マイ・ラスト・ソング

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カテゴリ:読書( 48 )


2005年 02月 09日

【読書】スティーヴン・ハンター「悪徳の都」

◆伝説的名狙撃手ボブ・リー・スワガーの4部作シリーズにつづき、今度は第二次大戦の英雄である父親のアール・スワガーもの1作目。いわば小説のスター・ウォーズ方式である。各作品があちこちで連携している。もちろん単独で読んでも差し支えはない。b0036803_1923356.jpg
 作者はアメリカ版の大薮春彦といったところで、銃器マニアはたまらないだろう。ただ、大薮作品の主人公ほどの寂寞感はあまりみられない。
 スワガー親子はどちらもとにかく強いの一語、エンタメ小説史上最強のキャラクターかもしれない。マフィア相手の死刑執行人シリーズといい勝負か。直接の戦闘力のみならず武器の操作、作戦立案能力、知力胆力すべてにおいて抜群で弱点はなく、おまけに美人の妻までいて嫉ましいというしかない主人公を造形して、ラストまで力業でおしきっている。さすがに気恥ずかしいのか、父親のトラウマも混ぜているがご愛嬌だろう。
 作中にはかのラスヴェガス・フラミンゴホテルの“バグジー”・シーガルも登場するが、主人公アールにからむものの一発でKOされ、おまけにラストは悲惨な最期を迎えるというトホホ加減である。他の悪役もみな主人公の引き立て役であって、精一杯威嚇しようが恫喝しようがあるいは懐柔にかかろうが、みんな主人公に軽くあしらわれるのである。そして最後はおきまりのドンパチがあって、悪いやつらが叩きのめされる結末。それが分かっちゃいるけど面白い。ストレス解消にはお奨めだ。
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by chaotzu | 2005-02-09 23:59 | 読書
2005年 02月 03日

【読書】 ロバート・ゴダード 「閉じられた環」

◆講談社文庫、幸田敦子訳、ゴダード7作目の作品である。小説の読書というと、同一作家ものを時系列で読むことが多い。ゴダード作品はブック・オフ105円本で仕入れたものが残り3作あるので、まだ当分つきあわねばならない。b0036803_211262.jpg
 本作の主人公は詐欺師、これまで主人公のアホさ加減を酷評してきたが、作者も目先を変えてきたようだ。さすがにとことん愚かなことはなく、これまでの主人公に比べて抜け目のない部分はみられるものの、時々詐欺師らしからぬ経済合理性のない行動をとることがある。二転三転するストーリー都合に踊らされているわけだ。
訳者もあとがきで「サービス精神がやや過ぎて、筋書きのために置き去りにされるものがある。ときに『心』が」と記している、ほんとそのとおりである。
 物語はいわゆる陰謀史観もの、オセロ・ゲームのごとく二転三転するストーリー展開であるが、あっと驚く意外性があるわけでなく、格別に面白いというほどではありませんでした。
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by chaotzu | 2005-02-03 21:06 | 読書
2005年 01月 21日

【懐かし漫画】「ガラスの仮面」42巻

◆以前の日記で書いた“SPショップ”、いよいよ浄水器の売り込みに本腰を入れだしたようだ。「もう水道の水は飲めません、35名さま限定でマグネット○×の浄水器が29万円」だって。説明を拝聴している年寄り連中は投網にかけられたようなものだろう。今まで味噌や醤油に蜂蜜、天然酵母パンをせっせと撒いている。それにしても自治会は動かない。「営業妨害」はマズイにしても、打つ手はあるだろうに。
◆さんざん迷ったすえに、とうとう買ってしまった。恥ずかしながら美内すずえの「ガラスの仮面」第42巻である。およそ6年ぶりの新作だそうです。もうこうなったら、納税感覚に近いものがある。なにせ1976年の連載開始からもう30年近い。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称“こち亀”と同年デビューであり、こちらは“ガラかめ”というらしい。それにしてもその時生まれた子供はもう30歳近い。主人公の北島マヤは最初、ラーメン屋の出前で岡持ちをさげていた。初登場は今どき見られない化石ファッションだったわけで、作者も出来るものなら書き直したいだろうな。
b0036803_20551238.jpg◆はなしとしては、劇中劇である「狼少女」や「二人王女」のときがいちばん面白かった。居酒屋なんかで「あの漫画なかなか面白いぞ」なんておじさん連中に口コミで伝わって、それで娘に「花とゆめ」を買いにいかせる父親がけっこうたくさんいたりしたのである。間違いなく歴代の少女マンガのなかではいちばん幅広く読まれた作品だろう。しかし、途中から幻の名作とされる「紅天女」への期待感があまりに肥大してしまった感がある。この辺り、次から次に際限なく“史上最強キャラ”が出てくるので、作者も読者も疲れてしまったという鳥山明の「ドラゴン・ボール」とどこか似ていないこともない。適当なところ、例えば「紅天女」の舞台稽古に入るところなんかで終わっておればよかったかもしれない。その時は月影先生がマヤと亜弓に後事を託したすえ、とうとうお亡くなりになるである。しかし、漫画現実における月影先生は史上最強の病人であって、なかなか死んでくれないのだ。正直いって、月影先生の超人的病人力が心底うらやましくもある。
◆それで読んでみた感想→面白くないのひと言(汗)。とにかく話を進めてくれ。
 せっかく「紅天女」の舞台稽古に入ったというのに、まだあの人、そう“紫のバラの人”への想いが募ってマヤは悶々しているのだ。ライバル姫川亜弓のほうがよほどシャンとしているよ。そうそう、この亜弓の存在感が実に大きかったと思う。いやらしさも卑怯なところもない好感度抜群のライバル・キャラというのもこのマンガの発明品である。そして、桜小路クンは袋小路クンみたいで気の毒そのものだし、二股かけている紫バラ氏もまだ未練がましいようだ。しかし、どうも連載中のイメージと違うところがあるみたいだが、その連載も忘れてしまっているという、このまったり感。ストーリーがどうたらこうたらの細かいことをつつくなという点ではもう立派なシルバー・コミックだ。
 とにかく自分が生きているうちはもう終わらないなと確信しました。
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by chaotzu | 2005-01-21 21:02 | 読書
2005年 01月 19日

【読書】ドン・ウィンズロウ「高く孤独な道を行け」

◆東江一紀訳 創元推理文庫
 ストリート・キッズ上がりの探偵「ニール・ケアリー」シリーズ3作目。前作の中国ものがどうも難渋であったが、これはすらすらと読めた。簡単に云うと、ドンパチ西部劇で後半は大アクションになる。サイド・ストーリーであるニールと義父との愛情には泣かされるし、嫌われ者だった上司のレヴァインが今回は大活躍である。しかし反ユダヤを標榜する白人至上主義のカルト団体って絵に描いたような敵役、いまどきそんなのいるのかな、よく分かりません。ハリウッドにはけっこう受けるかもしれない。b0036803_21531479.jpg
 それにしても3作とも作風を変えているわけで、作者の力量はたいしたものである。あるいは達者になったのかもしれない。3作共通するのは、はじめは子供っぽかった主人公ニールが大人になっていく過程であり、成長小説としても読める。
 ところでこのシリーズは全5作あって10年ほど前に完結しているのに、その4作目、5作目がなかなかでてこない。後で出た別シリーズが角川文庫で既に刊行されているというのに、いったいどうなっているのだろう。フロスト警部シリーズも同様延び延びになっており、東京創元社も変った版元だ。もしかすると、翻訳料をけちっているのだろうか(笑)。
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by chaotzu | 2005-01-19 21:58 | 読書
2005年 01月 18日

【読書】ロバート・ゴタード「鉄の絆」

◆越前敏弥訳 創元推理文庫b0036803_21221044.jpg
 久々の読書。前評判はあまりよくなかったが意外と面白かった。過去の一族の謎に加えて歴史上の謎と物語に二重底の仕掛けをしており、作者が新機軸を図ったようだ(続編も可能なようにしているのであるいは三番底もありうるかもしれない)。最初の謎は上巻で種明かしされてしまうが、そこから登場人物の本性がむき出しになって俄然面白くなる。ラストも勧善懲悪の観点からは物足りぬかもしれぬが、一応はハッピーエンドで締めている。
◆しかし、ヒーロー、ヒロインは相変わらずお人よしというかアホ丸出しであって、これはもうゴダードならではとしかいいようがない(笑)。なにせヒロインは悪玉までも好印象を抱くぐらい「どこまでも人を信用してしまう」といった性格設定なのである。ヒーローも不肖の兄貴に尽くすとことんお人よしである。主人公の性格描写に深みがないということなのだろうが、甘い云い方をすれば、表向きの主役は物語を動かすために必要な狂言回しであって、実際の主役は別の登場人物と理解したほうが分かりやすいかも知れない。本作の場合は、ヒロインの義理の伯母とその旧友である元スペイン戦争義勇兵の2人である。とにかく読んでいて、あ~あ、引っ掛かるぞと思えば期待たがわずその通りになる、そしてそれを助けるのは前述した真の主役あるい偶然といったみえみえの展開が随所にみられる。これはもうゴダード節というか、ミステリ界のハーレクイン・ロマンスといってもいいかもしれない。だからやめられないのかな(苦笑)。
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by chaotzu | 2005-01-18 23:59 | 読書
2004年 12月 18日

ミステリ・ベストテン その2

◆きのうにひきつづき、海外ミステリ本年のベストテン。
[週刊文春]
 1.ダ・ヴィンチ・コード  ダン・ブラウン  角川書店
 2.荊の城  サラ・ウォーターズ  創元推理文庫
 3.魔術師(イリュージョニスト)  ジェフリ・ディーヴァー  文藝春秋
 4.犬は勘定に入れませんあるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎  コニ・ウィリス 早川書房
 5.奇術師  クリストファー・プリースト  ハヤカワ文庫
 5.誰でもない男の裁判  A.H.Z.カー  晶文社
 7.蛇の形  ミネット・ウォルターズ  創元推理文庫
 8.ダンテ・クラブ  マシュー・パール  新潮社
 9.イデアの洞窟  ホセ・カルロス・ソモサ  文藝春秋
10.赤い霧  ポール・アルテ  ハヤカワ・ポケット・ミステリ
[宝島社・このミス]
 1.荊の城(上下)  サラ・ウォーターズ  創元推理文庫
 2.魔術師(イリュージョニスト)  ジェフリー・ディーヴァー  文藝春秋
 3.ワイオミングの惨劇  トレヴィニアン  新潮文庫
 4.ダ・ヴィンチ・コード(上下)  ダン・ブラウン  角川書店
 5.ファイナル・カントリー  ジェイムズ・クラムリー  早川書房
 6.誰でもない男の裁判  A・H・Z・カー  晶文社
 7.ダーク・レディ(上下)  リーチャード・ノース・パターソン  新潮文庫
 8.蛇の形  ミネット・ウォルターズ  創元推理文庫
 9.犬は勘定に入れません または、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎  コニー・ウィリス  早川書房
10.奇術師  クリストファー・プリースト  ハヤカワ文庫F
 国内ミステリと同様まだ一冊も呼んでいない(汗)。ま、生きておれば先行きの参考にということである。云うまでもないことだが、評論家諸氏がおすベストテン作品が万人に面白いとはかぎらない。自分的には、好みの作家をみつけるための効率的なガイド役と思っている。さてベストテン作品だがトレヴェニアン久々の復活が目をひく。そしてフロスト警部の次作はいつになるのだろう。
◆日本共産党が北朝鮮の経済制裁容認に転じたらしい。内部からの突き上げが相当あったのだろう。なんせ「経済制裁が実施されたら直ちに強力な物理的手段で対応する」と恫喝するような相手だからな。○○○○に刃物を連想せぬでもない。
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◆神戸ルミナリエ、いちどは行きたいと思うのだが、寒そうでなかなか足を運べない。せめて写真だけでも貼り付けておきましょう。
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by chaotzu | 2004-12-18 23:59 | 読書
2004年 12月 17日

年末恒例のミステリ・ベストテン その1

◆年末恒例のベスト・ミステリが出揃ったので、この一年を記憶するために掲記しておく。まずは国内ミステリのベストテン。
b0036803_1942789.jpg[週刊文春]
 1.犯人に告ぐ  雫井脩介  双葉社
 2.生首に聞いてみろ  法月綸太郎  角川書店
 3.暗黒館の殺人  綾辻行人  講談社ノベルス
 4.アヒルと鴨のコインロッカー  伊坂幸太郎  東京創元社
 5.チルドレン  伊坂幸太郎  講談社
 6.残虐記  桐野夏生  新潮社
 7.幻夜  東野圭吾  集英社
 8.THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ  矢作俊彦  角川書店
 9.修善寺・紅葉の誘拐ライン  若桜木虔  ジョイ・ノベルス
10.紅楼夢の殺人  芦辺拓  文藝春秋
[宝島社・このミス]
 1.生首に聞いてみろ  法月綸太郎  角川書店
 2.アヒルと鴨のコインロッカー  伊坂幸太郎  東京創元社
 3.天城一の密室犯罪学教程  天城 一  日本評論社
 4.THE WRONG GODDBYE ロング・グッドバイ 矢作俊彦 角川書店
 5.銀輪の覇者  斉藤 純  早川書房
 6.硝子のハンマー  貴志祐介  角川書店
 7.暗黒館の殺人(上下)  綾辻行人  講談社ノベルズ
 8.犯人に告ぐ  雫井脩介  双葉社
 9.臨場  横山秀夫  光文社
10.紅楼夢の殺人  芦辺 拓  文藝春秋
 6作品が両方ともベストテン入りし、計14作品。実は一冊も読んでいない、まだ前世紀あたりのベストテン作品でうろちょろしていて、新しいものにはとても追いつけそうもない。図書館でもなかなか借りられないしね。伊坂幸太郎なんか面白そうだけど。

◆【読書】「処刑宣告」 ローレンス・ブロック 田口俊樹訳 二見書房
 「元アル中」探偵マット・スカダー・シリーズ13作目、なんと3つの事件をスカダーが解決する。ミステリとしては出来すぎの感あるも相変わらず抜群の語り口、翻訳もうまい。題名とはそぐわないが、見事なクリスマス・ストーリーでもある。ラストはちと感動。
 作中からの引用をふたつほど。
 「ニューヨークで最も嫌われている男は誰か分かるか」
 「それはウォルター・オマリーじゃないかな」
 つぎは、ドロシー・パーカーの詩
 「剃刀は痛い
 川は濡れる
 酸はしみができる
 薬は痙攣する
 銃は不法
 ロープはほどける
 ガスはくさい
 まだ生きていたほうがいい……」
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by chaotzu | 2004-12-17 19:45 | 読書
2004年 12月 10日

【読書】「トランク・ミュージック」ハリーとエレノアの恋愛物語

◆近頃、歩道をのんびり歩くことができづらくなった。原因は自転車である。スピードをだしてすぐそばを疾走する、平気でチリンチリン鳴らす。実際、人身事故も最近は多発しているらしい。そのうち喧嘩がおきるんじゃないか。
 本来、自転車が歩道を通行するべきではないだろう。ヨーロッパあたりでは自転車も堂々と車道を走っている。あるいは車道に自転車専用ゾーンをつくっている。そうすると、日本の場合は自動車ドランバーの不寛容のつけを歩行者が負担させられているわけか。ま、歩道を通るなとまでは云わない。少しは歩行者に遠慮して走ってもらえればすむことである。とにかく勘違い馬鹿が増えて困る。
b0036803_850747.jpg◆【読書】「トランク・ミュージック」 マイケル・コナリー 扶桑社文庫
 ハリー・ボッシュもの、トランク・ミュージックとは自動車トランク内での射殺音らしい、アメリカ特有の物騒なことばである。プロットは錯綜しており、敵味方がオセロゲームみたいに反転するが、途中でこれはハリーとエレノアの恋愛物語だなと気がつく。ミステリと恋愛、それにおなじみ内部監察部門との確執、三層構造の小説になっているのが人気のあるゆえんか。
 ラスベガスのミラージュ・ホテルが出てくるが、いちどは泊まってみたいね。
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by chaotzu | 2004-12-10 23:59 | 読書
2004年 11月 24日

マット・スカダーの酔いどれ時代

◆【読書】「一ドル銀貨の遺言」「聖なる酒場の挽歌」ローレンス・ブロック 二見文庫
 入院中に読了した本。二見文庫唯一の目玉「マットです、きょうはパスしておきます」のマット・スカダー・シリーズ、三作目と六作目、このときはまだお酒をだいぶ呑んでいたアル中探偵の時代。
 五作目「八百万の死にざま」のアル中ぶりがあまりに凄まじかったもんだから、長い間その前後がこわくて読めなかった。酒呑みの自分を投影するようなこわさがあったのかもしれない。たしかに15、6年前はよく酔い潰れていた。AAの会みたいなものが身近にあったら行っていたかもしれない。「きょうは聞くだけにしておきます」なんてね(笑)。
 本のほうだが読みはじめるとあっという間に2冊読了。とくに「聖なる…」は秀逸。
b0036803_217183.jpgブロックの語り口はほんとにうまい、唸らされる。田口俊樹氏の翻訳もおおいに寄与している。出てくる飲み屋の多いこと、アームストロングの店、ミス・キティの店、モリシー兄弟の店……、9.11前のニューヨーク気分を味わうにはもってこいだ。謎解き興味もそんなに要らない、雰囲気だけで十分堪能できる。飲み仲間の物語という点では映画の「スモーク」も似た感じであるが、結末は小説のほうがはるかに重い。
 シリーズものとしては、ロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズよりはるかに上だと思うが、早川書房はなぜ見切ったんだろう。大チョンボだよな。
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by chaotzu | 2004-11-24 21:08 | 読書
2004年 11月 20日

目からうろこの寺島ジャズ論

◆読書【辛口JAZZノート】 寺島靖国著  講談社α文庫
 これまで音楽活動といえばハタ迷惑なカラオケ程度でそれも過去のことと、まことに貧相であったし聴くほうも節操なしである。演歌にフォーク、ロックに唱歌etc。ところが、ジャズだけどうしても苦手であった。ひと言で云うとよく分からないのだ。難解なのである。読書のBGMには歌詞にとらわれないインスト曲のほうがよいのだが、どうしても馴染めないという思いがこれまであった。ま、BGM扱いが間違い、きちんと対峙しないからだと云われれば、そりゃそうかも(苦笑)。
◆寺島靖国氏のジャズ本をはじめて読んだとき、蒙をひらいたというか、まさに目からうろこだった。同氏は説く。
・なんといっても、メロディーがよくないとダメ。
・まずは現代のジャズから聴きはじめてほしい。
・いわゆる「名盤」を信用するべからず。
そうか、最初の入り口でとちったのかとひざを打った。たいていのジャズ本は、スイングだやれビバップだのモード、フリーとかジャズの歴史書みたい、入門書じゃなく教科書だったんだ。いわゆる「歴史的名作」に沿って聴き始めたのがつまづきのもとかと納得。もっと気楽にメロデイがくっきり分かるものから入っていくべきだったと、これでいっぺんに寺島教に宗旨替えした次第。で、それからちびちびとお気楽モードでジャズを聴きはじめている。
b0036803_17414067.jpg◆本書は寺島先生の処女作で初版は1987年、読むのが後回しになっていたもの。内容は既存のジャズ評論諸氏に挑戦というかもう喧嘩を売っているようなもんだから、当時はさぞや喧々ごうごうであったろう。なかでも黒人女性歌手はもうボロクソである。。
・ビリー・ホリデイ、度しがたく暗い、いくら努力しても好きになれない。
・エラ、アニタ、ベティ・カーターという、わるいが化物(偏見です)としかいいようのない黒人女性ばかりで“いい女”はまず登場しない。
まあ、ここまで本音を語れるというのも凄いというか。いや、人種差別ということじゃないですよ。私も正直云って、巨体の女性は苦手で、あたりまえだが“いい女”が好きなことは同じだ(笑)。
それでも、版を重ねて文庫に入り、著者は今でも健筆をふるっているのだから、氏の評論姿勢が支持されたってことでしょう。
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by chaotzu | 2004-11-20 18:02 | 読書