マイ・ラスト・ソング

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2005年 06月 06日

【ビデオ】「少年時代」日本映画史上ベストの主題歌

◆1990年日本映画、篠田監督つながりでレンタル。いつの間にか15年も昔の映画になっていた。主人公の母親役である岩下志麻のまだまだ若いこと。実を云うと篠田作品これまでほとんど観ていない。監督特権で美人女優をものにしやがって、仕事と趣味をいっしょにするなといった反発ゆえであるが、本音は僻み根性だ。この映画であらわされる田舎者が都会の人間に抱く憧憬と妬み相半ばの心境とどこか似ていないでもない(笑)。
それでも、「スパイ・ゾルゲ」でこの監督さんの昭和史へのこだわりを感じて、もうちょっと観とこうかと思った次第。本映画を観て半ば納得、少年期の戦争体験が篠田監督の原点だったんだな。
◆田舎の子供といえば純朴というイメージがある、今は知らぬが、自分の子供当時はとんでもない大間違いで、実際はこずるいワル餓鬼である。なにしろ兄弟が多いので、幼少時から生存競争にさらされている。よそ者に対する監視意識があるうえ、都会の子供に対してはコンプレックスの裏返しでわけの分からない敵愾心をもっている。
なにせ東京に行っただけでもスゴいことなのである。行けない子供はなんだかハラがたつわけだ。
その辺のこだわりがほどけてきたのは、新幹線が開業してからじゃなかったか。もっとも、今やユーロ・デイズニーとかフロリダのデイズニーに行ったとか平気でほざく小学生もいるご時世であり、都会と田舎の格差はあまりみられない。田舎の人間のほうがよほどおしゃれな時代である。b0036803_22245177.jpg
◆閑話休題、この映画は東京の小学五年生男の子が富山の親類宅に縁故疎開し、敗戦まで1年間過ごすはなしである。はっきり云ってかなり恵まれたおぼっちゃんである。
しかし、実際の主人公は疎開先の番長、武だろう。アタマもよく統率力もあるが、家庭が貧しくて中学進学も微妙であり、かなりの屈託を抱えている。だから東京からやってきた子供に対する思いは複雑である。仲良くなっていろいろ知識欲を満たしたい反面、嫉妬心や田舎番長の矜持もある。また、少年期特有の同性愛感情もあるだろう。その辺の複雑な感情がうまくあらわされている。
後半、政治力に長ける地主の子供が多数派工作で武を番長の座から追放するが、それでもけっしてくじけない。たったひとりになってもクラスで屹立している姿はアッパレである。
 しかし、この5年オトコ組のはなし、現在日本の姿とも重なってくるのである。風見鶏で多数派を見極める、少数派にはなりたくない。今現在でも同じ心根はある。60年前の子供の社会とあまり大差がないのか(泣)。
 そして権力掌握に成功した地主の息子須藤の家庭も、農地解放や財産税などの占領政策が待ちかまえているだろう。結局のところ、多数に付和雷同する子供たちがラスト・ウィナーなんだろうか、なんだかね。そういう意味ではかなり辛らつシビアーな映画である。まあ藤子不二雄でもアビコ先生のほうは、もともとシニカル畑である。
◆ラストに流れる陽水の同名主題歌、サイコーである。心にしみいる。
 ♪夏が過ぎ 風あざみ
  だれの憧れにさまよう
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by chaotzu | 2005-06-06 22:30 | 日本映画


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