2005年 12月 18日

メリークリスマス! ミスター・プレジデント

◆敬愛するジョージへ
一足早いクリスマス・レターだ。君のおかげでこの奇妙な国ではじめてクリスマスを迎えることになったが、けっこう愉しんでいるよ。だけどこんなに寒い国とは思わなかったな、テキサスが懐かしい。いや帰りたいと云ってるんじゃないよ、その逆さ。物分りのいい国だから仕事のほうは気楽なもんだ、君の配慮に感謝している。まあ、ベースボールとフットボールがみられないのはさびしいが、君がいま置かれている辛い立場を思えばぜいたくというものだろう。
対イラク戦の開戦口実や盗聴の件、苦しいだろうが、今のうちに認めておいてよかったと思うよ、ああむろん君を支持しているとも。あのフセインの糞野郎はいずれ叩いておかないとな。あれだけ面倒みてやったというのに、恩を仇にして逆らってくる奴だ。それに君の云うとおり、我々はいいことをしてあげている。なにしろ独裁者を追い出してやったんだ。イラク人が3万人かそこら亡くなったそうだが、犠牲者のいない戦争なんてない。

b0036803_21203227.jpg◆それにしてもここは変わった国だ、ふつうならインチキ戦争の巻き添えにされたとカンカンに怒るところだよ、それがデモひとつないんだからね。それどころか、ミニスターは君が贈った例のセグウェイに乗ってご機嫌でご出勤ときたから目を疑ったよ(笑)。わが国ならばひと悶着必至だろうが、国民はおとなしいものだ。おまけに牛肉の輸入まで再開してくれた。信じられないよ。マスコミも突っ込まないからね。あのヘレン婆さんみたいなうるさい記者もいないし、それどころか、支持率が上がっているらしい。なんというラッキーマンだろう。とにかく政治家にとっては最高の国じゃないか。
次のミニスター候補ナンバーワンは戦犯の孫だそうだが、
“大量破壊兵器が存在しなくとも合理的な開戦理由があった”なんて、頼みもしないのに代弁してくれる。ここまで物分りがいいと逆に気味悪くなってしまうほどだが、北京で仕事するのと比べたら、そりゃサイコーだよ。
ああ、ノース・コリアの件ではもう勝手なことはさせないよ、それだけは釘をさしている。だいたいあの独裁者のおかげで政権の人気があるようなもんだろう。そのことは十分承知しているはずだ。

◆だけど、国務省に特別レボートを送るようなめぼしい政治家はいないね。野党第一党の代表者なんて情けないもんだ、北京で相手にされなくて大恥かいてきた。無理に会いに行かなくとも向こうから会いに来たがるような存在になるべきなのに、とてもそんな器量はないようだ。欠陥ストーブをつくった有名電気メーカーの出身だそうだけど、欠陥政治家もつくっていたらしい(笑)。こんな有様だから、とにかく与党はなにをやっても安泰というわけだ。まあ、アジアで相手にされなかったのは、いまのミニスターも同じで、その点では与党も野党もよく似ている。たまたま政党が違っているというだけのようだ。
いま、欠陥建築物問題でもめているが、モノづくりで定評のあった国なのに、いまやあちこち欠陥品だらけというわけ。なかでもいちばんの欠陥品は政治家で、ミニスターは隣国の要人と会談すらできない、その代わりをしているのはなんと自動車メーカーの会長だし、野党の指導者はその隣国を「現実的脅威」なんて公言している。政治家たるものソフィストケーテッドな対話能力も必要と思うが、この国では威勢のいい言辞のほうが好まれているようだ。その割りにわが国に忠実なのは有難いがね。こんなこと云っちゃいかんだろうが、通商部の「年次改革要望書」をなんでも拙速に実現しようとしすぎだよ。ときどきそうアドバイスしたくなるときがあるね。
あ、そうそう、また君の牧場で特別飼育された厳選牛のサーロインステーキを食べさせてほしいね。ここじゃ、わが国の牛肉なんて怖くてとても食えないからね(笑)。テキサスの豆料理も時々懐かしくなる。じゃ奥さんと娘さんにもよろしく。
                         いつまでも君の忠実な友人である“トム”より
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by chaotzu | 2005-12-18 21:35 | 時事


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