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マイ・ラスト・ソング

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2004年 11月 06日

映画 隠し剣鬼の爪

◆2年前、がんの再発がいよいよはっきりした時、山田洋次監督の映画を見に行った。初の時代劇作品というふれこみの「たそがれ清兵衛」。精神的に落ち込んでいたが、たそがれというフレーズが自分にも重なったのか、無性に見たくなったのである。映画館できちんと映画を見るという行為の名残にしようという意識もあったかもしれない。映画はとても良かった。もう涙がとまらないほどであった。それで幾分気分がすっきりしたというか間違いなく自分を助けてくれたという特別な思い入れがある映画になった。
 そして、また同監督の時代劇2作目が見られる。ほんとに夢みたいである。大げさかもしれないが自分にとってはそうだ。期待にたがわず良かった。サラリーマン道に殉じた清兵衛、上司を見限って脱サラに至る宗蔵と結末は異なるが、山田監督お馴染みの役者が登場、笑いをとる場面も含めよどみなく人間の哀歓が描かれている。神戸ちゃんも田中邦衛もいつものまんまで、安心して見られるというか、まあツボをおさえた仕上がりである。しかし倍賞千恵子はほんとにおばあさんになっちゃった(残念至極)。
前作との比較でいえばちょっと物足りないかもしれないが、前はとにかく宮沢りえが圧倒的に素晴らしかった。ただ、エンディングは本作のほうがすっきりしており、昔の黄金期映画 隠し剣鬼の爪_b0036803_21422295.jpg日本映画を思わせる出来映えで、これは良かったと思う。あと松たかこが時々大林素子風に見えてしまうのがどうもというか、これは自分だけかな(苦笑)。
◆原作の藤沢周平作品は映画素材の宝庫だ。長編ものは「蝉しぐれ」「三屋清左衛門残日録」「用心棒日月抄」などNHKがドラマ化しているが、山田監督の「蝉しぐれ」なんかもぜひ見たい。その他「秘太刀馬の骨」や隠し剣シリーズも面白いし、青江又八郎と佐知のほのかな恋愛にもときめくものがある。しかし次作を見られるかどうか。それまでなんとしても粘りたいものだ。

by chaotzu | 2004-11-06 21:36 | 日本映画


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