2005年 07月 08日
◆「87分署」シリーズのエド・マクベインが7月7日(日本時間)に亡くなったそうだ。78歳、喉頭ガン。 かつて愛読した小説なり漫画の作者が亡くなるというのは寂しいものであるが、マクベインに関しては、実のところちょっぴりほっとした気持ちも否めない。いや不謹慎で申しわけありませんが。 なにせ、看板の87分署シリーズがただ今現在まで延々と続いていた。シリーズ第1作の「警官嫌い」が1956年、もう半世紀もムカシである。本来であればキャレラ刑事もマイヤー刑事もじいさんになっているべきだが、途中からばったり歳をとらなくなった。スティーヴ・キャレラが1958年当時で34歳だったことははっきりしているので、2005年ならば、80歳を超えているはずである。しかし、そこはしらを切りとおしており、階級もずっと二級刑事のままである。だから81歳の二級刑事(苦笑)。 まあ、長期継続シリーズ特有の問題を抱えていたわけで、そういうことをちくちく詮索したがる愛好者も多いのである。 日本でも漫画のゴルゴ13シリーズなんかは同様の突っ込みを入れられているはずだ。 ◆閑話休題、とにかく長続きしすぎて、読書が追いつけなくなっていた。いくら読んでも後続作が出てくる(苦笑)。それで、40作あたりでとうとうギブアップしてしまった。とにかく作風が多様というか、単純に警察小説で括れないところがあった、本格、倒叙、サイコ、パニック、群像……、実際の公文書をはさむのもこのひとのオリジナルではなかったか。 しかし、テロ対策もあって、大都会の警察活動は大きく変貌しつつある。リアル警察小説でさっそうと登場したが、半世紀も経てば、現実のほうがもっとえげつなくなっている。ロンドンで同時テロが起きたので、今後はなおさらだろう。 ある意味牧歌的な警察小説の終焉を象徴しているかもしれない。 ◆好きな作品〰やはり初期作品が多い、というか、もうたいてい忘れている(汗)。 「クレアが死んでいる」 刑事の婚約者で準レギュラーをあっさり殺してしまうのにびっくり。 「警官(さつ)」 つんぽ男(今はデフ・マンというらしいが)初登場の巻。 「夜と昼」 87分署の刑事、全員集合だ。 「キングの身代金」 ご存知クロサワ「天国と地獄」の原作。 ◆しかし、このところ、蓋棺録みたいだなあ……。
by chaotzu
| 2005-07-08 21:14
| 読書
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