2005年 08月 28日

【DVD】「白昼堂々」 なんと渥美清と倍賞千恵子の夫婦ですか

◆子供のとき、町内に炭鉱離職者用の住宅が建てられた。鉄筋4階建てぐらいの集合住宅はみかけも間取りも当時の公営住宅と似たもので、いまの基準でみればウサギ小屋である。
今にして思えば、ずっと慣れ親しんだ筑豊や三池の故郷を離れて、見知らぬ土地で新生活をスタートさせたひとたちは、いかにたいへんであったか。ただし、子どもたちは皆しっかりしていた。親の窮状を理解していたのだろう。同じ貧乏人の子どもどうしでも、こちらが気おされるものがあった。東大に進学した者も何人かいたはずだ。
しかし、新生活に飛び込めるひとは、まだましなほうだったかもしれない。炭鉱労働者のなかでも最下層のひとたちは、どこにも行き場がない。在日、障害者、高齢者その他差別される者たちが身を寄せ合ってボタ山のスラムに住みつくようになる。そのうち生きていくために泥棒稼業をなりわいにするようになる。

b0036803_22193487.jpg◆1968年松竹映画、故結城昌治原作小説の映画化、実在の泥棒部落をモデルにしたものらしい。かつてスリでならした渥美清が炭鉱閉山で行き場をなくした40人のヤマ仲間にスリの技を教えるが、そのうちデパートの集団万引きに手を染めるようになる。そしてスリ一筋の有島一郎刑事と対決せざるをえなくなる。~と、筋書きを追えば、実にステキな題材なのである。それなのに、もうひとつ消化不良の出来映えである。いったい人情喜劇なのか、それとも社会派ドラマか痛快犯罪ものなのか、どれもこれも中途半端になっている。野村芳太郎監督、コメデイはあまり上手くないな。おっと、ついエラそうなことを書いてしまった。

◆集団万引きの手口とは? とにもかくにも組織的な連携プレーの徹底である。全体を把握して合図のサインを出すリーダー、売り場の全店員に応対させて注意をひきつける役、万引き現場を隠す煙幕役、高級反物等を盗む役、万引きした品物を店外に持ち出す役、さらに盗品を換金する役など見事なまでに役割分担がされている。場合によっては、わざとダミーの万引き騒動を起して注意をひきつける役まで用意する。このほか、マネキン人形を着せ替えと偽って、堂々と売り場外に持ち出す手口もある。
この調子で全国の百貨店を「巡業」してまわり、筑豊に戻ってドンチャン騒ぎをするのが、みんなのたのしみである。「泥棒部落」の入り口は鉱山事故で記憶喪失のマーチ(田中邦衛)が見張っており、侵入者を発見すれば、たちまち大音量の軍艦マーチが鳴り響く仕組みになっている。

◆倍賞千恵子がひとり稼業の女スリで登場、グループの顧問格で盗品の捌き役である藤岡琢也の仲介でグループに参加する。そしてなんと渥美清と「契約結婚」してしまう。
う~ん、ものスゴい違和感あり、やっぱり兄妹だよなあ。おまけに伝法な役で、太もものイレズミ(手書きのニセもの)をみせて啖呵を切る場面まである。おいおい下町の太陽がそんなことしたらいかんばい。
野村芳太郎監督はなにか恨みでもあったのだろうか(泣)。

◆フランキー堺が万引きグループの顧問弁護士格で登場、すっとぼけたいけシャーシャー演技で有島刑事を苛立たせる。どんな役でもこなすが、やっぱりこういうこずるいというか胡散くさい役回りがこの人にはいちばんあっている。
いっぽう、藤岡琢也のほうはどうも湿っぽくなっていけない。もっとからっとしたコン・ゲーム風に仕上げれば面白かったと思うのだが、このひとの役回りがどうもウェットすぎる。中途半端な喜劇になってしまった原因のひとつであると思う。
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by chaotzu | 2005-08-28 22:25 | 日本映画


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