2005年 08月 01日

【DVD】 「社長漫遊記」 消防芸者って知ってるかい?

◆20年くらい前は日本式経営がもてはやされていた。世界に冠たるニホンのカイゼンやQC、ジャパン・アズ・ナンバーワン!で鼻息も荒かった。ところがいまは欧米式の経営が大もてだ。ゴーンさんを見習え、なんといってもMBAの資格だよ、もう「終身雇用」や「年功序列賃金」は時代おくれだとくる。
なんだか振幅がはげしすぎるのである。一部の学者先生や評論家にふり回されている気がせぬでもない。実際のところ、どちらにもいい面悪い面があるはずだ。
日本式経営についてみれば、長期的視野にたった経営、従業員のモチベーション涵養などすぐれた面もあるいっぽう、経営の透明性担保や組織的不祥事の防止については心もとないところもある。つまるところ身の丈にあった経営に徹するかどうかじゃないのか。
さて、海外視察に行った社長さんがアメリカ式経営にかぶれて帰ってきたというおはなし。b0036803_22162137.jpg
◆1963年東宝映画、社長シリーズは正続あわせて1本パターンが多く、本作も実際は前編である。当面続編をみるあてがないのだが、だいたい見当がつくからまあいいことにする(笑)。
今回の森繁氏は太陽ペイントの社長さん、アメリカへ企業視察に行って、すっかりアメリカかぶれになって帰ってくる。空港に迎えにきた社員の前で、奥さんにキスしようとして嫌がられるくらいである。会社でも早速アメリカ的合理精神による新しい経営方針を打ち出す。
・地位の上下にかかわらず云いたいことははっきり云おう
・呼びかけは役職ではなく本名の○○さんでけっこう、親しい間柄は呼び捨てでもいい
・レディ・ファーストの励行
・女子社員のお茶くみ禁止
・社用族的行為廃止、虚礼廃止でビジネスライク・オンリーにやろう
森繁社長は堂本平太郎、加東営業部長は山中源吉、九州支社長ののり平は多胡久一の役名である。だから、森繁社長は加東部長を「源さん」「源の字」と呼ぶという、早速のり平が社長に「堂さん」「ヘイちゃん」と呼びかけてたしなめられる。のり平なんかは「タコ」!になってしまうよ。
さらに、のり平氏、社長の無事帰国を祝して新橋で「パアーッといきましょう」とおなじみの提案をして、社長に一喝される始末。いいなあ、昼間からこんな議論をしている会社って大好きだ(笑)。
◆そのアメリカ式経営方針転換で社内はてんわやんやになるが、アメリカの塗料メーカーの外人支社長が森繁社長に云うには、
“社用族イイシステムネ、スキヤキベリグー、サケベリグー、オンナキレイ”
“アンド・シャチョーサン ワンダフル”
なんだから、もうなにをか云わんやである(笑)。
はなしはそれるが、カタカナの役職名をやたら導入した会社があったことは事実、「チーフ・リーダー」とか「サブ・チーフ・リーダー」に「なんとかマネジャー」とかもうわけ分からん(笑)、名刺を渡すほうも恥ずかしそうであった。結局は○○さんで呼びかけるしかない。もっとも、それで付部長なんかの非ライン職を一掃したことはたしかである。
◆毎度パターン化した展開である。ライバル企業との競争、森繁社長の浮気の虫、独身小林秘書の結婚話、そしてのり平、フランキーの「パァーッといきましょ」的個人芸である。ある意味、これほど安心してみられる映画はありません(笑)。
今回の宴会芸、のり平の天草四郎時貞である。手回し蓄音機のでたらめな再生速度にふりまわされる踊りっぷりがとてつもなくおかしい。加東大介が十字架につながれたキリストで登場、むかし「俺たちひょうきん族」で似たようなキャラがあったような。のり平が問う。
“アンタ、ほんとにキリストさんですか?”
“イエース”
むかしの脚本家ってホントにいいですなあ、うらやましくてならん(笑)。
◆フランキー堺、きざなメガネの日系三世役でまたも珍妙な日本語をあやつる、淡路恵子のクラブで披露する日系アメリカ人風日本語による「アカシアの雨に打たれて」には大笑い、ハンカチによるサックス演奏芸までやるが、いやあこの人はほんとにスゴいです。みていた森繁が「感じの悪い奴だ」と毒づくが、マジに対抗心があったかもしれない。
◆池内淳子が演じる北九州若松の「消防芸者」〆奴、火事があったらなにがあっても現場にすっとんでいく、おかげでモリシゲは浮気しそびれるが、若松の消防芸者なんてのは全然知らなかった。また、若戸大橋の開通シーンがでてくるが、当時としては画期的な橋梁だったことをあらためて認識する。まあ何かと知識がつく映画であります(笑)。
◆蕎麦の斬新な食べ方
森繁社長、はさみちょっきんはやめて、フォークで食べている。しまいに箸にもちかえるが、匙を投げるではなく、フォークを投げるの巻。
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by chaotzu | 2005-08-01 22:21 | 日本映画


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