もう80歳すぎだが、当時の女ぷりはサイコーでまさに駅前マドンナ)、おねだり上手のバーのマダム淡路恵子など多士済々いや多婦済々である。なかでは淡路恵子がアンニュイなセリフ回しでおいしさバツグンだ。 ◆俳優メモ ・山茶花究;ラーメン屋のオヤジであるが、いつも手に唾ペッペッがくせ、コップもちゃんと洗っているか疑わしい(笑)。そういや、昔の下町の中華料理店はどこもかも汚かった。それでも若い時分は安くて腹一杯食えるのがいちばんだったものだ。 ・乙羽信子;三木のり平と夫婦でクリーニング店を切り盛りしている。7人の子沢山で家族だけで野球チームができる。仕事も野球も万能の働き者かみさん。宝塚出身であるものの、女将とはまるで縁遠い役どころ、それでも光っている。 ・中尾ミエ:銚子の網元に行儀見習い中の漁師娘というなんだか無理矢理設定したような役(笑)、いまでいうアイドルのはしりで、伊東ゆかり、園まりとの元祖3人娘といえば旧くさいかな。 ・佐田の山、栃光、栃ノ海、出羽錦;おきまりのゲスト出演である。なかでも佐田の山は弁のたつ人でしたね。いや、まだ生きてらっしゃるか。年初に亡くなられたのは田子の浦親方の出羽錦さんだった。
by chaotzu
| 2005-06-02 21:52
| 日本映画
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