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マイ・ラスト・ソング

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2004年 10月 13日

小倉~松本清張記念館

◆ 6年前にオープンして以来、かねて念願であった松本清張記念館にやっと行けました。小倉城公園の一角にあって西小倉駅が最寄駅であるが、小倉駅からでも十分徒歩圏内である。
 東京浜田山の清張邸を一部移築再現し、上屋をかぶせたものでミニ・ドームのごとき外観。入ると清張の巨大年譜、周知のように、清張は朝日新聞OBであるものの、記者にはあらず西部本社広告部の広告版下職人、だからOBといえども微妙なポジションである。執筆の下調べで資料部にいると、記者が露骨に嫌な顔をしたという新聞社がエリート臭芬々たる身分社会であることを示すエピソードをどこかで呼んだ記憶がある。また、朝日の懸賞小説に応募した処女作西郷札も社員であったために三作に落とされたらしい。それだけに、後年朝日社長との朝日専用機による作品主要舞台の俯瞰ツアーは痛快事であったろう。まあ屈折ゆえの複雑けんかいな性格がうかがえ、あまり近くに侍りたくない人物であるが、それも含めて作家としての魅力である。しかし、展示されている書や絵はすこぶる達者であり、小説家にならずとも商業デザイナーとしての才も一流であったろうと思える。晩年は驚くほど海外旅行に出かけており、衰えぬ体力にも感嘆しきりである。なにもかもひっくるめて「超人」の称号がふさわしい。
 小倉~松本清張記念館_b0036803_1856391.jpg記念館の目玉は松本邸の移築復元、外から書斎や応接間、書庫がガラスごしに見えるようになっている。書斎には煙草の焦げ跡がついたカーペットまで残している。書庫は本好きの夢想の実現である。時間にゆとりがあれば映画もみたりで1日はおれるかもしれない。
 自分がこれまでいちばん読んだ作家は清張である。ほとんど全作品を読んでいるはずだ。もう一度再読したい気がする。何を読もうか、後期の海外舞台ものか時代ものでも読みますか。
 帰りは黄色い外観が目立つ複合商業施設のリバーウォークに寄る。しかし最近はどこもこんなのばかりですな。

by chaotzu | 2004-10-13 19:16 | 読書


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