マイ・ラスト・ソング

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2005年 08月 25日

【DVD】 「社長紳士録」 パッパカラァのパァッといきましょ

◆1964年東宝映画、第一期社長シリーズの棹尾を飾る作品(厳密には「続・社長紳士録」になるが)で、小林桂樹秘書がやっとこさ司葉子との結婚にこぎつける。もっとも、その結婚式の日取りも媒酌人森繁社長の都合で、再三振りまわされるのである。

b0036803_2395796.jpg◆森繁氏、はじめは社長でなく大正製紙の常務として登場する。左ト全社長から子会社である大正製袋の社長を命じられる。よーし、小なりといえど一国一城の主だ、小林桂樹秘書を伴って、勇躍着任すると待ち構えていたのが、加東大介営業部長にのり平総務部長そして、バネがすぐ壊れるポロ椅子である。
のり平が早速宴会の提案をする。
“パッパッとやりたいと思っております。一次会がパッ、二次会がバッ”
“下の社員食堂でね、あんパンとラムネでやればよろしい”
“あんパンとラムネでは胸焼けしてしまいます”
なにせ、のり平のレゾン・デートルである。簡単に引き下がるわけにはいかない(笑)。

◆これまでの社長シリーズのなかでは艶笑度がいちばん高い。もちろん、ただ今の映画にある大胆な性描写に比べればほのぼのしたもんであって、実際はキスシーンすらないのである。エッチ方面はもっぱら会話オンリーで展開していく、貝原益軒の養生訓まで引き合いにでるが、子供が聴いてもなんのことか分からないだろう。
森繁と草笛光子クラブママの会話
“じゃお互いに満たしあおうじゃないか”
“いつも口先ばかりで勇気もないくせに”
“いや勇気は満ちあふれとるんだがね、残念ながらチャンスがないんだよ”
“チャンスは勇気が作るものよ”
ここまで云われると、モリシゲ氏も奮い立つ、子供の運動会より浮気である。小林秘書にダミーの用事をもって自宅に来るよう申し付ける。奥方向けのアリバイ工作である。ところが、桂樹さんは自分の結婚式の段取りでアタマいっぱい、すっかり忘却のかなたで、モリシゲ社長が必死に示唆しているのに気がつかない。もう大笑いする。
なんだかビリー・ワイルダーの艶笑喜劇に似たテイストである。そうそう、社長シリーズはワイルダーのB級コメデイを日本に移し変えたところがあるなと、今頃になってようやく気がついた。

◆社長として初出張は鹿児島、取引先の若社長がフランキー堺であるが、なんと稚児趣味の薩摩人という設定である。城山観光ホテルで恒例の宴会芸は「田原坂」
♪雨は降る降る 人馬(じんば)は濡れる
  越すに越されぬ 田原坂
ところが、フランキーが三木のり平演じる馬上の「美少年」をみて、“よかにせの稚児どん”とひと目ぼれ、のり平をおいかけまわすのである、まさに珍演。のり平がすっかり消沈してしまい、森繁社長から“パァッといこう”と云われる始末、立場が逆転するのがなんだかおかしい。
薩摩弁の勘違いもいろいろ飛び出す
「すっぱい」=全部≠なにスパイだって、そりゃたいへん(のり平)
「けしん」=亡くなった≠そりゃよかったですな(のり平)
「ちんちん行きもうそ」=そろそろ行きましょう≠いやそこまでロコツに(森繁)
しまいに薩摩弁の標準語「翻訳」字幕まで出てくる、はじめてみもしたでごわす(笑)。

◆森繁社長の結婚式スピーチ、いやうまいもんです。
“このう、昔から嫁に行くにしても「片づく」といいます。まことにそのぅ片づく生活で、
えー嫁に行ってしまいますと、
「あなた、朝早く起きて下さらなきゃ片づかない」とこう云います。
で、夜になりますと、
「ちっとも食事に帰ってこないから片づかない片づかない」と云います。
そうしてだんだん女性も歳をとって
「ばあさんもとうとう片づいたか」なんつって………”
(1拍おいてびしっと決める)“こういうことではいけないんであります”
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by chaotzu | 2005-08-25 23:22 | 日本映画


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