2005年 10月 04日

節度が大切、郵便局の投信販売

◆身内の恥をさらすようで情けないが、以前、母親が簡保のセールスにまるめこまれて、大量の保険契約をしたことがあった。月収10何万円かの年金老人に何口も鈴なり契約させて月10万円以上の保険料を払わせようとするのだから、メチャクチャである。子供の援助まで注ぎ込んでいるのだから、なおのことたちがワルイ。
ところが、母親がなかなか解約に同意しない。決まり悪さもあるのだろうが、“貯金とオンナジや”の一点張りである。“アンタらにお金を残しておいてやるんや”とまで云う。ふだんは自分がいかにつましい生活をしているか、そればかりアピールしているのにである(苦笑)。結局、兄弟がよってたかって説得し、なんとか解約にこぎつけたが、仕事がヒマであったなら郵便局と一戦交えたかもしれない。それぐらいハラがたった。

◆母親が貯金感覚でいるのは、郵便局の勧誘員がまさにそういう売り込みをしたからであろう。おまけに国がバックについているから、これほど安全で確実なものはないという。
これまで、簡保のセールスで表立ったトラブルはあまりきかないが、実際のところはけっこう無理な勧誘があるのではないかと疑っている。契約者本人と全然面接していないとか、デタラメのセールス・トークなどである。トラブルが起きたとしても、「大保険会社」であるゆえ、多少の中途解約なんか問題視されない。勧誘員は歩合の手当が入るし、なにより顧客の貯金情報が分かっているから、開拓営業はいくらでも容易である。

b0036803_21383342.jpg◆そんな郵便局が、投資信託を販売するという、正直云って心配だ。預入限度超過額疎開用の限定商品としたら理解できぬでもないが、ふつう郵便貯金と投信とではお金の性質が全然違う。
郵便貯金は老後の虎の子であり、なにより元本の維持が重要である。いってみればローリスク・ロー(ミドル)リターンの商品。投信は商品によっていろいろだろうが、なかにはハイリスクの積極運用商品もある。今回郵便局が取り扱う投信3本はいずれも株式が運用対象に含まれており、うち2本は株式インデックス投信である。これまでの郵便貯金とは全く性格がちがう。そして投信を買い続けていれば、必ず損する場面がある。きちんと元本割れリスクがあることを説明できるのか。5年先の販売残高1兆5千億円の目標があるらしいが、目標達成のために無理な売り込みをすることはないのか。
自分の見聞きした体験に照らしていえば、どうも心もとない。民営化をひかえて簡保セールスと同じような目標必達意識で取り組めば、大ヤケドすること必至である。そんなことは、上辺だけの研修でなかなか体得できるものではない。販売にあたっては、かなりの節度が必要な商品だ。少しでも迷う顧客に勧めてはならない。いわばセールス意識から捨て去らねばならない。そこのところが真底理解できるかどうかなんだが。

◆一般に公務員といえば、あまり仕事しないといったイメージがあるが、実際はそうじゃない。全体的にみれば「勤勉」な人のほうが多い(あたりまえだが)。問題は勤勉の方向であって、必ずしも国民一般が望んでいないことであってもシャカリキになってやることがある。例えば諫早湾の干拓とか舞州とか咲州など大阪湾の埋立地をみればよい。
妙な方向で勤勉な公務員は怠惰な公務員よりも始末が悪い。郵政公社の投信販売がそうならないよう切に望みたい。
[PR]

by chaotzu | 2005-10-04 21:45 | 時事


<< プロ野球戦力外通告の季節      ドラフト珍事 >>