マイ・ラスト・ソング

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2005年 09月 04日

【ビデオ】「やくざの墓場~くちなしの花」 ラストは不敵なVサイン

◆本日のTBS報道特集で、運転免許証の更新時に任意の交通安全協力会費を「詐欺」的に徴収している実態を報じていた。集めたお金の大半が警察OB等の人件費に化けていることまで暴露している。警察の外郭団体がしているとはいえ、まるでやくざみたいな集金手口である。
さて、やくざ映画の興趣に攻守交替がある。暴力団員役の俳優がマル暴の刑事を演じて、刑事役が逆に暴力団員になる。いったいどんな顔して演じるのかみたいもの。たとえば、菅原文太の刑事、おそらく全然変わらないはずだ、どっちをやっても違和感がない。つまるところ、先ほどの交通安全協力費ではないが、やくざもケーサツも似たようなもんじゃないかってことになりかねない(笑)。もともとの暴力体質は共通しており、人生の運命は、さいの目の転がり次第といえば言いすぎか。
そういえば、幼馴染の友だちが幾星霜過ぎて、刑事と暴力団幹部で再会するというのも、エンタメ小説でよくある食傷パターンである。

b0036803_2174355.jpg◆1976年東映映画、冒頭に昭和51年度文化庁芸術祭参加作品のクレジット、ものすごいイヤミ(爆笑)であるが、こういうのって大好きである。
渡哲也がマル暴一筋のベテラン刑事役であるが、ダボシャツに紫腹巻と、かつての関西ヤクザの定番ファッションで登場、どっからみてもヤクザにしかみえない。仕事に打ち込むほどに、ミイラとりを実践してしまう。
それにしても、この人の場合、闘病経験が演技の凄みをましたようだ。

さて、大阪府警(たぶん)の陣容であるが、本部長が大島渚(ホンモノ)、副本部長が成田三樹夫、地元署長に金子信雄、所轄刑事に川谷拓三、渡哲也の同期刑事が室田日出男といった面々、なんだか、大島渚を別にすれば、ほとんどヤクザ俳優である。しかし、成田三樹夫なんかは黒ぶちメガネで神経質そうな警察官僚を演じてうまいもんである。その点川谷拓ぼんはチンピラ・ヤクザとほとんど変わらない、チンピラを武道場で喝入れするつもりが逆に投げ飛ばされたりしている。
いっぽう、暴力団側は藤岡琢也の組長に梅宮辰夫幹部そして、チンピラ小林稔侍などの布陣である。梅宮辰夫が警察の幹部を演じる映画をみたことがあるが、このひとの警察官だけはあまりオススメできない。案外真面目にこなすが、その分爆笑しかねない。漬物屋をやったりするからよけいにである。小林稔侍は長髪でまだ細く、なんにでも化けそうな現在の貫禄がウソみたいである。

◆金子信雄の署長も某組長のまんまで、まったくいっしょ(笑)、制服を着ているかいないかだけだ。地元暴力団とべったり癒着していて、平気で宴席に同席し芸者を要求したりする。
かつて地元暴力団の組長と交際する警察署長がいたことも事実。歴史的な経緯もあるし、地元の顔役とパイプを通じていることも署長の内々の仕事とみられていたのだろう。もちろん、本部のキャリア本部長や刑事部長は見てみぬふりである。それで組長の息子の結婚式に来賓出席して新聞に叩かれる署長もいたぐらいである。この映画では、さらに警察OBによる金融会社まで登場する。やくざの上前をはねる無敵みたいな存在である。
主役の渡刑事は、こういった警察と暴力団が裏で癒着していることが我慢ならない。だんだん警察組織のなかで疎外感を感じるようになっていく。

◆在日を堂々と標榜する暴力団員も登場する。地元組の武闘派幹部梅宮辰夫は警察と一線を画しており、“100%あっちの人間やで”と渡刑事に打ち明ける、そしてなんというか、兄弟分の盃を交わしてしまうのである。それぞれ所属する組織のなかではアウトロー的存在である故、意気投合してしまう。マル暴刑事と暴力団員の兄弟盃、とうとうやくざ映画もくるところまできた。

◆渡哲也が唄った「くちなしの花」がヒットしたので、それに便乗してつくられた側面もある。だからやくざ映画と悲恋映画のハイブリッドだ。刑務所に懲役中の若頭の妻(梶芽衣子)は朝鮮人と日本人のハーフという設定である。大陸引揚者の渡刑事はやがて親密になっていく。ただし恋愛映画としてはどうも中途半端で無理矢理とってつけたみたいだ。男女のさまざまな愛という点では、「仁義の墓場」のほうが奥が深い。
鳥取の海岸で、渡刑事と梶が海水に濡れそぼって抱き合ったりしている。リアルタイムでみた人は、渡哲也の健康が気になってしかたなかっただろう(笑)。

♪いまでは指輪も回るほど やせてやつれたおまえの噂
 くちなしの花の 花のかおりが 旅路の果てまでついてくる
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by chaotzu | 2005-09-04 21:26 | 日本映画


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