2005年 06月 27日
◆1955年東宝映画 ムカシみたとき、こんな甘えたぼんぼんの放蕩ばなし、どこがオモロいねん、自業自得やんけ思いましてんけど、いまあらためてみますと、胸にしみまんなあ。 ほんま年いってみたほうがだいぶよろしおまっせ。あんさんもそうしなはれ。 ラストの雪のちらつく法善寺横丁でふたりが寄り添うとこは名シーンだ。 いや、ほんま男女の愛情ちゅうもんは奥深いもんでんなあ。 ◆まえ、テレビで「東京ラヴストーリー」ちゅうドラマがおましたけど、これは織田作センセイの「大阪ラヴストーリー」でんなあ。だいぶドンくさいけんど。元祖「(ゼニを)取れんディ・ドラマ」や。 森繁はんの若旦那柳吉、甘えたでワガママの道楽モンやけど、根は優しいんでっせ。お景ちゃんの芸者蝶子はそこに惚れまんねん。そやけど手代の長助みたいなワルもおる。柳吉をそそのかしてつけこみよるなんて、ほんま何してけつかんねんだ。そいでオナゴはんにはいいとこみせたいんやけんど、うまくいかへんもんでどんどん屈託してまうんですわ。 きょうびの大阪にはこういうお人よしはもうおまへんな、船場のぼんいうたら、いまや村上ファンドの社長さんでっせ。あとは長助みたいなタカリばっかりや(嘆)。 そやけど、オトコ本位のムシのいい映画やありまへんで、弱いオトコのどうしようもないやりきれなさ、もう堪忍してえなあちゅうとこですわ。そいでオナゴはんはとことん強いでんなあ、昼間っから障子閉めるとこなんか、そらあんさん、ぎょっとしましたがな(汗)。 ◆まあ森繁はんと千景はんの関西弁を堪能しとくんなはれ。 蝶子が自殺未遂を図ったとき、あわてふためく柳吉の関西弁なんかオモロイでっせ。 「生きる」の八段活用してますわ(笑) “生きてまっせ” “生きているかな” “きっと生きてるねん” “どないしよ生きてるがな” “生きてるか” “生きてまんな” “生きてまっせ” “ほんまに生きてんねん” ◆柳吉の勘当がとけへんで代わりに婿養子に入る京一、憎たらしいやっちゃが、なんと山茶花究でおますわ(笑)。なんかイヤミな役者がおった思てましたけど、駅前シリーズの軽みとは、別人でんなあ。なんせ“キチガイみたいなきれい好き”と陰口を叩かれてまっせ、もうソーレン屋みたいな根クラなやっちや。コメディアンが冷血人間やると怖いいいまっけど、ほんまそうでんなあ。 まあこの人も変わった役者さんでおました。
by chaotzu
| 2005-06-27 21:36
| 日本映画
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