マイ・ラスト・ソング

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2005年 08月 07日

【DVD】 「社長忍法帖」 会社忍法単身赴任の巻

◆小説家の故山田風太郎、いちおうエンタメ小説メインであるが、ミステリあり明治開化ものありでなかなか分類が難しい作家である。小説ではないが「人間臨終図鑑」は大傑作であるし、日記やエッセー類も面白い。ひと言でいうと分類不能の異能作家である。
しかし、世間的には忍法作家のレッテルを貼られているだろう。1960年代前半から次々出した忍法帖シリーズが大当たりして、日本中が空前の忍法ブームになった。「甲賀忍法帖」や「くの一忍法帖」など著名であるが、全部で30作近く書いているのではないか。従来の時代小説の延長線にあるものではなく、時代SFといったほうが適当かもしれない。とにかく奇想天外、こんなアイデアをどこからひねりだすんだろうと感心したものである。
もっとも、ワタシが読んだのはブームの去った後であり、忍法帖というよりも、エロ小説としての興味で読みふけったことも白状しなければならない(汗)。いまから思うとどれも下積み忍者の悲哀が隠し味になっており、戦中戦後に青春期を過ごした風太郎の無常観が根底にあることもたしかだ。
閑話休題、そんな日本中を席捲した忍法ブームを映画界が見逃すはずがない。社長シリーズも早速忍法を取り入れるのである。ちょっと強引すぎやしないか(笑)。b0036803_7592357.jpg
◆1965年東宝映画、前作「社長紳士録」で小林桂樹と司葉子が結婚にゴールインしたことを機に、社長シリーズはひとまず終了となっていたが、ファンの要望が相次ぎ1年ぶりに再開する。本作は第2期社長シリーズの1作目である。
今回の森繁氏は、岩戸建設の社長さん。民間の工事も公共事業同様、建設業界の話し合いで仕切られることが多い。企業グループの系列関係や親密さもある。それでもときに「話し合い」が乱れることもある。森繁社長、これまで得意先であったはずの大学体育館工事をライバル東西組に奪われそうで「業界のエチケット」に反すると憤っている。 そこへ札幌出張所のフランキーが毛ガニ持参で登場、万才生命札幌ビル新築の情報をもってくる。万才生命はこれまで東西組の縄張りであったが先ほどの件もある。よし業界仁義を無視した報復だ、いっぺん勝負したれとあいなります。
◆のり平総務部長が忍法に凝っている。受注競争に勝つには「くの一忍法」だの持論を展開、なに宴会できれいどころの芸者をパァーっと使って篭絡しようという、相も変らぬ接待作戦である。そんなものが都合よく通用するはずもなく、くの一忍法はあえなくおじゃん。以下「忍法回転レシーブ」とかあるが、しようもないので略(笑)。
最後は忍法を駆使するよりも、ていねいな工事施工による信頼性維持がなによりいちばんという、きわめてまっとうな結論になります(笑)。
◆残念ながら宴会芸はない。見どころは発展途上の札幌とその周辺である。時計台とか(時計台は実物よりも映像にかぎる)、羊が丘とかである。札チョン族なるコトバも既にあってすすきのトルコが公然の話題になっている(笑)。札幌のクラブの売り上げの8割までが東京からの社用族だなんて会話も出てくる。まだ冬季オリンピックの前であり、ニュータウンとして発展途上の真駒内団地も出てくる。札幌の街もまだそんなに大きい建物はないし、千歳空港なんて小さなものである。洞爺湖に昭和新山も出てくる。ラストを飾るのは羊蹄山。なんだ、ほとんど北海道の観光紹介映画みたいである。
冒頭、本社出張のフランキーは社長から飛行機でなく安上がりの汽車でくるよう云われている。札幌ー東京間を国鉄利用にすると、片道だけで1日がかりではなかったか。日本人の大半にとって、まだ北海道は半分外国みたいなところであって、北海道観光がそんなに一般化していなかった時期だ。だから、映画の観客は札幌の光景だけでも新鮮で満足したかもしれない。
◆札幌ラーメンの店「三平」が出てくる、みなさん旨いねえと食べている。加東大介の常務は持ち帰りスープを一升瓶につめてもらうよう頼んでいる。ワタシも札幌で味噌ラーメンなるものをはじめて食べたが、その旨いことに感激したことがある。その時は街中が「虹と雪のバラード」であふれかえっていた。
フランキーがつちのこみたいな形の瓶ビールを鞄に収納している。懐かしのサッポロ・ジャイアントだ。三船敏郎のテレビCMで「オトコは黙ってサッポロビール」、流行りましたな。
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by chaotzu | 2005-08-07 08:10 | 日本映画


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