2005年 08月 09日

【DVD】「津軽じょんがら節」 あんた、ふる里がみつかってよかったね

◆1973年日本映画(斉藤耕一プロ&ATG)。1970年代ATGの大ヒットであり、リアルタイムでみておれば、間違いなくはまったであろうと思う。絵もよし三味線もよし、なによりストーリーが明快で分かりやすい。先の展開がよめて、それがまたそのとおりになるから、解釈に悩む必要がない(悪口に非ず)。
津軽の荒波にしびれたあげく、あーオレもこんな寒村でひっそりとしじみ漁でもして生きていければいいなあ、もう都会の喧騒は性に合わんよ、なんて思ったかもしれない(笑)。
ところが、いまみると、もうひとつ盛り上がるものがないのだ。ナンデダロ(byテツ&トモ)?
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◆東京に出奔していた江波杏子がわけありのチンピラヤクザ織田あきらを連れて、津軽の故郷に戻ってくる。両親も兄弟も亡くなり、住んでいた家も他人の手に渡っている。海辺のポロ小屋を手入れして2人の生活をはじめる。なにせ近くのパチンコ屋までバスで2時間という過疎の寒村であるので、オトコのほうはいらいらしてばかりである。

◆オトコ1人とオンナ2人の物語である。うち江波杏子が抜群にいい。親の墓を建てられない悲しみ、故郷に決別する哀しさ、オトコと別れる辛さ、もう胸をうたずにいられない。それまでの女ツボふり師のイメージを払拭する出来であり、この作品でうまくイメチェンできたことはまちがいない。
問題は新人の織田あきら、とにかくアマちゃんぶりが目立ってしかたない。厳しく突き放すと、はじめは年上の江波杏子に甘えて、次は不幸な出生で盲目の少女中川三穂子に甘えである。東京で事件起して逃げてきてるんだろ、もうちょっとコンジョー入れてしっかりせんかいと思ってしまうほどだ。せっかく西村晃の老漁師と擬似親子の関係まで出来かかっていたのに、ラストは案の定というか……、まあもうひとつ感情移入しづらいキャラ、きつく云うと芝居下手なのだ。
だけど、公開当時であればそれでよかったかもしれない。ヘアスタイルからファッションまでもう70年代そのもの、スーツ姿のまま海に駆け出したり、しじみ漁に出たりの着たきりスズメである。だけど、そのダサいところが70年代の空気というものだったかもしれない。いまなら、気恥ずかしいけどね。
◆この映画は故郷のないオトコが、オンナの故郷である津軽の寒村に行って、そこではじめて自分なりの故郷を見出すはなしでもある。脚本(共同)は中島丈博、ははあ「祭りの準備」は、この映画の逆パターンをやったんだなと気がついた。
◆ムラの若い衆で漫画家の上村一夫(故人)、川本コオ、山松ゆうきち、高信太郎、葉原アキなどが「特別出演」している。失業保険がもらえる間はオイチョ・カブなどでぐうたら過ごし、保険が切れると出稼ぎに行くという、希望のない過疎地の青春を演じている。
「同棲時代」で映画界に縁ができた上村一夫が引っぱりこんだのだろうか。
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by chaotzu | 2005-08-09 22:42 | 日本映画


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