2004年 10月 15日

特定郵便局 What A Wonder World

◆主治医に余命一年を告げられてから1年以上が過ぎた。この一年、先のことは考えずただ一日を無事に過ごせたら儲けものと過ごしてきた。一方、対人関係は激変した。これまでどおり声をかけてくれる人もいれば、実質死に体の人間と話しするのは時間のムダとばかりに無視する人もいる。人間の実相が分かる寂しさはあるがその分生活はずいぶんシンプルになった。今までなんと時間を無駄遣いしてきたことか。病気してふた通りの人生を経験できている。
◆本日の新聞朝刊「特定郵便局長に公募制導入」の記事、オープンにして世襲批判をかわす趣旨だそうだが、実際のところ全国1万8千余の特定郵便局長で親代々の家業として郵便局を営んでいる方は何人ぐらいいるのか。郵政公社の統計でみると昭和24年度末の特定局数は1万3千余、それが平成14年度末は1万9千弱、半世紀の間で5千局以上も増えている。世襲だけでは自然減必至であるのに、毎年100局以上もの「新規参入」は主にどこから来ているのか? 答えは郵政職員の「天下り」によるものである。現在、郵政OBの特定郵便局長は6千人近くいて、特定局全体の3割を占めているそうだ。特定郵便局長になれば定年は65才までで平均年収が900万円あることに加えて、局舎を自前で所有しておれば平均400万円の賃貸料が入るうえ子供にも世襲させることが可能である。採用試験があるから世襲ではないと屁理屈を垂れているが、そんなものは形式的で実態は国家公務員の裏口採用であった。さらに公社化以前は領収書の要らない渡切りの経費を1局平均にして400万円ももらっていたというのだから恐れ入る。これほどおいしい商売はそうないだろう。付言すればこれらは貯金事業とどんぶり勘定にすることで成り立つことである。本来であれば業務委託方式の簡易郵便局がもっと増えるべきであるはずが、当該局の増加はこの半世紀で4千局余にとどまっている。借り受けた局舎を国に転貸している特定郵便局長も相当数いるみたいだが、そんなのそもそも特定郵便局と云えるのか。役所ぐるみで経費の高くつく特定郵便局を増やしているのだろう。
◆明治新政府の思惑は局舎及び人材の手っ取り早い確保のための特定郵便局制度であり、当時は卓抜な着想であったろうが、それが換骨奪胎されて郵便事業発足後133年も経っているというのにまだ跋扈しているとはけったいなことである。民営化反対論者は郵便事業の公共性をさかんに唱えているが本音は既得権への固執である。だいいち特定郵便局のうち配達もする集配局は3500局余に過ぎず、しかも年々減少している実情をどうみるのか。冒頭の新聞記事であるが、名目公募制にしてでも特定郵便局制度を温存したいということだろう。民営化すれば田舎の郵便局が減りますよというが、業務委託の受け皿は役場や農漁協等あるのではないか。やはり廃止が本筋である。
b0036803_1912149.jpg◆中国映画「山の郵便配達」は父親から息子への郵便配達の世襲がテーマであるが、美しい山村の景色に素朴な人情と抒情性の高い名画であった。それに比べ日本の特定郵便局となると、同じ世襲テーマでもなんとロマンのかけらもないことか。
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by chaotzu | 2004-10-15 19:09 | 時事


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