マイ・ラスト・ソング

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カテゴリ:読書( 48 )


2005年 03月 13日

ブック・オフで文庫本の仕入れ

◆久々にブック・オフに出かけて、気晴らし本を仕入れる。
 購入したのは次のとおり。b0036803_21453165.jpg
・都筑道夫「なめくじ長屋捕物さわぎ~あやかし砂絵」
・  〃  「なめくじ長屋捕物さわぎ~くらやみ砂絵」
・  〃  「酔いどれ探偵」
・井上ひさし「不忠臣蔵」
・  〃   「東京セブンローズ」(上)(下)
・志水辰夫「花ならアザミ」
・松本清張「黒革の手帖」(上)
・東野圭吾「探偵ガリレオ」
・宮部みゆき「震える岩~霊験お初捕り物控」
・篠田節子「百年の恋」
・中島らも「今夜、すべてのバーで」
・柄刀一「ifの迷宮」
・小池真理子「映画は恋の教科書」
・浅井信雄「アジア情勢を読む地図」
 全部で15冊、しめて1575円也。松本清張、都筑道夫や志水辰夫は以前読んでいるはずだが、もうすっかり忘れている(苦笑)。テレビの影響による本もあるし、ハワイで客死した都筑道夫は再読方針である。
 読み終えて、持っていったら、1冊5~10円ぐらいで引き取ってくれるのかな。そうなると、ブックオフは貸本屋みたいなものかもしれない。まあその気はない、そこまでやるのは、出版業界に申しわけない。
◆しかし、ブックオフも高くなったものだ。105円本以外は定価の半額が売値だったのに、今や定価の7割程度の値付けになっている。たとえば380円の文庫古本が250円なんて誰が買いますか。新刊本に関しては街中の古本屋さんのほうが安いかもしれない。思いっきり買い叩いているくせに、欲張りすぎだ。
[追記]
◆そりゃそうと、
 大山「ドラえもん」の後任がとうとうきまった。水田わさびさん、30歳。「決定と聞いたときは号泣した」そうだが、そりゃそうだ。ドラえもんの声優となれば、いまや日本国民の公共財、人間国宝みたいなもんである。どうかプレッシャーに負けずに頑張ってください。「サザエさん」のワカメちゃんも交代のようだし。
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by chaotzu | 2005-03-13 19:26 | 読書
2005年 03月 11日

【読書】 ローレンス・ブロック短編集1「おかしなことを聞くね」

◆ハヤカワ・ミステリ文庫 田口俊樹ほか訳。このひと月あまり、ぼちぼちと読んできたもの。短編集は勝手気ままに読めるのがなによりだ。
b0036803_21284140.jpgかつて早川書房が異色作家短編集なるものを刊行したが(いまでもあるか)、それを連想させるアンソロジーである。音楽CDにたとえると、捨て曲が全くないアルバム。もう自由自在というか、つくづく達者な作家だと思う。短編はワン・アイデアというが、いったい、どんなきっかけで着想するのだろう。
 ここまで至るには、ぼうだいな創作時間の消費があったのだと思う、頭のなかでネタを反芻し、タイプライターを叩きに叩き、そして無駄な原稿を量産する。そうして、創作の神さまがやっと降臨したのだろう。
 本短編集収録作品の発表時期は1976年から78年に集中しているが、ブロックは一時期、アメリカ中を車で旅行しながら、モーテルでタイプライターを叩きまくっていたそうだ。
◆[追記]
 マスコミがずっと大はしゃぎで報道しているライヴドアのニッポン放送新株予約権発行差し止め仮処分申請、東京地裁が認めたそうだが、当然の判断だろう。逆の結論ならばそれこそ資本主義の否定になりかねない。会社は株主のものであって、経営陣のものではないという法律的に至極あたりまえの判断だった。電波の公共性とかリスナー愛など急にもちだされても、付け焼刃じゃどうしようもないよ。自民党の一部政治家が云っていることなんて、まるでどっかの共産党みたいだったし(笑)。
 もっとも、ホリエモンの味方というのもね。ちと逆撫で言動がおお過ぎる、それも意識的くさい。まあ旧弊な思想をぶっこわすほうは頑張ってほしいけど。
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by chaotzu | 2005-03-11 21:32 | 読書
2005年 03月 11日

【読書】 ジェフリー・ディーヴァー「石の猿」

◆文芸春秋刊 池田真紀子訳。全身麻痺の車椅子探偵リンカーン・ライムシリーズの第四作目、b0036803_2121439.jpg中国人蛇頭“ゴースト”との闘いを描く。
 これまでジェットコースター・ノヴェルと評されるディーヴァー作品、本作では若干趣向を変えたようで、おなじみのどんでんがえしも少なく、その分落ち着いて読める。
 ただし、“ディーヴァーの法則”は本作でも健在であって、もはやこの作家に本当の意味の意外性を求めても無理な気がせぬでもない(笑)。
 法則その1 怪しくみえる奴はたいてい善玉(ナイスガイ)である。
 法則その2 いちばん無害にみえる人物が、実は悪い奴(犯人)である。
 法則その3 探偵は土壇場ぎりぎりになってやっと啓示を得る(もっと早く気づけよ)。
 したがって、小説の興趣は、登場人物のキャラ等サイド・ストーリー如何、本作では文化大革命の落とし子といえる蛇頭、天安門事件で大学の職場をおわれた父親と現代的な息子の確執、アメリカ流拝金主義に染まった事業家、ウィグル人の殺し屋などさまざまな中国人が登場する。中国の故事、風水、囲碁なども取り上げており、なかなかよく調べている。
 なかでも、単身蛇頭を追って、密航船に乗り込む中国人刑事のソニー・リーが出色のキャラクターである(これほど仕事熱心な警察官が中国にいるのかなという疑問は棚上げする)。ライムの鑑識捜査とは対照的な中国流捜査でゴーストに迫っていき、事実先に辿りつくのである~以下略。
 気難しいところのあるライムとも打ち解けて、囲碁を教えるほどになる。本作における実質主人公かもしれない。
◆原題はザ・ストーン・モンキー、孫悟空のことである。作中で前記のリー刑事がライムのことを孫悟空に喩えている。
「あんたがこうなったのは運命だよ。何かの目的があってこうなったんだ。こうなったおかげで刑事の才能が最高に引き出されてるのかもしれない。あんたの人生はいまのままでバランスがとれてるんだよ」
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by chaotzu | 2005-03-11 21:24 | 読書
2005年 03月 04日

【読書】 ローレンス・ブロック「泥棒は野球カードを集める」

◆田口俊樹訳、ハヤカワミステリ文庫。ブロックの裏芸であるユーモア・ミステリ、泥棒バーニイ・シリーズの6作目。
 スカダー・シリーズのほうが著名であるが、肩のこらないこっちのほうもときに読みたくなる。とはいっても、最後は登場人物を一堂に集めて主人公バーニイが謎解きするという、かつてエラリイ・クィーンなど古典ミステリでおなじみの結末を踏襲している。余裕綽々の語り口である。b0036803_21202784.jpg
◆ミステリとしての出来はたいしたことないが、毎度サイド・ストーリーで読ませる。本作では野球カードをめぐる投機話と“猫おばさん”のはなしが面白い。
 「ホークス・ワグナー。ピッツバーグ・パイレーツの遊撃手。野球殿堂入り。彼のカードが作られたのは1910年。ただ当時は風船ガムではなくてタバコのおまけだった」
 「でもワグナーは煙草を吸わなかったので子供への悪影響を心配してカードを回収させた。その結果、希少価値が生れたわけだ」
 「二、三年前のオークションで45万1千ドルという値がついたそうだ。今なら優に百万ドルはするって言ってた」
 「“猫おばさん”たち。別にそうなろうと思ってなったわけじゃないはずよ。まず一匹目、次に二匹目、続いて三匹目と思っているうちに気がついたら猫だらけになってたんだと思う」
 「三匹目の猫が猫おばさんになるかどうかの分かれ目というわけだ」
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by chaotzu | 2005-03-04 21:25 | 読書
2005年 02月 27日

【読書】「仕事くれ」 ダグラス・ケネディ

◆新潮文庫、中川聖訳。かつて白帯文庫の栄光いまいずこの惨状がつづく新潮海外文庫において希少価値の掘り出し作家、ダグラス・ケネデイの二作目。それにしてもすごい題名だ。
 700ベージの大部だが一気に読ませる。スティーヴン・ハンターの企業戦士版とみればよいかもしれない。戦場はホット・スブリングズやミシシッピではなく、ニューヨーク・マンハッタン、武器はウィンチェスターやスミス&ウェッソンじゃなくもっぱら弁舌と計略である。出版業界における広告取りの内幕話や再就職支援会社の様子も興味深い。
 日本においてこの手の小説があってもおかしくはないと思う、事実かつての森村誠一が手がけていた分野であるが、もう洒落にならないのかもしれない。
b0036803_0254245.jpg◆それにしても、ニューヨークでホワイト・カラーを勤めるというのはたいへんなことだ。高給を得るチャンスがあるといっても、ブレイクファストやランチの時間までも仕事に充て、常にインサイダーや抜け駆けに用心しなければならない。片時も気が抜けない、その割りに生産的なところがない。どこか狂っており、作者もそれを十分承知しているのだろう。
 万事アメリカ式のやり方が最新で合理的との思い込み(あるいは錯覚)があるが、実は大間違いであることを教えてくれる小説でもある。
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by chaotzu | 2005-02-27 23:59 | 読書
2005年 02月 25日

【読書】サラ・ウォーターズ「半身」 ネタバレ注

◆創元推理文庫、中村有希訳。2003年度ミステリ・ベストテンでトップ・ランキングされた作品である。途中まではどこがミステリ1位なのかと思わせたが、ラストに至ってなるほどと納得。b0036803_23402136.jpg
 19世紀後半ビクトリア朝ロンドンの女囚刑務所が舞台、テムズ河畔の石造監獄や霧のロンドンの陰鬱な雰囲気などビジュアル感ある描写ぶりはディケンズを彷彿させる出来映えであるが、なんと作者32歳時の作品である。イギリスはなぜこれほど若手女流作家を次々と輩出するのか、大衆文学の伝統力というものをつくづく感じさせる。日本でも宮部みゆきが「霊験お初捕物控」シリーズなど時代物を手がけているが、どこか違う。
 物語は同性愛傾向のある上流階級令嬢(30代の「老嬢」)と元霊媒師女囚の交流を軸にその2人の女性の日記を交互に紹介していく形式。前半はかなりとっつきにくい。
 原題はAffinity、相性のいい仲というかどこか中島みゆきの「二隻の舟」を連想せぬでもないが、その二隻の舟の正体が問題で(以下略)。とにかくあっといわせる結末であり、読者によってはアン・フェアと感じる向きもあるかもしれない。勘のいい人ならば、途中で過剰な技巧性ゆえの不自然さに気がつくだろう。
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by chaotzu | 2005-02-25 23:59 | 読書
2005年 02月 24日

【読書】スティーヴン・ハンター「最も危険な場所」

◆扶桑社文庫、公手成幸訳。太平洋戦争の勇者である元合衆国海兵隊員アール・スワガーもの二作目。b0036803_2351914.jpg
 アメリカのディープ・サウス、ミシシッピ湿地帯にある謎の黒人刑務農場の殲滅戦、前作「悪徳の都」以上のドンパチぶりである。原題は「蒼ざめた馬が来る」、スワガー率いる“7人のガンマン”を蒼ざめた馬=死に喩えている。ガンマンはみな年輩者で、最高齢は80代というのは「スペース・カウボーイ」、饒舌寡黙さまざまのキャラ設定は「七人の侍」とあちこちの映画を参考にしているようだ。このほか老ガンマン(なんと任務完遂後に老衰死)の孫娘サリイ・マグリフィンも出色のキャラであり、いずれ再登場するかもしれない。
 前半はスワガーがさんざん痛めつけられ、後半はたっぷりそのお返しをするという、おなじみのストレス解消パターンである。看守長のビッグボーイなど刑務所側の敵役が前半の精彩きわだつ悪玉ぶりに比べて、後半はあっけないほどのやっつけられぶりでちと物足りないが、刑務所長の正体や謎の医師などのミステリ趣向がそれを補っている。
 しかし、黒人差別にはかなり批判的であるのに、黄色人種とくに日本人について侮蔑的な表現が散見されるのが、前作にひきつづき若干気になった。
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by chaotzu | 2005-02-24 23:59 | 読書
2005年 02月 11日

故瀬戸川猛資氏のこと

◆評論家の瀬戸川猛資氏が肝臓ガンで亡くなってから、もうすぐ6年になる。享年50歳、あまりにはやすぎる死だった。活字と映画の双方において大きな影響をうけた評論家兼水先案内人であったので、いまだに惜しまれてならない。健在であれば、まちがいなくエンターティメント評論の分野において小林信彦的な存在になり得る人であったろうと思う。だから忘れぬうちにこの日記でも書きとめておくこととしたい。
◆ミステリマガジンで「夜明けの睡魔~名作巡礼」の連載が開始されたのは1980年、これは目からうろこの画期的なミステリ評論だった。
 ・ロス・マクドナルドは本格ミステリ作家である。
 ・ホーガンのSF「星を継ぐもの」は本格ミステリの快作である。
 ・スタンリイ・エリンに異色作家のレッテルを貼るのはまちがいである。
 ・ほとんどSF的にクレージーなヴァン・ダインの「僧正殺人事件」
……いま振りかえれば、著者が30歳そこそこ時点での評論であり、怖いもの知らずの切り込みであったろうが、当時はそれがとても小気味よく感じられたものである。いわば新鮮なショック感。その10年後には同じミステリ・マガジンで「夢想の研究」を連載している。本(活字)と映画(映像)をリンクさせた評論集でこちらも斬新な試みであった。「12人の怒れる男」の解読なんかは絶品だと思う。司馬遼太郎唯一のミステリ小説「豚と薔薇」を紹介したりで、よくこんな全集未収録の珍品を発掘するなといったところもあった。また、「鉄欠乏性の貧血」で入院したことなども連載中に明らかにしている。この時点から病魔が忍び寄っていたのだろうが、あるいは当人はもう全部承知していたのかもしれない。
 上記2作は早川書房から単行本になったが、現在はなぜか東京創元社の文庫になっている。今でも多分入手できるだろう(ただし文庫本にしては少々値が高い)。
 その後も映画やミステリの評論で独特の切れ味をみせていたが、ミステリ・マガジンにおける座談会の写真が異様に黒い顔色でどうもおかしいなと思っていたところに、逝去の記事であった。
b0036803_2364348.jpg◆瀬戸川氏の業績でなにより特筆すべきことは、映画評論家の双葉十三郎がスクリーン誌に連載した「ぼくの採点表」を全5巻の単行本にまとめあげたことである(その後キネマ旬報社が1巻追加して現在は全6巻)。このためにトパーズ・プレスという出版社も立ち上げている。双葉氏の採点に加えて製作年次、原題、監督、出演者、あらすじ紹介まであるので、かなり値ははるが、映画ファンにとってはかなり重宝する本である。ちなみに双葉氏の採点☆が3個以上の作品であれば、観ても時間の無駄にはならない。
 若すぎる死ではあったが、かくも素晴らしい「作品」を遺していったこと、ときにうらやましく感じることもある。
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by chaotzu | 2005-02-11 23:16 | 読書
2005年 02月 10日

【読書】ロバート・ゴダード「石に刻まれた時間」

◆ゴタードの12作目、いままでだいぶ読んだが、本作がいちばん面白くなかった。作者もいろいろ新機軸をだそうと苦労しているのはうかがえるが、それが空転している。b0036803_23115777.jpg本作では建物にまつわるホラー趣向を加味しているが、肝心のストーリー展開とまったくむすびつかない。結局のところ、事件の真相はどうだったのか、なぜそうなったのか、よく分からないまま消化不良で読み終わってしまった。
 読解力不足もあるだろうが、もう飽きてきたのかもしれない。初期の新鮮さが懐かしいがもう無理かな。
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by chaotzu | 2005-02-10 23:19 | 読書
2005年 02月 09日

【読書】ロバート・ゴダード 「日輪の果て」

◆9作目となる本作は文春文庫。4社(扶桑社、創元推理、講談社、文春)から文庫が出ている海外作家は珍しく、一時の人気がうかがえる。b0036803_19155451.jpg
 本作の主人公ハリー・バーネットは社会から落伍したダメ人間であって、ガソリンスタンドのしがないパート従業員であるが、人間的にはもっとも共感されるキャラクターであり、ゴダードが造形した作中人物では珍しい成功例だろう。そのせいか4作目「蒼穹のかなたへ」につづく再登場である。
それにしても、ゴダードの描く人物像はいつもチグハグである。社会的地位もあって常識もあるだろう人間がおよそ賢明とはいえないアホなことばかりしでかす一方で、ダメ男の烙印をつけられたハリーはというと、実にまっとうに行動する。突然存在を知らされた息子のために奮闘するハリーの姿には胸をうつものがあって、小説の興趣として途中までは上々だったが、惜しむらくは結末が弱い。SF趣向というか超能力の存在をほのめかしているものの、それがすっかり空回りして、なんのこっちゃという終わり方になってしまいまことに残念。
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by chaotzu | 2005-02-09 23:59 | 読書