2005年 09月 09日

コイズミ劇場の功罪

◆2001年4月に小泉政権が発足してから4年5ヵ月、この間、コイズミさんのリーダーシップによる「業績」といえそうなものを指折り挙げてみる。
自分なりの評価であるが、まあさびしいものだ。

b0036803_0104158.jpg ・ハンセン病訴訟の国控訴断念
 ・ジェンキンスさんの「奪還」
 ・愛知万博の弁当持込解禁
 ・珍妙な経済施策(例えば商品券)を採らなかった
ぐらいしか見当たらない。
これじゃ、「郵政民営化」の一点張りしか云えないはずである。


◆そりゃ、辛口過ぎやしませんかと云われそうである。
2002年9月の北朝鮮電撃訪問、首相自らピョンヤンにのりこんで、拉致被害者5人の感動的な帰国に至った。いままでこんなスゴい首相いなかったよ。これこそコイズミさんの大手柄じゃないの?
実際は外務省の役人が予備交渉であらすじを詰めていたのである、首相訪朝の見返りが確約されているからこそ乗り込んだ。コイズミさんは、ただ御輿にのっただけである。
北朝鮮関係でコイズミさんの「手柄」といえるのは、2004年5月ピョンヤンに再び乗り込んで、帰還者家族の帰国で頭を下げて、ジェンキンス氏出国の談判をしたことぐらいだろう。この程度で出向く首相はたしかに珍しいが、自身の年金未納問題が取り沙汰されていた。そして、参議院選挙投票日の2日前に大げさな夫婦再会の大感動儀式を演出する。これはやりすぎ。
あとは何の進展もなくピョンヤン宣言も反故にされたままである。アメリカの顔色をうかがって経済制裁もできない。食料や医薬品は取られっぱなしになった。
一国の総理が二回も出向いてその程度である。だから、こんどの選挙で北朝鮮関係は口を一切拭っている。
現実に北朝鮮関係でいま体を張って奮闘しているのは、海上保安官や税関の密輸取締官などの国家公務員である。たいして高くもない給料で頑張っている。しかし、このところの「役人天国」批判で給料やボーナスの水準はずっと下げられっぱなしである。

◆道路公団の民営化はどうか、もう目前の来月に株式会社移行が迫っているのに、珍しくも「赫々たる成果」を誇示しようとしない。ありていに云うと不評さくさくだからである。
思いつくかぎり、この4年5ヵ月間の「実績」を挙げてみる。
・年金制度、いちおう給付は下げて掛け金を値上げする手はずだけ整えたが、抜本的改革や社会保険庁の刷新は手付かず。議員年金はしっかり温存している。
・大量破壊兵器の存在があいまいなまま、アメリカの勧誘「ショー・ザ・フラッグ」につられて、イラクに自衛隊を派遣。戦闘地域じゃないからオッケー、ただし、日本人が殺されても自己責任だ。
・国債30兆円枠の公約は達成できず、これぐらいの公約を守れなくてもたいしたことではない。
・消費税は上げないが、健康保険、サラリーマンの自己負担割合を3割にアップ。介護保険料や年金保険料も値上げ。そして定率減税は廃止する。
・国連安保理常任理事国入りでお金をだいぶ使うも、アメリカさんに反対されたあげく頓挫。
・これまで靖国神社に4回公式参拝。今年も必ず行く、時期は適切に判断する。

◆明るい話がアキれるほどない。いかに現実が厳しくとも未来の夢を提示するのが政治家の務めだろうに、靖国以外はたいして語ろうとしない。いや語るべきものがないのかもしれない。
働くものの収入は年々低下。破産者は爆発的に増加、フリーターは増えた、生活保護家庭、ホームレスそして自殺者も増えた。いいことなんて何もない、オチこぼれはどんどんオチこぼれるいっぽう。アメリカ式の優勝劣敗社会にもっていきたいのだろうか。少数の金持ちが億単位の収入を得るいっぽうで、大半が年収百万円といった近未来をつい想像してしまう。そのうち何でもかんでも自己責任になりそうである。災害から逃げるのも、アスベストから身を守るのも、医薬品の副作用を避けるのも、生きていくことまるごと全部自己責任でやってくださいという社会である。水浸しニューオーリンズで起きた現実は来るべき社会かもしれない。
なにもかも行き詰っている、未来に展望がもてない。だからこそ改革ということばが魅力的にうつるのだろうか。コイズミ流構造改革にクビを絞められそうなひとほど、コイズミ演説にやんやの喝采をしているようで、まるでギャグとしかみえない。

◆もっとも悪いことばかりではないかもしれない、別の見方もあるだろう。なかでも若者の政治意識が格段に高まっている。小泉劇場と揶揄されているが、政治を思いっきりショーアップしてくれたおかげで、大勢の若いひとが政治に関心をもつようになった。かつてみられなかったことである。とにもかくにも、これがコイズミさんいちばんの功績かもしれない。
若い世代はこれからたくさんの投票機会がある。試行錯誤でもいい、是非投票に行って、一票の集積がどれだけ政治の世界そして社会の現実をダイナミックに変えていくものか実感してほしい。棄権して文句たれるのはもう通らない。なにより投票率が上がるのは将来への希望につながる。
だからこそ、若いひとの政治への関心が一過性で終わらないことを切に望んでいる。けっしてあきらめないことだ。
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by chaotzu | 2005-09-09 23:50 | 時事


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