2005年 11月 05日

【DVD】 「飛べ!フェニックス」 この仕事のボスはだれだ?

◆子供のころ、プラモデルが大好きだった。タイガー戦車に紫電改、戦艦武蔵など、ちょっとした軍国少年である(笑)。子供だから部材のバリもちゃんととらないし、接着剤の使い方もいい加減、だけど買ったその日に完成させずにはおかれない。いま思えば下手くそな出来映えだったが、それでも大喜びであった。いまならばもっと丁寧に造れるだろうが、いっぽうで深入りしそうな不安もある。
さて、砂漠のど真ん中に双発双胴機が不時着する、壊れてしまってもう飛べない。それを乗組員や乗客が手作業で単発機に改造して再び飛ばせようする、かつてのプラモ少年にとってはたまらないはなしである。

b0036803_22383331.jpg◆1965年アメリカ映画、ずっとみたかった映画であり、やっと念願がかなう。これまでなんとなく爽やかな冒険美談であろうと思っていたが、全然ちがった(苦笑)。極限状態におかれた人間の確執や葛藤を描き、実際はドロドロの心理ドラマでもある。
石油会社の貨物兼用機が砂嵐のトラブルでサハラ砂漠に不時着する。生き残ったのは12名、アメリカ人8人、イギリス人2人、フランス人、ドイツ人各1人である。うちひとりは重傷を負っている。灼熱地獄のなかで、水を節約しても生存可能日数は長くて12日。救援を求めに遠出しようするひと、アタマがおかしくなったり自殺するひとが出たりする。水不足でみんな皮膚が破れ、顔がボロボロになっていく、そんななかで、ドイツ人の若者(ハーディー・クリューガー)が、小型単発機への改造を提案する。理論上は可能だという、機長(ジェームズ・スチュアート)は半信半疑であるも、副操縦士(リチャード・アッテンボロ-)が云う。
“希望がある間はみんな耐えられる”
ようしいっちょうやってみるか、作業は夜間しか出来ない。手回し発電機をカタカタ回して取り組むも、そもそもが気心のしれた仲間ではない、反発やら確執で作業がなかなか捗らない。

◆J.スチュアート;機長役。ひょろひょろしてどこか頼りないイメージがあるが、亡くなった瀬戸川猛資によれば、第二次大戦では空軍のパイロットとして活躍して大佐にまで昇進、ハリウッドの俳優のなかでは屈指の軍功者らしい。それを国民はみんな知っているので、スクリーンであえてマッチョふりをアピールする必要はなかったそうだ、なるほど。
この映画では、そんなジミーおじさんの素顔が垣間みえる。責任感は人一倍あるが、頑固一徹、とくにドイツ人の若者に指図されるのが我慢ならずもうコンチクショーである。そんなおじさんが最後に意地をみせたりする。

◆H.クリューガー;ドイツ人で飛行機設計者のふれこみ。むかしロリコンぽい青年の悲劇映画をみたが、そのイメージと全然ちがう。生存者のなかでは年若者でおまけに敗戦国民、それがエラそうに飛行機の改造作業を叱咤督励して回るから、周りの反発もたいへん。しまいに“この仕事のボスはだれですか”と切れたりする。しかし、ドイツの若者がプライドの高いアメリカ人(おそらく戦争従事者)をこき使うという発想がにくい。おまけに飛行機デザイナーとはいうものの……、おっと、こっから先はいえません。

◆イギリス人の2人は軍人であるが、思わぬ事故で部下の軍曹が上司の大尉を嫌っていたことが公然化する。おそらく上流階級と労働者階級の確執なんだろう。これだけでもややこしい映画である。そのうえ、生存者のなかに黒人やアジア人が入ったとしたら、いったいどうなるんだろう。そんなことまで考えてしまう。オモシロかつシビアーな映画でありました。
[PR]

by chaotzu | 2005-11-05 22:47 | 外国映画


<< 314万円に悩むひと、そしてポ...      【DVD】 「兵隊やくざ・強奪... >>