マイ・ラスト・ソング

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2006年 02月 03日

【DVD】 「コーラス」 地の底に天使の歌声ひびく

◆教師もの映画といえば、音楽かスポーツものが多い。それだけ物語にしやすいということだろう。例外的に、「ビューチフル・マインド」なる数学もの映画があることはある。ただし、主役のラッセル・クロウが少しも世界的な数学者にみえてこないのである。熱演すればするほど粗暴な刑事や剣闘士のイメージが重なってしまう(苦笑)。その意味では、現在公開中の「博士の愛した数式」は稀有な例外になるかもしれない。
話を戻す。やはり、教師ものは音楽を扱えば半分ラクショーなんだろう。「ミュージック・オブ・ハート」「陽のあたる教室」「スクール・オブ・ロツク」……、話で泣かせて音楽で酔わせである。

b0036803_10455322.jpg◆2004年フランス映画、冒頭、ジャック・ペラン演じる世界的指揮者が登場、堂に入った指揮ぶりでさすが役者はちがうなあと感心する。その指揮者が旧友と再会して、過去を回想するというはじまり。
大戦直後、リヨン近くの寄宿学校が舞台である。寄宿学校といっても、金持ち子弟対象ではない、その逆で孤児とか寡婦などのビンボー人対象の学校である。金持ち貴族など篤志家の後援で費用を賄っている。この映画で描かれる寄宿学校は理念だけ立派であるが、内実はボロボロ、生徒はみんな学ぶ気がなく反抗的な悪童で、イジメやワルがはびこっている。ただ食事にありつくのが目的で在籍しているという、授業内容もお粗末レベルとしかみえない。
なんとか将軍はなんで亡くなった? 銃殺だよ。おいおいモノスゴイ授業だなあ。
そんなサイテー学校である。名前もすごい、「地の底」といわれている。

◆そんな学校の舎監兼教師に採用された中年の地味な音楽教師、これまで挫折の繰り返しの人生であり、もうひとつ精気もない。ただ生徒には誠実であろうとしている。そんな教師が音楽の天才児に巡りあって、おまけにその子の母親にも惹かれてしまって、がぜんやる気を出す。いってみれば音楽による人生の救済ばなしである。人生に疲れた中年男と不幸な境遇の母子が救われる。
コーラスの練習で悪ガキの素行が直ちに修まるとも思えず、ちょっとご都合すぎるきらい(予定調和)はあるが、いろんなエピソードがからんでくるので、それなりに面白い。

◆俗物精神を具現したみたいな校長=悪役の存在が映画をひきしめる。教育者とは名ばかりで実際は体罰信仰のサディストである。しかも、学校の経費をケチる、どうも着服しているらしいというとんでもない悪党ぶり。慈善学校を食い物にしてなお、勲章まで欲しがっている、悪童連顔負けの偽善者である。この校長がどうなるかももうひとつのお愉しみ。
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by chaotzu | 2006-02-03 23:55 | 外国映画


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