マイ・ラスト・ソング

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2005年 06月 16日

【ビデオ】 「愛を乞うひと」 原田美枝子の入魂演技に瞠目

◆1998年日本映画(東宝・角川書店)、原田美枝子つながりでレンタル。もう7年も前の映画である。この頃は元気に遊び回ってばかりで、ほとんど映画は観ていない。もっとも、母親が実娘を折檻しまくるはなしだ。ヒマな時間があってもみる気は起きなかっただろう。だけど、この映画はまぎれもない傑作だった。
まったく人生のムダ遣いをしていたものである。b0036803_5283687.jpg
◆ヒロインである原田美枝子の演技に尽きる。母親役とその娘が成長後の2役を演じている。いや、歳とってばあさんになった母親役も演じているから、1人3役か。3役ともがらり雰囲気が変わる。男を渡りあるくはすっぱ女、周りの目も気にせず子供を折檻する鬼畜のごとき母親。逆に子供に遠慮してあやまってばかりのおとなしい母親、そして人生に退廃したかのような老婆。髪型まで変えて、ぱっと見では同じ俳優が演じていると分からないほどだ。
◆タイトルの「愛を乞うひと」は、母親にも娘にもあてはまる。男の愛を求める女と親の愛を求める娘、平和な時代であれば両立しただろうが、戦争と戦後の荒廃が母親の性格を歪め壊してしまう。全てのエビソードは、ヒロインが娘の面前で泣きじゃくる最終場面に収斂する。ずっと、こらえにこらえ、閉じ込めてきた思いが解き放たれる。苦労つづきの人生を歩んできたひとりの女性がやっと自由になる瞬間だ。そして、エピローグは台湾のさとうきび畑、陽光の下でヒロインの明るい表情へと一転する。いや、製作者の狙いに気持ちよくひっかかってしまった。
ただ、過去と現在がひんぱんに交錯する展開にしているが、すなおに時系列のままでもよかったかもしれない。
◆國村隼演じる傷痍軍人が登場する。“引揚者寮”に住んでおり、そこに母親ところがりこむ設定である。この映画ではニセの傷痍軍人になっているが、昭和40年代前半あたりまで義手義足の傷痍軍人を目にした記憶がある。国鉄に乗っていると、よく車両を移動していた。白い服で首から募金箱をぶら下げている。冷徹な云い方をすれば物乞いである。一時、強要行為が問題になったことがあるが、戦死した兵隊は英霊に祀り上げられる一方、負傷して帰還した兵隊にはろくな援護もないまま放置された時代があったのである。そんなことも思い出した。
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by chaotzu | 2005-06-16 23:59 | 日本映画


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