マイ・ラスト・ソング

chaotzu.exblog.jp
ブログトップ
2005年 09月 09日

【DVD】「緋牡丹博徒・お命戴きます」 その焼香お待ちなせえ

◆1972年東映映画、シリーズ7作目、もうくたびれてきてもおかしくない頃だが、ストーリー的にはよくまとまっている。お竜さんが対峙する悪玉はやくざだけにかぎらない。こんどは埼玉熊谷の軍需工場が垂れ流す公害問題だ。いちおう任侠映画の看板はあるが、このシリーズは明治期日本の社会問題もかなり採りあげている。
たしかに娘渡世だけだったら、ただのファンタジーと変わらないものになってしまいそうだ。

b0036803_21293220.jpg◆冒頭。伊香保温泉の賭場、お竜さんが濡れ衣のイカサマを仕掛けられそうになり、鶴田浩二の助力で窮地を脱する。勝っている客に胴元が仕掛ける逆イカサマであるが、この前に汐路章のコブ安が同じ目に遭って、お竜さんに救われるといった伏線がある。
毎度不思議に思うことだが、このシリーズでイカサマをやった人間は全然反省しない。それどころか逆恨みしてお竜さんをつけ狙う。バレないかぎりいかさまも博打のうちと思っているのだろうか。本当は命令し見捨てた親分を恨むべきなのに、なぜかバラした側を逆恨みする。本作でも同じパターンを継承しており、お竜さんに同調した鶴田浩二まで狙われるのだから、いやはや。

◆高崎観音の勧進賭博でやってきたお竜さんがワラジを脱ぐのは、前述の伊香保事件で知り合った武州熊谷の鶴田親分宅、ところが鉛工場の廃水等による稲枯れで大変なことになっている。百姓の側にたつ鶴田浩二が工場に掛け合いにいっても、陸軍からの駐在監督官(大木実)は
“この国家非常時に貴様は人間のクズか、帝国軍人に反抗する気か”
と軍刀で叩きのめし、鶴田浩二は半死半生のめにあう始末。ところがこの陸軍大尉も裏では工場長や工場出入りの地元やくざ(河津清三郎)から接待漬けなのである。

◆それでもめげずに公害反対運動を主導する鶴田親分に、辛抱たまらない悪玉の河津清三郎が鶴田組の代貸しを抱きこみ、伊香保のイカサマやくざを使って鶴田親分に闇討ちをかける。哀れ鶴田親分、小学生のひとり息子を残して亡くなってしまう。
そして、河津ワル親分が平然と焼香にやってきて、組の始末から鶴田妹の縁談まで指図するありさま。真面目な子分の待田京介なんかは大反発するが、お竜さんがいさめる。
“いますることは親分さんの遺志を受け継ぐことじゃなかこつか。それはそこにいなさるお百姓さんのこつでしょう、さあお通夜をしましょう”

◆お竜さん急遽上京、こうなれば陸軍大臣に直談判だ。ところが面会を頼んでも取り合ってくれない。まして無職渡世である。やむなく夜の料亭まで押しかける、そこでバッタリ会うのがなんと兄弟分の熊虎親分(若山富三郎)。
最近は陸軍関係の仕事で中国大陸に行き来しているらしい熊虎親分、大臣とじっ懇の仲らしい。しかし何の仕事をしているんだろう?
やとなの胸に手を突っ込んでいた親分、しどろもどろになって
“コラ、オマエなんちゅーことさらすねん、日本男子の手を引っ張り込んだらあかんやないかい”
と取り繕う。手を突っ込んでるのは親分だろうに。
そこへ湯上りの陸軍大臣がフンドシひとつ、ご機嫌で戻ってくる。おう、よかオナゴじゃとお竜さんに抱きつくが、たちまち投げ飛ばされて襖をぶち破る。
フンドシ大臣びっくりして
“こげなよかオナゴの暴漢、どこの暴漢たい”
“九州は熊本人吉ですばい”
“おお、おいどんは鹿児島じゃ、今夜は九州もんで飲み明かすとすっとばい、チェストー!”
まあ、この辺はご都合よすぎる展開でありますな(笑)。
大臣の石山健二郎、「二代目襲名」では寡黙な川筋もんを演じていたが、今度は冗舌なセクハラじいさんで笑わせてくれる。

◆形勢一変、陸軍省が工場調査団を派遣するという。工場長、軍監督官、悪玉やくざの三人組が鳩首協議。3人が着服した灌漑工事の費用を返還しようと工場長が提案する。大木大尉がビックリする。そんなんもらってないぞー。河津親分が反撃する。“アンタの東京の家の新築代やらなんやかやのお金、どこから出た思うてますんや” もう、このあたり大笑いである。

◆伊香保でお竜さんに助けられたコブ安が、河津ワル親分の悪事を探索し、お竜さんに伝えて絶命する。“あなたは綺麗なかただ、この世でみたなかでいちばんだ”
汐路章、このシリーズではバケ安とかコブ安など畸形人間の役が多いが、やっと報われた。
さて、鶴田親分の初七日、河津ワル親分がヌケヌケと焼香しょうとしたとき、喪服姿のお竜さん登場、アンタの悪巧みはみんなばれとりますばい。
あとはお約束の展開、悪い奴は工場の汚い廃水まみれになって、こんなはずじゃなかったのにと倒れます。

◆鶴田浩二の遺児のために、お竜さんが東京でクレヨン?を買ってくる。その男の子がお竜さんを描いたといって絵をみせにくる。「おかあさん」と書き足している。ベタだけど泣かされます。
[PR]

by chaotzu | 2005-09-09 21:33 | 日本映画


<< コイズミ劇場の功罪      【DVD】「緋牡丹博徒 お竜参... >>