マイ・ラスト・ソング

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2005年 06月 11日

【DVD】 「喜劇・駅前団地」ズンタタッタ、ズンタタッタでニュータウン開発

◆1961年東京映画、駅前シリーズ2作目。舞台は小田急線の川崎・百合丘、東京のベッドタウンとして開発のさなか、住宅公団の第二団地が着工前で百合ヶ丘駅もまだないという設定である。
前作の井伏鱒二原作「駅前旅館」から3年経っており、正月映画の企画に困ったあげく再登板を思いついたのだろうか。だけどいまみると、けっこうまっとうで面白い。
b0036803_18383410.jpg◆伴淳演じる元小作の権田孫作、開発ブームで田畑がばんばん売れて、オール電化の家庭が自慢。もう百姓はやめようと思っており、倅はなんとしても大学に行かせてサラリーマンだ。
幼友達の森繁は地元代々の開業医でやもめ、ニュータウンそばの伴淳所有地を譲ってもらい病院を建設したいと考えている。だけど伴淳はフランキーの不動産屋にもう売約済み、買主は淡島千景の独身女医さんで、こちらも病院を計画している……。
まあニュータウン開発さなかの旧住民たちの人間模様である。
◆あらためて気がつくが、駅前トリオもまだ真面目なのである。女遊びは半年後の「駅前弁当」からであり、森繁なんかはむしろ堅物演技である。まるで日本の経済成長と寄り添っているみたいだ。
はなしとしては、むしろ伴淳の土地成金ぶりを揶揄するような内容である。でかいステレオセットのあることを自慢する、客に聴かせたくてしかたがない。だけど実際に聴いているのは浪曲である。大きなダブルベッドを買って“ベッド・タウンだもんな”といった具合。そこかしこに農地解放で土地を手に入れたばかりの農民が時勢でたちまち金持ちになるさまに冷たい視線を浴びせている(笑)。
だけど、息子の久保賢(山内賢)は“百姓が土地を手放してどうやって生きていくんだよ”と反発している。いやいや予備校に行かされるのが不満でならない。親のすねかじりのくせにまったく可愛気のないセガレである。
◆ラスト、息子は大学進学をやめて恋人と養豚業をはじめるという、トンでもない結末。ただ今の視点でみれば、ニュータウンのそばで養豚業をはじめるなんて、自爆行為としか思えない(苦笑)。大衆居酒屋の淡路恵子も百合丘駅前に洒落たバーを開店するが、それもどうかなあ。
結局のところ、現実の経済成長は映画制作者の見立てをはるかに上回っていたことになる。駅前トリオの道楽ぶりも、以後の作品でどんどん加速するのである。まあ、百合丘近辺のひとにとっては確実に懐かしいであろう映画だ。
◆フランキー堺、この駅前シリーズでは人のいい次男坊タイプの役柄が目立っているが、本作では口先のうまい詐欺師っぽい不動産屋を演じている。いや、これがまたうまい、あたりまえというか、あの居残り左平次なのである。なぜ、もっとこういう役柄を発揮しなかったのだろうか。あるいは植木等という破天荒な無責任キャラが登場したので、競合を避けたのかもしれない。だけど、もったいないことだなあ。
◆俳優メモ
・坂本九;いつもながらクリーニング店の店員役、おそらく日本一洗濯屋が似合うタレントか(笑)。本作ではテレビで唄う本人とシンクロするセルフ・パロデイをやっている。
  ♪ズンタタッタ ズンタタッタ〰
・久保賢;後に山内賢に改名し、日活の青春タレントになるが、このときはまだ学生服でみちゃいられないほどヘタクソ(笑)、ご愛嬌である。
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by chaotzu | 2005-06-11 18:45 | 日本映画


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