マイ・ラスト・ソング

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2006年 01月 31日

【NHKBS】「さらば冬のかもめ」 真夜中の水兵さん

◆自民党による日本国憲法の改正試案のなかで、軍法会議の設置が盛り込まれている。自衛隊を名実ともに軍隊にしたいとなれば、なんとしても軍隊専用の裁判所も娑婆とは別につくりたいらしい。そして軍隊刑務所とか軍隊警察なんかもくっついてくるのだろうか。そうなったら、同じ国民であっても、法律の運用が軍隊に所属する者とそうでない一般人とで違ってくることになるわけだが、はたして二重基準がいいかどうか。
さて、アメリカ海軍の憲兵(SP)が、窃盗犯の水兵を海軍刑務所まで護送するという、70年代ロード・ムービーの異色作である。

b0036803_2244038.jpg◆1973年アメリカ映画、原題は「ラスト・デティール」であるが、邦題はなんとも意味不明というかいい加減なつけ方である。多分水兵からの連想でかもめにしたのだろうが(苦笑)、かもめの水兵さんとはまるで無縁の内容だ。だいいちくせ者ジャック・ニコルソンの水兵である。
ノーフォークの海軍基地でニコルソンともうひとりのSPが、若い水兵をポーツマスの海軍刑務所まで護送するよう命じられる。ワシントン→フィラデルフィア→ニューヨーク→ボストンの経路で期間は1週間もあるから、上官は楽な仕事だという。なに遊びみたいなもんだ、こちらが行きたいぐらいだよ。かくて、三人組のけったいな旅がはじまる。

◆護送対象の水兵はまだ18歳、大男だがみたところ大人しくとても悪さをするようにみえない。おまけに募金箱から40ドル盗んで禁固8年だという、SPの二人も、そらちょいと刑罰が重すぎるのではと思う。よく聞いてみると未遂犯だという、そりゃひどいなとSPがだんだん同情してきて、手錠も外してやるのである。それにしても、手錠の囚人を一般市民も乗り合わせるバスや電車で堂々護送するのにもまたビックリである。

◆退屈紛れに話しているうち、だんだん意気投合してくる3人(笑)、よしいっちょ、ム所入りの前に酒をたっぷり呑ませててやろうと、ワシントンでは缶ビール宴会にケンカの指南。もっと気概をもてとすっかり兄貴気分になったニコルソンが説教したりする。フィラデルフィアでは実母に会わせてやりたいと水兵の自宅まで道草する。そこで悲惨な家庭環境の一端をみてしまったSP、こんどは童貞のままじゃあまりに可哀想だとなり、ニューヨークではもっぱら女探しと、護送の旅はわき道に逸れっぱなしになる。

◆ボストンの売春宿で、水兵さんの「筆おろし」は無事完了(これがラスト・デティールか?)、ところが皮肉なことに、酒も喧嘩も女も教えてもらったがために、自立心が芽生えてきた若い水兵が脱走を企図、そこは2人にあっさり捕まるのだが、顔面血だらけで刑務所に引き渡したため、囚人虐待だと係官に注意されてしまう。やれやれこんな任務は二度とごめんだとぼやく2人、なるほど、アメリカ軍隊の官僚主義を皮肉った映画だったのか。

◆一夜の彼女を求めてニューヨークの街をさまようとき、3人は新興宗教らしき集会にまぎれこんでしまう。これがなんと日蓮宗、「南無妙法蓮華経」と白人の信徒が一心に唱えている。もしかしたら、創価学会かもしれないが、アメリカ映画のなかで、これだけ日本の宗教をみるのははじめて。
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by chaotzu | 2006-01-31 22:06 | 外国映画


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