マイ・ラスト・ソング

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2005年 06月 21日

【DVD】 「神阪四郎の犯罪」 万能俳優森繁の真骨頂

◆もともとは洋画のほうが好きだった。アクションもハデだし、ねえちゃんもキレイだ。なにより華やかである。日本の映画はどうもビンボーくさい。そもそも日本映画がどん底の時代=青春であった。だから、洋画に比べると日本映画はあまりみていない。
だけど、このところ日本映画がやけに懐かしいのである。いい年になってきたので、無意識に人生の記憶をたどる作業に入っているのだろうか。実際のところ、昭和30年代なんてろくに記憶していないのだが、いまあらためてみる当時の日本映画には、なぜか親近感がわく。もしかしたら幼児期の刷り込みがあるのだろうか(笑)。いまの若いひとが、スターウォーズの初期3部作をみる気持ちと、どこか共通するものがあるかもしれない。b0036803_22294746.jpg
◆1956年日活映画。初期の文芸映画シリーズであり、石川達三の同名小説が原作である。裕次郎の出現なかりせば、文芸路線はもっと続いていたかもしれない。もったいなく思わぬでもない。
冒頭、夜の銀座の暗さにびっくりする。今なら地方都市の駅前以下の暗さである。むかしの東京は、こんなに暗かったんだな。
映画は裁判形式のドラマである。被告人の森繁久彌について、証人みなそれぞれの立場から発する証言はさまざまで、いったいなにが真実やら判然としない。被告人の実相は最後まで薮の中である。つまるところ回想シーンのなかで、主演の森繁はいろんな人格を演じ分けられるという仕掛けになっている。はたして芸達者ぶり全開である。
まじめな父親の森繁、おねえコトバの森繁、卑屈に機嫌伺いする、セクハラする、やたら威張る、そして最後は法廷で大演説をうつ。もう百面相である。警察日記にあける田舎の朴訥人間のイメージはみじんもない。なかには渥美清を彷彿させる芝居もある、いや渥美清が森繁のコピーをしているのだろう。これほど芸の引き出しが多い役者だったのかとあらためて思い知らされる。
左幸子以下脇役陣もみな達者であり、いってみれば俳優の演技合戦のような映画になっている。
◆リアルタイムで記憶する森繁久彌は、昭和40年代のテレビ・ドラマ「7人の孫」あたりからであるが、この頃になるとホームドラマ特化の好々爺キャラになっている。駅前や社長シリーズなどの風俗喜劇にしても、映画俳優としては肩の力を抜いており、たいして全力投球したものではない。結局のところ、これまでは森繁のほんの一部分しかみていなかったことになる。
いやおそれいりました。
◆関係ないけど、阪神の岡田監督と森繁がちょっと似ている。よく亡くなった藤山寛美に似ていると云われるが、この映画における被告席の森繁のほうが似ていると思う。
まあどーでもいいが(笑)。
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by chaotzu | 2005-06-21 22:37 | 日本映画


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