マイ・ラスト・ソング

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2005年 10月 30日

かくて社会のギスギス化が進行する

◆本日の朝日新聞朝刊に珍妙というか、ワタシ的には記者のレベル低下を痛切に感じざるを得ない記事があった。
「北九州市役所が、公務時間中の職務専念義務の免除特例に『散髪』を盛り込んでいたので、これを廃止する」とのニュースである。他の政令指定市には同様の措置がないからというのが廃止理由である由。
これって、単に職務専念義務免除(以下職免)規定に堂々とのせていたのがカッコ悪いから、文言上外すということではないのか。かの大阪市役所職員も「仰天」したとあるが、それは明文規則にしていたことについてであって、勤務時間中の散髪容認に驚いたということではないだろう(笑)。

◆だいたい朝日の記事そのものが、職場慣行としての「職免」を容認するかどうかについて巧妙に避けている、掘り下げが浅い稚拙な記事である。大衆迎合記事といってもいいかもしれない。
そもそも勤務時間中の職免事例を厳密に云いだせば、それこそキリがない、トイレに行く、喫煙コーナーに行く、それから歯医者や喫茶店に行くのも職免になってくる、いや四角四面に云えばサボリ行為になるだろう。これを突き詰めれば、ションベンに行くのも労基法規定の休憩時間内に行かねばならなくなる。昼休みがいちばん忙しくなるではないか(苦笑)。
だけど、朝日新聞築地本社や肥後橋大阪本社のビル内にも理髪店や歯科診療所はあるだろう。はたして職員は勤務時間中に一切行っておりませんといえるのだろうか。国会や霞ヶ関の中央官庁、県庁指定市となれば、このような「便益施設」はたいていあるはずで、記者クラブのひとも使っているはずだ。なにをトボケくさってである(笑)。

◆こんなことを書くと、オマエは公務員のサボリ行為を擁護するのかと叱られそうである。率直に云って、それぐらいいいじゃないかというのが、ワタシの考えである。これは公務員であれ、民間のサラリーマンであれ同じことだ。だいたい、仕事そのものがフレキシブルなのである。食事も摂れないぐらい忙しいときもあれば、ひと息つけるときもある。
ワタシの場合、散髪や歯医者は自宅近くで行っているが、それは好みの問題からであって、別段のポリシーがあるわけではない(白状すると散髪は千円理容の愛用者である)。ただ、地方の支店から親しい同僚が来るとちょっと喫茶店で雑談することはある。それもサボリだ、けしからんと云われればそうかもしれない。それでも、それぐらいいいじゃないかと開き直るつもりだ。強欲な経営者なら青筋たてるかもしれないが、同じ働く者どうしで目くじらをたてるようなことではないと思う。これはけっして既得権といったたいそうなものではない。それゆえ離席中の相互応援もあたり前のことと思ってやってきた。むしろ、仕事になんのメリハリもつけず、ただ机にしがみついているだけといった輩のほうが、はっきり云って面妖である。残業代ドロボーにみえるときがあるといえば、云いすぎだろうか。
だいたい民間企業では時間単位の有給休暇がとれるのかどうか、仕事にメリハリつけて頑張って、散髪に行く時間を工面してもいいのではないかと思っている。もちろん、それは公務員であっても同じことだろう。こんな調子でいけば、どんどんギスギスした社会になってしまいそうである。それがなにより心配だ。

◆もうひとつ、役所や民間のビル内で営業している理髪店や歯科診療所等は、そもそもビル内に勤務しているひとを対象に商売しているということがある。同様の喫茶店もあるだろう。それを勤務中あるいは公務中の出入りは一切まかりならんとなれば、たちまち商売上がったりになってしまう。
もともとは、高度成長を下支えしてきた日本社会独特の厚生文化の一端ではなかったか。かつては徹夜続きの体を理髪椅子で労わることがストレス解消になる時代もあった。このようなオフィス・ビル内の便益施設は、人口減少社会に転じれば、いずれ逓減していくかもしれない、それでも、いま現在それで生計しているひとも少なからずいるのである。

◆マジシャンの世界で「誤導」というテクニックがある。右手である方向を指し示してそこに観客の注意をひきつけておく、その間左手のほうが見られたくないことをしているといった具合である。働く人間にとってフツーの労働慣行を公務員攻撃を突破口にして、どんどん切り下げていく、最低限のレベルまで落とすいっぽうで、憲法や教育基本法改変などの布石を着々と打っていく。マスコミはその片棒を担いでいくつもりだろうか。
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by chaotzu | 2005-10-30 19:26 | 時事


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