2005年 08月 15日
◆60年前の本日は日本が戦争に敗れた日、正確に云うとポツダム宣言の受諾を表明した日である。昨夜、NHK・BSで8月15日の特集をやっていたが、昭和天皇の玉音放送を聴いて直ちに敗戦を理解できたひとは少なかったようだ。たいていのひとは口コミなど別ルートでようやく敗戦を知るに至る。まだ戦争状態のひともいれば、下士官が日本刀で将校を追いかけ回したり、軍需物資の猫ババがはじまったりなど、当時居あわせたひとの証言はいやはや想像を超える人間模様を描き出す。 まあそれはさておき、本日は戦禍に倒れた戦没者310万人の御霊を追悼するべき日なのである。 ところがそれなのにクレージー・キャッツの映画なんかみて、ついつい笑ってしまったりしたのである。まことに遺憾に存じます。 ◆1965年東宝映画、クレージー・キャッツ結成10周年記念と銘打たれた作品であるが、なんというか、ごちゃ混ぜチャンプルー映画である。 はっきり云うと全編でたらめだらけの怪作、突っ込みどころ一杯でそれを愉しむ映画にもなっている(笑)。 例→神戸のシーンなのに、なぜ横浜のマリンタワーが堂々と映っているんだ? 新幹線で敵一味に捕まった谷啓が、平然と神戸で再登場するが、この間なにがあったの? ◆オープニング・タイトルのあと、ボロ・アパートが登場、植木等と谷啓・団令子兄妹が住んでいる。植木等は三流週刊誌の記者役、いわゆるトップ屋である。学生時代は体操選手でならしていたらしい。いきなり調子よく唄がはじまる。こういうのは植木等でなければさまにならない。 ♪ 学生時代は優等生 万能選手で人気者~今じゃしがないサラリーマン こりゃまたどう云うわけだ 世の中間違っとるよ まことに遺憾に存じます このとき、植木等38歳であるが、体がよく動くこと、走り回るだけじゃなく、トラックの荷台に飛び乗ったり、馬から落ちたりのハラハラアクション連発である。荒唐無稽といってもいい。実際芝居はたいへんだったろう。 他のクレージー・メンバーは谷啓が発明家、ハナ肇、犬塚弘、石橋エータローは警視庁の珍妙な刑事トリオ、桜井センリは週刊誌編集長役、安田伸は金持ち坊ちゃんの二世社長役と、それぞれキャラに見合った役どころである。犬山城で植木等が突然犬山節?を唄いだして、尾行の刑事トリオがいっしょに唄って踊りだすところなんかは、バカバカしすぎて笑ってしまう。 ◆くどいようだが、はなしそのものは目茶苦茶、国際にせ札団の暗躍からはじまって、ヒトラーまで登場、チープなポロアパートからはじまったはずが、絶海の秘密基地と円谷流大特撮に至る。無責任サラリーマン映画+007にナポレオン・ソロみたいな、もう説明するのもアホらしいぐらいのいい加減さ(笑)。 それでも、そこそこヒットしたそうだから、絶頂期のクレージー・パワーたるやおそるべし。この当時は、クレージーの映画をみにいくのがトレンドであったし、植木等の唄は小学校でもたちまち大流行りしたように記憶している。 ◆植木等のトボケ味炸裂。潜水艦で捕まったとき、ニセ札組織の女ボス越路吹雪(よく出演したもの!)に辞世の歌を歌わせてくれと頼む。 “ねえちゃんよ、死ぬ前にいっぺん唄歌わせてくれねえかな” ♪たとえこの世にながらえて毎日おいしいもの食べて~ ~同じことなら、死にたくないよう、ウッヒャッヒャッヒャ 越路吹雪がひと言 “バカぁ” 銃殺刑を執行される直前まで団令子を口説いている “こうなったらせめて生きてるうちに僕と結婚してよ” “だったらわたしは清い乙女のままで死にたいわ” “ぼくがこんだけ愛してるのに、死ぬ前の人間がウソなんかいわないよ” “じゃ結婚してもいいわ” オイオイ、それどころかよ(笑) ◆最後は当然、クレージー・キャッツ7人の唄でしめる。大冒険マーチだ。 ♪ドッカン、ドンガラガッタ 株で儲けて特許をとって 石油堀りあて大金つかむ やって出来ないことはない、まずてはじめにい~ ちょいと100円貸してくれ。 うーん、クレージー・キャッツって、やっぱり素晴らしいですな。
by chaotzu
| 2005-08-15 23:40
| 日本映画
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