マイ・ラスト・ソング

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2006年 01月 20日

【DVD】「池袋ウエストゲートパーク 1~6」 多層構造の青春群像劇

◆テレビ局製作ドラマはめったに見ないのだが、「黒革の手帖」に味をしめて日本ミステリのドラマ化作品をもう一度、今度の原作は石田衣良による同名の連作短編集である。DVD全6巻に11話収められている。1話が45分ほど、長いことは長いがダラダラ気分で気軽に見られるのがいい。
6年ほど前にTBS系列で放映されたものであるが、脚本はいまをときめく宮藤官九郎。実のところクドカンのドラマは初体験であるが、けっこう面白く愉しめる。なるほど若いひとに受けるはずである。

b0036803_22355743.jpg◆ドラマの本筋に関係のないギャグがてんこもり。セコい果物屋をやっている主人公のマコト(長瀬智也)とそのおふくろ(森下愛子)とのやりとり、かつてのアイドル・キャラが“クソババア”と息子に罵られる。赤塚不二夫のマンガから出現したみたいな警官(阿部サダヲ~なんちゅう芸名!)、マコトのマヨネーズ焼きそばへの偏愛、ズーズー弁の刑事(前原一輝)、難儀なラーメンの注文方法、そしてきわめつけはGボーイズを束ねるタカシ(窪塚洋介)の怪演である。いちばんの儲け役かもしれない。ああそうそういまをときめくツマブキくんもイジメラレッ子あがりの暴力団員役で出演している。

◆とはいっても、池袋にたむろするブータロー連中の日常劇ではない。全11話をつらぬくストーリーはシリアスな悲劇である。BGMとしてチャイコフスキーの弦楽セレナードがさかんに流される。原作短編の第一作目を分解して、各エピソードに細切れではめこんだ。ジグソーパズルみたいなアイデアであるが、これはコロンブスの卵。1話ごとのエピソードは完結するのだが、もうひとつ長編的なエピソード(立派なミステリ!)も同時並行で進行する仕掛けになっている。いわば多層構造の物語である。脚本家の力技というしかない。

◆ただし、原作にくらべると、主人公マコトやその母親にもうひとつ違和感がある。原作のマコトは暴力的な性向があるものの、クラシック音楽や読書に浸る内省的な部分もある青年として描写されているが、長瀬智也にそんな雰囲気は皆無である(笑)。もっとも、それでも十分に面白い。これはもう原作とは別物にみたほうがいいかもしれない。クドカン版の「池袋ウエストゲートパーク」である。
まだ、原作のストックはあるのだから、続編を期待したいのだが、これだけイメージが固定してしまうともう無理かな。

◆はじめ、いちごの回、にんじんの回、みかんの回……というドラマのサブタイトルが何のことか分からなかった。しいたけの回、ゴリラの回、TBS(6チャンネル)の回、洋七の回、洋八の回ときてやっと気がついた。なんだナンバー遊びをしていたのか(笑)。以下、九州の回、十手の回、士(さむらい)の回と続き、最終話の侍はクドカン本人が演っている。いい年こいて恥ずかしいが、こういった細かい遊び心もけっこう好きである。
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by chaotzu | 2006-01-20 22:42 | 日本映画


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