マイ・ラスト・ソング

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2005年 10月 19日

【DVD】「ホワイトハンター、ブラックハート」 垣間見える職人監督の自負

◆キャサリン・ヘプバーンとハンフリー・ボガートが共演した「アフリカの女王」という映画がある。ボガートのよれよれおじさんぶりと対照的な毅然たるヘプバーン、なかなか愉しい映画だなと気楽にみた思い出があるが、撮影の裏側は相当たいへんだったらしい。監督のジョン・ヒューストンが象狩りに入れ込んでしまうのである。いったいロケにきたのかハンティングにきたのかどっちやねんというありさまだったらしい。当然スターは不機嫌になってそれが現場に伝染する。だけど、そのダレもかも不機嫌な現場で撮影した映画がそれなりに当たってしまうのだ。
もう、これだけで映画のネタになりそうである。そう、やっぱりそういうはなしをハリウッド映画人が見逃すわけがない。

b0036803_22153233.jpg◆1990年アメリカ映画、意味不鮮明のタイトルを邦訳すると「白人ハンター、黒い心」になるのだろうが、もうちょっと芸のある邦題があってもいいのではと思わぬでもない。もっともこの映画自体、前述「アフリカの女王」のエピソードを知らないとサッパリ面白くないだろう、そんな映画である。
モデルにされたジョン・ヒューストン、監督としていろいろ有名な作品を手がけているが、自分的には俳優としてのほうが印象深い。出てくるだけで存在感ばっちりの迫力を漂わす。だからこの映画でも、いかにもこの監督さんらしいなというエビソードがいっぱいである。黒人差別でホテルの白人マネジャーにタイマン勝負を挑みノックアウトされたり、プロデューサーへの逆撫で言動とかの奇矯な行動は、はったりなのかあるいは自己演出かそれともホントにいかれているのか、実はこの映画をみてもよく分からない(笑)。いや、現実にハリウッドの映画監督という役を演じていたのかもしれない。どうも毎日芝居して暮らしていたような人物みたいである。

◆そのヒューストン監督らしき人物を演じるのが、監督兼任のクリント・イーストウッド。自分なりの感想では、とてもヒューストン監督へのオマージュにはみえない。逆にクセ者イーストウッドがヒューストンを揶揄しているようにみえてしまう。職人監督で名高いイーストウッドにすれば、せっかくのロケ・セットは放置するわ、スタッフを放り出して象狩りに行ってしまうなど、ヒューストン監督の行動がデタラメにみえたのかもしれない。
“こんな監督がオレより先にアカデミー賞とってやがるのか”てなもんである(笑)。だから、もう気持ちよさそうに演技している。そう見えてしまう。
もちろんワタシのうがった見方である。それにしても、重要であるべきシナリオ原稿を猿が抱え込んで、あげく紙が散乱するシーンなんかは、芸術家を自称する監督に対する強烈なあてこすりに見えてしかたがないのだが、さてどうだろうか。
なお、イーストウッドが「許されざる者」でアカデミー監督賞をとるのは、この映画の2年後になる。

◆それにしても、アフリカの風景は素晴らしい。いっぺんはアフリカ大陸の土を踏んでみたい、ビクトリア湖に沈む夕陽をみたいと思うが、現実はムズカシイ。見果てぬ夢である。
亡くなった渥美清が元気な時分は毎年のごとくアフリカ旅行をしていたらしい。寅さんの原動力の源泉はアフリカのサバンナだったようだ。
ジョン・ヒューストンがアフリカにとりつかれたのも、分からぬではないか。
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by chaotzu | 2005-10-19 22:24 | 外国映画


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