マイ・ラスト・ソング

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2005年 07月 17日

【DVD】 「青春の殺人者」 昭和43年の世情そして東大入試の中止

◆「世情」という中島みゆきの名曲がある。
♪シュプレヒコールの波通り過ぎていく
 変わらない夢を流れに求めて
ワタシ的には1960年代後半の追憶ソングだ。とくに1968年(昭和43年)、全共闘運動ピークの年である。ベトナム戦争における米軍の劣勢を遠景に、学生運動が盛り上がって、まさに世情騒然の1年だった。日大、東大の学生闘争、東大安田講堂の占拠、新宿駅騒乱事件、エンタープライズ寄港阻止、三里塚、国際反戦デー、そして、とうとう東大の入試が中止になる。
ワタシより年長世代になる昭和26年4月1日以前に生れた受験生、江夏の三振記録に喜んでいるどころではない。受験戦略が根底から狂ってしまい、まさに驚天動地のできごとだったろう。
以後、そのはなしは、何度も聞かされることになる。京都大学の卒業生なんかで、いまでも昭和44年度の入学をやたら強調するひとがいる、つまるところ東大合格と同等であったことを強調したいわけだが(笑)。とにかく、全国津々浦々で計算が狂った受験生がたくさんいた。
だけど、大学を受験できただけでもましかもしれない、大学紛争のありさまを危惧するあまり、子供の大学進学を懸念する親もいたのである。ゲバ棒もたれるよりは、早めに親の商売を手伝えというわけだ。親の反対で大学受験を断念した息子は次第に鬱屈がたまってくる。愛情の押し売りはもうごめんだ。
長谷川和彦の監督処女作「青春の殺人者」が描くのは、当時の世情を反映した家族の悲劇ではなかったか。
b0036803_15561649.jpg◆1975年日本映画(ATG)、内田良平つながりでレンタルしたつもりであったが、なんと当の良平父さんは早々に退場してしまう、父親なりの愛情を抑圧と受け止めて激情した息子の水谷豊に殺されてしまうのだ。
親の世代は貧乏からの叩き上げで、食うものも食わずぜいたくとは無縁でどうにか安定した生活を手に入れた。だから息子にかける愛情は半端ではない。大学に行ってもゲバルトで殺されるかもしれないと心配するあまり、父親は入学願書を破り捨ててしまう、おまけにつきあっていた女の子とは別れろという……。
まあ時代の濃厚な空気を吸収して吐き出した映画じゃなかろうか。この前起きた板橋の両親殺し高校生の事件とはまた別物である。それだけにいまの視点でみれば、主人公水谷豊の行動が分かりにくいかもしれない。大熱演であるが、もうひとつ感情移入しづらいのだ。その代わりに、映画を乗っ取ってしまったのは原田美枝子のおっぱいと市原悦子の怪演技ではないか。そう思ってしまう。

◆原田美枝子、このときまだ17歳なのに惜しげもなく全裸をさらしている。こんなにすごい度胸してたのか、関根恵子どころではないよ。おまけに卑俗な表現で云えば巨乳である(汗)。
冒頭から「ペニス傘さしホーデン連れて、いけよヴァギナの故郷へ」の詩まで朗読、オイオイいったいなんちゅう女子高生や(泣)。水谷豊(この人も前貼りなし全裸熱演あり)が涙を流してまで、青春の葛藤を懸命に演じたが、「巨乳」ひとつでそれを吹き飛ばしてしまった感がある。水谷豊の母親殺し、もうシーツをまきつけて大奮闘だった、ラストの火事場も壮絶演技である。それら瞠目すべき見せ場が今となればみんな、原田美枝子17歳のおっぱいに負けてしまったのではないか。
◆市原悦子、いまや家政婦さんとか日本昔ばなしであるが、このときはまだ40歳、主人公の母親役であるが、十分すぎるぐらいオンナも演じている。中上健次の原作タイトル「蛇淫」はまさにこのひとではなかったか。愛情で息子をグルグル巻きにする母親である。シーツで体をぐるぐる巻きにして痛いよ痛いようで死んでいくのはなにやら暗示的だ。家政婦のおばさんかと甘くみてはいけませんな。

◆おまけ~お宝映像の紹介
・セーラー服姿の桃井かおり~カメリア・ダイヤモンド女史の過去、ただし8ミリ映像です。
・血まみれブリーフ一丁の水谷豊、思わず深川通り魔の川俣軍司を連想してしまうよ。
・スクール風水着の原田美枝子、おまけにおさげ髪だ、子供にもオンナにもなりよるなあ。
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by chaotzu | 2005-07-17 16:12 | 日本映画


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