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マイ・ラスト・ソング

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2005年 09月 07日

【DVD】「緋牡丹博徒・鉄火場列伝」 必見!お竜さんの阿波踊り

◆ついついテンシンビンと読んでしまいそうな天津敏、真に中華帝国の刷り込みオソルベシであるが、それはさておき、このひとは緋牡丹シリーズのみならず他の作品でもずっと悪役を通しつづけたのではなかったか。
このところ、毎回お竜さんや健さんにぶった斬られるアマツさんをみるにつけ、やはりものの哀れをおぼえてしまうのである。生きてるうちに、善玉役もやらせたかったなあと思わずにいられない。つまり自分がみたいわけなんだが。情がうつるというか、よくよくみればお茶目な顔つきなのである。こういってはなんだが、待田京介のほうがよほど凶悪顔じゃないかと思わぬでもない。

【DVD】「緋牡丹博徒・鉄火場列伝」 必見!お竜さんの阿波踊り_b0036803_23225049.jpg◆1969年東映映画、再び旅の身空となったお竜さんが四国・徳島に登場する。徳島刑務所から出所する子分の引き取りであるが、その子分は重病で息も絶え絶えである。刑務所はやくざなんか人間じゃないと手当てもせず、早く出ていけの一点張り、嵐のなかを人力車で医者探しに奔走するお竜さんを、元やくざの待田京介か救う。こんどはいつもの富士松じゃなく、足を洗った元やくざという設定であり、筋目に厳しい。緋牡丹のお竜ならば出て行ってくれという。当の子分は看病のかいなく亡くなってしまうが、いまわの際に、かつて親分を「かたわの女」と侮蔑されたことで殺傷沙汰を起したことを告白する。やれやれ娘渡世の悩みは尽きない。

◆待田京介の運送業を手伝うふつうの人間としてのお竜さんが登場する。徳島藍の産地であり、出荷量の帳面付けをしている。平穏な日々だが、やっぱりというか長くは続かない、悪い奴がでてくるのだ。もっとも、このままでは映画にならないのだが、敏ちゃんとその黒幕の河津清三郎である。小作争議に介入して、待田京介が元いた組まで乗っ取ろうとしている。

◆鶴田浩二が「仏壇の三次」なるシリーズ随一といえるユニーク・キャラで登場。かつて渡世の義理で殺めた男の位牌と仏壇を携え、さらに男の遺児(女児)の手までひいている。これ以上はないというほど反省過多で良識ある侠客、ものすごくウソくさいが鶴田浩二ならさまになる。天津敏がやれば、女の子をすぐ売り飛ばしてしまいそうだ。そして、この鶴田浩二がお竜さんの悩める魂を救うのである。

◆今回、お竜さんの暴力面の助っ人は、大阪やくざの丹波哲郎、シリーズ第1作でお竜さんに倒された大木実の兄貴分という設定ではじめお竜さんと対決するが、直にお竜さんの正義を覚る。白ずくめ背広のキザっぽい役で、阿波のお大尽賭博でやってきたが、田舎ものの賭場はどうも性にあわない。ラストは見事に洒落たオチを決めてくれる。
もうひとり、お馴染みの熊虎親分(若山富三郎)、お竜さんのためなら何でも引き受ける。お竜さんにチクられた悪玉はたいへんだ。河津清三郎がなんぼワルだといってもなあ、そりゃないよというお仕置きぶりは、真に気の毒としか云いようがない。

by chaotzu | 2005-09-07 23:25 | 日本映画


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