2005年 06月 25日

【DVD】「スラバヤ殿下」森繁のデタラメ外国語炸裂の怪作

◆1955年日活映画。奇妙奇天烈な珍作であって、今ならゲテモノ扱いされるかもしれない。よくぞDVDにしたものよと、まずは日活担当者の勇気に敬礼したい(笑)。
冒頭から寅さん映画風のオープニング、森繁久弥が1人3役をこなす。生真面目な原子物理学者の兄と詐欺師の弟、そして顔を黒塗りした“スラバヤ殿下”である。最後は無国籍風ミュージカルまでやるという怪作。原作はなんとかの菊田一夫である。ビキニ環礁の被爆事件を逆手に取った人情喜劇であるが、よくもこんな珍作、書いたものだなあ(笑)。b0036803_6501891.jpg
◆“わたしいのラバさ〰ん、酋長の娘♪”といったかつての日本人が抱いていた素朴な南洋土人ものであるので、今ならば物議をかもすこと必定だろう。いつも踊ってタイコドンドンで過ごしている、酋長の娘に惚れられたら一生寝そべってパラダイス気分、そばには山盛りのトロビカル・フルーツ。これって昔の日本男児ならみんな罹った南洋楽園願望そのままじゃないか(笑)。おまけに、「土人」のオンナはみな上半身ハダカでおっぱいポロリである。「土人」のオンナなら映倫もパスするのか?(苦笑)。
それでも、途中までは面白い。もうとことん、徹底してオバカ喜劇で押し切ってもよかったのだ。あにはからんや、ラストは瞼の父ドラマや兄弟愛でお涙ちょうだいにしてしまっている。惜しいなあ(嘆息)。
◆森繁のあやつるデタラメ外国語のおかしさ、ずっと後にタモリが売り出したが、森繁はそのパイオニアだったのか。こういうのはアドリブだろうが、なかなかたやすく出来ることではない。
“マクロネシア”からの留学生と称する三木のり平とのあやしげな会話に爆笑する。
“パチコンパチコン、チンジャラジャラ”
“ポポライ、ポポライ”
”オームカイ、ムカイ”
“チンタラカムシャマヨ”
“オーカムシャマ、カムシャマ” いつの間にか、安里屋ユンタになっとる(笑)。
このほかにもアカランド国のスパイ有島一郎やドルマニア国のスパイ千葉信男による珍妙な外人日本語も滅法おかしい。
“オーッ、ワッタシ、ソレホシイデエス、ソーリーネ”、大の大人がみんなふざけまくっている。
◆日本の“四さま”こと伊東四朗がこの映画の大ファンで、主題歌が今でも唄えるとか、そしてそれを森繁翁に教授したというエビソードをどこかで読んだ記憶がある。当の森繁がもう忘れていることを、しっかり憶えこんでいる伊東四朗、とてもおかしい。だけど、この当時、こんな作品を何度も丸暗記するぐらいみていたなんて、伊東四朗の青春の屈折がうかがえるハナシでもある。
 ♪バズー、バズー、腰ふりダンス~
こんどCDをさがしてみたい。
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by chaotzu | 2005-06-25 23:59 | 日本映画


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