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2005年 01月 31日

【ビデオ】「カラマリ・ユニオン」 フィンランド版大脱走

◆これまで気ままにテレビ録画した映画が山ほどあるが、なかなか消化できない。本作もそのひとつ。1985年のフィンランド映画で、アキ・カウリスマキ監督の初期作品である。おなじみマッテイ・ペロンパーが出ており、後のレニングラード・カウボーイズの原型となった作品であろうが、残念ながら筋書き等さっぱり分からない。あるいはそういう作品なのかもしれない。b0036803_22134991.jpg
 10何人かの男がエイラという“理想郷”への脱出を図るはなしであるが、登場人物の名前はみんな「フランク」ときておまけに全員サングラスをつけているという具合だから、ややこしいことこのうえない。下層世界の住民と上流階層との壁を描いているのかもしれない。カラマリとはイカの墨のことだそうで、タイトルはイカ墨同盟ってことかな。それもどうでもいいかもしれない。最後、マッテイ・ペロンパーともう1人がエストニアに小船で旅立つが、それも不吉な成りいきを暗示して終わる。エストニアへの旅立ちは他作品でもあったような、しかしもう忘れている。
 カウリスマキ監督の作品は音楽の選曲も見どころ(正確には聴きどころかも)であり、本作では“スタンド・バイ・ミー”が印象的だった。カウリスマキ映画の音楽集出してくれたら、買ってもいい。確約します。
◆漫画家の中尊寺ゆつこがガンで亡くなった、漫画はそんなに読んでいないが、ひとつの時代風景を見事に切り取って活写したという印象がある。まだ42歳だ。ガンという病気の恐ろしさをあらためて痛感。あと茶化している意味ではけっしてないが、本名が“小林幸子”だったということも知ってしまった。
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by chaotzu | 2005-01-31 22:16 | 外国映画
2005年 01月 31日

【NHK・BS】 「テキサス魂」 老雄コンビの愉快西部劇

◆1970年アメリカ映画、J・スチュアートとH・フォンダが共演するコメデイ風西部劇。このふたりの顔合わせは珍しいと思う。調べてみるとJ・スチュアートが1908年5月20日生れ、H・フォンダが1905年5月16日生れだから、フォンダが3歳年上。参考までに云うと、J・ウェインは1907年5月26日生れであり、みんな同年代のしかも5月生まれである。b0036803_2262073.jpg
 アメリカン・ニューシネマ以後の70年代初頭で、いかに名優の揃い踏みとはいえ60代じいさんコンビの西部劇はあまりヒットしなかったと思う。事実まったく記憶にない。だけどいま観るとけっこう愉しい映画で、拾い物である。
 南部テキサスのカウ・ボーイ2人組が中西部ワイオミング州の新興地シャイアン(かのララミーの近く)まで出向いたものの、ひと騒動のすえ、もとの大平原(カウ・ボーイ)に戻るはなし。偽薬売りのじいさんなどのギャグに加えて、決闘ありドンパチありの趣向いっぱいで、西部劇へのオマージュにもなっている。監督はなんとジーン・ケリーである。
 H・フォンダが前年製作「ウエスタン」の冷酷非道な悪役ぶりとは打って変わった饒舌な相棒役をコミカルに演じており、芸域の広さに感心。対してJ・スチュアートはまったく変らないというか何を演じてもやっぱりジミーおじさんのままであって、いわば安心キャラとカメレオン・キャラの競演である。原題は「シャイアン・ソーシァル・クラブ」、娼館のことである。J・スチュアート曰く「(娼館は)テキサスでは公益事業みたいなもの」だそうで、この映画をみると、鉄道の延伸と娼館の設置がタイ・アップになっていたらしいことが分かる。西部開拓の裏面史か。
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by chaotzu | 2005-01-31 22:07 | 外国映画
2005年 01月 27日

国籍条項訴訟について思う

◆昨日の最高裁「都管理職試験国籍条項訴訟」判決、原告の敗訴となったが、現状では妥当なところだろう。永住資格のある外国人だからふつうの外国人と異なる事情は理解できる。それでもあえて申し上げる“日本に帰化すればいいじゃないの”
 “なぜそこまで国籍にこだわるの”“帰化すれば埋没するような個人のアイデンティテイってあるのか”なんて問うことは野暮で失礼なことだろうか。ユダヤの人がどこの国でもユダヤ人でありつづけるのは、国籍ではなく個人の意志がそれを規定しているからだろうし、それは日本人がアメリカ市民権を得たとしても同じことだろう。
 帰化して選挙権をどんどん行使する、そして韓国系日本人の人たちが地域や社会における存在感を増していけば、自ずと原告が主張する方向に流れていくだろう。迂遠かもしれぬが、革命でもないかぎり世のなかの物事は一瀉千里にはなかなか動かない。
 新聞報道のとおり、原告の保健婦さんが記者会見で「日本は哀れな国」「(外国人に)日本に来るなと言いたい」など云ったとすれば、かえってマイナス・イメージになるなと心配する。「裁判には負けたけど問題提起の意義はあった」ぐらいにしとけばいいのに、惜しいことだ。
 ジョン・レノンの「イマジン」の世界は理想だろうが、現実はまだ夢物語~文字通り“イマジン”だと思っている。
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by chaotzu | 2005-01-27 22:21 | 時事
2005年 01月 27日

私的「カラ元気」捻出用音楽

◆寒さのあまりかどうも元気がわいてこない。血管も気分も縮こまっている。こんな時は自分を無理やりでも鼓舞する材料が必要になる。そこで気合注入、脳内麻薬分泌のための音楽をピックアップしたい。昔ならばさしづめ軍艦マーチといったところだろう。ただし「勇気を出して頑張りましょう」的なまっとうすぎるものやさわやか系は疲れるのでパス、あくまで一時しのぎ気合入れ用の音楽である。
◆以下、現時点で思いつくかぎり、順不同。b0036803_21185062.jpg
・映画「ロッキー」のテーマ
 アメリカ人のオナニー映画なんだろうけど、定番はやはりはずせない。ロッキー・シリーズのサントラを1枚のMDに収めて聴いていたことがある。そして、エイドリアーン!と脳内で雄叫びをあげるのである(笑)。メイン・テーマ以外では「ロードワーク」などで何度も出てくるモチーフもなかなかグッド。
・映画「続荒野の用心棒」~さすらいのジャンゴ
 なんといっても、マカロニ・ウエスタンはこの手の音楽の宝庫だった。ジャンゴーって何度絶叫したことだろう。
・映画「仁義なき戦い」のテーマ
 昔、映画館でやくざ映画を観終わったお客が全員肩いからせて出てくるという、どおくまんの漫画があって爆笑した。ケータイの着メロにしたいとも思ったがなんとか踏みとどまった。
・富田勲「宇宙幻想」よりスペース・ファンタジー
 R.シュトラウス「ツァラトストラ」~ワグナー「ワルキューレの騎行」「タンホイザー序曲」とつづく富田勲ならではの壮大な組曲。クラシック畑ではワグナー作品が気合音楽の宝庫だ。
・エルガー「威風堂々」
 オープンカーに乗って、群衆の歓呼にお手ふりで応じている姿を想像する。もう妄想そのものだけど、気分いいことも否定できない。「虹をつかむ男」みたいだが、さすがに後で虚しくなるか。
・ピンク・フロイド「吹けよ風、呼べよ嵐」
 これもベタだけど、プログレ者としては外せません。
・映画「スター・ウォーズ」~メイン・テーマ
 初めて観た時のゾクゾク感は忘れ難い、あれからもう28年経ったのか。ジョン・ウィリアムズはこの手の音楽が得意で、ロス五輪のテーマ曲もなかなかいい。
・オスマン・トルコの陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」
 NHKドラマ「阿修羅のごとく」のテーマに採用されて著名。
 まだまだあるだろうけど、ここらで息切れ。映像記憶と連携するのだろうか、映画サントラがやはり多くなる。ヘビメタ系でかなりあるかもしれないが、あまり知らないのよ。
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by chaotzu | 2005-01-27 21:27 | 音楽
2005年 01月 27日

【NHKBS】 「シェナンドー河」 珍しい反戦西部劇

◆1965年アメリカ映画、南北戦争にまきこまれた非戦農場一家の物語。ジェームズ・スチュアートが威厳あるやもめ農場主を好演している。当時はベトナム戦争が泥沼化しており、西部劇(バージニア州だけどね)の体裁をとった反戦映画だろう。b0036803_2175942.jpg悲劇に終わるかとみせて、父親と末っ子の再会シーンをもってくるラスト・シーンは計算みえみえなんだが、思わず目頭が熱くなる。なお「卒業」に出る前のキャサリン・ロスも出演している。あまり期待していなかったが拾い物の作品だった。
 このブログでいろいろ映画のことをエラソーに書いてはいるものの、子供当時は007とマカロニ・ウエスタン、長じてからはやくざものかロマン・ポルノに走ってしまった。そしてアメリカン・ニューシネマ以後の作品はろくすっぽ観ておらず、漫画ばかり読んでいた。
 しかし、何が幸いするか分からない。そのおかげで過去の数多ある佳作を新鮮な気持ちで観られるというわけである(笑)。
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by chaotzu | 2005-01-27 21:13 | 外国映画
2005年 01月 27日

【NHKBS】 「間諜最後の日」 ヒチコックのアシェンデン

◆相撲ファンの方には申しわけないが、初場所が終わってやれやれである。映画放送が復活するからだ。b0036803_2122413.jpg
 さて、本作は1935年、アルフレッド・ヒッチコック監督イギリス時代の作品、この2年後に傑作「バルカン超特急」を撮っている。
 なんとも時代がかったタイトルであるが、原題は“秘密諜報員”、サマセット・モームのスパイ小説が原作。“アシェンデン”という題でも著名である。
 はっきり云って映画のほうは失敗作、敵方スパイ抹殺の指令を受けたイギリスのスパイ3人組に任務遂行の緊張感がまるで感じられない。だいたい人前で相談しすぎだわ。いちおう映画史の勉強というか、ヒッチコック作品の落穂拾いとして観ておく映画か。
 唯一の見どころは自称将軍の殺し屋ピーター・ローレの怪演。目玉をぎょろつかせて熱演している。このローレ氏、「カサブランカ」にも出演していたそうだが、さてどんな役だったんだろう。
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by chaotzu | 2005-01-27 21:05 | 外国映画
2005年 01月 26日

ガンの鍼灸治療

◆知人から紹介された鍼灸院に通いだしてから、早いものでもう1年になる。鍼灸といえば肩こり、腰痛や関節痛など、どちらかといえば外科方面の先入観があったので、たいした期待もせずにはじめた。当時は追い詰められたというか八方ふさがりのような心境にあったが、まあ副作用の悪さはないだろうし、いま以上に悪くはならないだろう、いちおう試してみるかといった具合である。だから周りにも吹聴していないし、主治医にも伝えなかった。
 治療はお灸も含めいろいろやってもらい、今は主に「置き鍼」という方法に落ち着いている。背中のツボに針を入れて10分間ほど置くのである。このはりを打てばたしかに痛みは緩和されるし、鍼灸を始めてからの病状は小康状態を保っており、CT画像も落ち着いている。
 院長のはなしでは鍼灸も免疫療法のひとつであるとのこと、はり一本で体のツボを刺激することで、自然に備わる免疫力を活性化するのである。脈診を重視しているようで、最近は「だいぶよくなった」と云われる。当たり前のことだが、そう云われて気分が悪かろうはずはない。b0036803_21444315.jpg
◆岩波新書で「鍼灸の挑戦」なる本が出たので早速読んでみた。これまであまりにも鍼灸に無知だったことを反省し、少しは勉強しなければと思ったのである。本書は共同通信の記者が全国の鍼灸院を探訪したルポである。著者自身も鍼灸師の資格をもっており単なる素人の訪問記事ではない。それにしても、ジャーナリズムが鍼灸をこれほど正面から採りあげた例は記憶にない。長い歴史伝統がある「もうひとつの医療」でありながら、明治以来西洋医学の風下におかれて、どこか古くさくて迷信じみたイメージがこれまで過剰にありすぎたのではないか。
 さて一読してみて蒙をひらく思いである。
・鍼灸はいろんな疾患の治療手段になっている。ガンのみならず、糖尿病や痔、ひいては歯槽膿漏にまで効くことがある。慢性疾患の有効な治療手段として注目されている。
・低コストの省資源医療としてWHOも推奨し欧米も注目するなど、100カ国以上で臨床に応用されている。 もちろん秘伝や秘儀のたぐいではない。誰でも修練すればできる技術である。
・若いひとで鍼灸師を目指すひとが増えている。京都府船井町に鍼灸専門の4年制大学もあるらしい(ずっと前に開学しているそうだが、恥ずかしながら知らなかった)。
◆巻末に著者が訪ね歩いた鍼灸院のリストが掲載されているので、慢性疾患等で悩んでいる方はひとつの参考になるだろう。もちろん鍼灸治療といっても万能ではない、患者の個人差もあるだろう。だけどそれは西洋医学でも同じことである。
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by chaotzu | 2005-01-26 21:53 | 病気
2005年 01月 26日

【ビデオ】「ロスト・チルドレン」 おそまつくんも登場

◆1995年フランス映画
 「エイリアン4」や「アメリ」に先立つジャン・ピエール・ジュネの監督第二作目。ひと言にすると“奇妙な味”。自分的には少年窃盗団は「オリバー・ツイスト」、少女と魁偉巨人のカップルは「レオン」を連想するものがあった。b0036803_21313834.jpg
 細部まで凝りまくった映像で、動物を駆使したシーンはとくに愉しめる。CGののみ、ネズミと猫をつかったドアの開錠、カモメをあんなふうに利用した処刑場面など、よく思いつくものだと感心。双子老婆の食事シーンは何度見ても面白くいちばんの見せ場だろう。それに常連ドミニク・ピノンのクローン人間5人組(まるでおそまつくんみたいだが)はどうやって撮影したんだろうか。とにかく見せ場たっぷりで、映画同様に満腹してゲップで終了しそうである。
◆しかし、あれこれ細かいシーンに目が奪われてしまうほど、物語の全体像がつかめなくなってしまう。なんというか、よくできた見世物小屋を見物しただけということになりかねない。だから、個人により好き嫌いが別れるかもしれない。自分としては、「アメリ」のほうが話の起承転結はよく出来ていると思う。
 あと、子役は実に可愛い、とくにいつも食いしん坊の男の子が面白い。ヒロインの少女役ジュディット・ビッテは子役当時のナタリー・ポートマンを凌駕していると思うが、10年経った現在、どうなっているのだろう。
◆おまけ→オープニングでかの名優ジャン・ルイ・トランティニアンがクレジットされたので、さてどんな役でご登場かと注目しておりましたが、あれあれなかなか出てこない。その「なぞ」は最後に解き明かされます。
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by chaotzu | 2005-01-26 21:42 | 外国映画
2005年 01月 25日

特権意識むき出しの議員年金存続

◆昼めしどき、テレ朝の“ワイド・スクランブル”はこの番組お得意の議員年金特集、今回は先に衆参議長に答申された新議員年金制度案についてであるが、議員OBの相沢英之や粕谷茂の特権意識むきだし意見の開陳に思わず目が点になる。年間500万円近くもの議員年金をとって他にも資産収入があるだろうに、まだ生活やつきあいにお金がかかる云々といっている。まったく国民と苦楽を共にしようという意識のかけらもみられない元選良氏である。
◆ゲスト出演した議員年金調査会委員の立正大学渡部教授は「日本の国会議員年金はアメリカより3割高、ヨーロッパ某国(忘れました)の2倍という優遇であり是正は当然」、しかし「公的年金との一元化意見は他5委員から否決された」「はじめから存続の結論ありきだった」とコメント。この先生は諸外国年金制度の研究者だそうで、TV慣れしていないというか朴訥な話しぶり。民主党の河村“名古屋弁”議員もかねて持論の廃止論を主張、「国民には負担アップを求めておいて議員だけ特権享受の時代ではない」
 これに対して相沢元議員が「非公開と決まっている議事情報をなぜ公開する」「民主党の議員も廃止に賛成していないだろう」など挙げ足取りとしかとれない意見を云っては切り返されている。「国会議員の重要な職責と身分の特殊性」を云いたいのだろうが、この元センセイ、田中角栄に取り入って大蔵省主計局長から事務次官に登りつめ、現在に至る赤字財政の先鞭をつけた存在。周知のとおり、司葉子の夫ということだけで鳥取県に落下傘立候補した人物で、政治家として語られる功績があるわけでない。はっきり云っていまは年金泥棒、それも共済年金との二重取りだ。
b0036803_22191460.jpg ただ、テレビに出てくるだけでもましかもしれない。元議員の気楽さゆえだろうが、粕谷氏も同じだろう。ほとんどの現役議員は本音を隠して逃げている。現役存続派で唯一ビデオ出演した河野太郎議員、「議員年金は良質な人材を導入するために必要」とおっしゃる。発言した勇気は認めるし、たしかにその理屈はありうるだろうが、逆に金目当ての金蝿人材を呼び込む心配はないのか。
 真に過酷な職業であれば親は子供にそれを継がせたくないという。ところが国会議員については子供に継がせたい親だらけである。よほどうまみがあるのだろう。特権的な年金もそのひとつである。せめて「ノーブレス・オブリージェ」の心意気が議員諸氏にいくらかでもあればともかく、河野議員の意見にはちょっと首肯できません。
◆衆参両院議長の諮問機関「国会議員の互助年金等に関する調査会」の委員をメモしておく。なるほど、先の渡部先生を除くと元官僚と御用評論家、御用学者のオンパレードだ。このメンツでは結論ははじめから決まっていましたか。
座   長 中島忠能 前人事院総裁
座長代理 貝塚啓明 中大教授(財政金融学者、東大教授、財務省財政金融研究所名誉所長)
委   員 中島 勝  政治評論家(元NHK解説委員長)
委   員 渡部記安 立正大学大学院教授(社会保障制度研究者)
委   員 大石 眞  京都大学大学院教授(憲法学者)
委   員 猪口邦子 上智大学教授(国際政治学者、前軍縮会議日本政府代表部全権大使)
◆おまけ、その後の夕刊キャツチ、オセロの中島知子が谷原章介と結婚するとの情報、ただし東スポです。「芸能界魔性の女」だそうですが、知らなかったよ。松島もなかなか可愛いと思うんだけど、それは少数派かな。
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by chaotzu | 2005-01-25 22:30 | 時事
2005年 01月 24日

簡単ではないカラ残業問題

◆大阪市役所のカラ残業問題について、市の監査委員会が超過勤務手当の返還を市長に勧告した旨の報道があった。2つの区役所で9000時間弱、約2500万円の返納である。大阪市の職員組合も自主返納を提案しており、これで少しは税金の無駄遣いが減ると期待したいところだが、はたしてどうだろうか。つまるところ、カラ残業で叱られたのであるから、実際に居残ればいいだろうという理解になりはしないか。それでかえって電気代なんかが前より高くついたりすると、カラ残業のほうがかえって安く済むというジレンマになる。
 本日の読売夕刊は、支給される制服(スーツ)を子供のサイズで注文する市職員がいたとの報道。一部職員の行為にせよ、こんな「裏技」が事実とすれば、「残業」が直ちに減るとはどうも期待しがたい。公費の節約という観点ではカラ残業相当分の超過勤務手当の予算を減額するしかないと思われるが、それが出来るかである。b0036803_23494569.jpg
◆ただ事務系の職場で残業をどうみるかというのは、実際悩ましいところがある。あたりまえのことだが、実際の残業とただの居残りは別物である。季節要因やイベント開催、突発事の対応など、明白なスポットの残業もあるが、まぎらわしい場合もある。そして実際の退社時間はというと、仕事の熟練度や取組意欲のほか、家庭の事情や麻雀仲間の都合などいろいろな思惑で前後することがある。
 自分の場合、病気してからはとにかく早く退社したい一心である。デートの約束がある人は、通勤途上から仕事の段取りを練って、朝いちばんからトップギアで張り切るだろうし、奥さんとの折り合いが悪くて、なるべく早く家に帰りたくない人もいるといった具合である。
 また、高度成長期に残業が常態化して残業代が生活給同然になってしまった側面もある。この辺り、低成長期に入ってから、裁量労働制やフレックス・タイムの導入など経営者が軌道修正にやっきになっているようであるが、これまた過労死の背景やサービス残業の合法化になるという批判もある。
◆昨今は労働基準監督署があちこちで残業代の不払いを摘発している。それで思わぬ「臨時ボーナス」の恩恵にあずかった人もいるだろう。しかし労基署が前述の事情をどこまで理解しているか疑問がある。なんだか経営の擁護をしているようであるが、居残った時間の残業代を全部払ってくれるのならば、それに対応した仕事ぶりの人が増えるのは目にみえており、それもまた見苦しいものである。あるいは役所のカラ残業のもともとの発想はその辺にあったのかもしれない。いわば「残業談合」である。しかし実績がない談合となれば詐取同然であるから、返還は当然のことだろう。
◆また、頭の固い役員や幹部には昔風の「勤勉は美徳」信仰があって、さっさと退社する社員を快く思わない風潮もなお残っている。それで、無遅刻無欠勤で退社は誰よりも遅く、休日出勤もいとわない社員を頼もしく思っていたところが、実は業務上横領の発覚をおそれてとても休めなかったという「笑いごとでない話」もあるくらいだ。
 結局のところ問題は、公平・客観的な勤務評価制度の構築とそれを人事考課なり給与査定に正確に反映する仕組みに帰結してしまう。いやこれじゃ、当たりまえすぎか。
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by chaotzu | 2005-01-24 23:46 | 時事