2005年 08月 20日

【DVD】「駅前開運」 グレート・アカバーネ

◆1968年東京映画、久々の駅前シリーズである。シリーズの22作目、もうどうでもいいか(笑)。1作目の「駅前旅館」を手がけた豊田四郎監督の駅前カムバック2本目であるが、これが遺作になったらしい。
舞台は京浜東北線の赤羽になる、開かずの踏切やゴミ焼却場反対運動など赤羽地域の社会問題をとりあげており、コメディとしては散漫な印象であるが、物語の主役は昭和40年代前半の赤羽風俗ともいえる。赤羽マニア?にはたまらないだろう映画。

b0036803_2333078.jpg◆冒頭、昭和21年の買出し列車の情景からはじまる。汽車のなかは伴淳やフランキーなど闇屋でいっぱいであるが、警察隊の臨検があるので用心は怠れない。せっかくの闇米を終点の上野まで抱えていくのはリスクが高い。いきおい、東京の北出入り口になる赤羽地域に闇屋が定着することになる~なんてことを書いたが、この映画の受け売りである。その後、赤羽が屈指の小売業地域になるのはご存知のとおり、そのルーツを闇屋がつくったとは、いやあ、勉強になりました。

◆20数年経って、闇屋あがりの伴淳は赤羽西口、学生姿の闇屋であったフランキーは赤羽東口で、いずれもスーパー風の商店を経営している。もっとも、経営の実権は沢村貞子や森光子など女性陣にある。安値合戦にしのぎをけずっており、卵が目玉であるが、まだ専用ケースがないため、ただのビニール袋に入れて売ったりしている。
森繁はなにやら怪しげな経営コンサルタント、赤羽活性化の参謀役といった役回りである。残念ながら、のり平や淡島千景の出演はない。森繁の相方は野川由美子である。年の差カップルであるが、ラストではなんと……。

◆実際、赤羽地域の活性化は大きな問題だったようだ。開かずの踏切で東西地区に分断されてしまい、街の一体性がない、フランキーは西地区マンモス団地の住民が東口の商店街に流れてこないのが歯がゆくてならない。このほか地下鉄の誘致や市街地の近くで建設される清掃工場の公害問題もある。だから、森繁の仲介で代議士の山茶花究に陳情したりするが、相手もさる者でお金をむしられるだけの始末である。

◆「メーカー連合会」と称する怪しげな連中がフランキーや伴淳の店に値引き商品を調査にくる。メーカーにしてみれば価格秩序を乱す赤羽の安売りは目の敵だったようだ。そういえは、ダイエーと西友で起きた「赤羽戦争」もこの時期じゃなかったか。この映画の1年前、当時日の出の勢いであったダイエーが、松下電器のカラーテレビに付された秘密の出荷番号を暴露して、やんやの喝采を浴びたそんな時代だった。仕入先を突きとめるための秘密番号はこの映画でもちゃっかりとりいれている。
(だけど、そのダイエーもすっかり凋落してしまい。松下電器のほうはなお健在である。)

◆大手メーカーの圧力で仕入れができなくなった伴淳とフランキー、とうとう贓品に手を出して警察の手入れをうけるはめになる。ここで懐かしやてんぷくトリオが警官役で登場する。藤村有弘署長とのやりとりはまさに劇中コントである。この時期の伊東四朗はなよなよした役回りであり、それがまたおかしい。
(三波)“我々逮捕配置20名は賊の潜伏中ホテルを急襲”
(署長)“よーしっ、見事!”
(戸塚)“全員の士気究めて旺盛、意気まさに天を突く気概”
(署長)“よーしっ、見事!”
(伊東)“水も洩らさぬ鉄壁の警戒網、女賊の部屋めがけて一気に突入”
(署長)“うーん、見事!”
(伊東)“はっ、見事に取り逃がしました”
(署長)“バ、バッカモーン!”

◆代議士役の山茶花究、なにをやっても巧いものだが、とくに胡散臭い役は絶品。この映画公開の3年後(1971年3月)にはガンで亡くなってしまう。そういう視点でみると、まだ54歳というのに、老け顔がすっかり進行している。それがまた代議士らしくみえるのである。役者の業か。
黒柳徹子が警察署長夫人役で登場、タマネギあたまでないから、はじめダレだかちっとも分からなかった(笑)。

◆最後を締める?のは赤羽バカ祭り、ほんとにあるんですな。稼動をはじめた焼却場から黒い粉塵が舞い落ちるなか、駅前トリオが踊りまくる。
なんといっていいか、もの凄いシュールさとしかいいようがない(苦笑)。
ロケに協力した商店街はつくづく太っ腹だと思う。エラい!

♪バカだバカだと云うけれど バカじゃ踊れぬバカ踊り
 行こか行きます手をとって みんなで踊ろうバカ踊り
 ハァ それそれ
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by chaotzu | 2005-08-20 23:16 | 日本映画


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