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2005年 02月 28日

イーストウッドに脱帽

◆米アカデミー賞、クリント・イーストウッド製作兼監督主演の「ミリオンダラー・ベイビー」が作品賞、監督賞など4部門で受賞した。「許されざる者」以来2度目の監督賞、作品賞になるが、1930年5月31日生まれだからもうすぐ75歳である。この歳になってなお人生の絶頂を極めているのだからもうおそれいりましたのひと言である。ちなみに高倉健とだいたい同年代ではないのか。b0036803_21424530.jpg
◆もともと日本になじみの深い俳優である。大むかし「ローハイド」というテレビ西部劇があって、イーストウッドはロディという若手の牧童を演じて人気があった。♪ローレン、ローレン、ローレン……、のテーマソング、たいていの人は聴いているのではないか。サントリーが同名の“バーボン”ウイスキーを売っていたこともあり、TVのCMでも著名である。
 「ローハイド」の後一時低迷したものの、イタリアに行ってマカロニ・ウエスタンで捲土重来、その後の大スターへの道はご存知のとおりである。
◆にもかかわらず、アメリカでは裏街道スターのイメージが長いことつきまとっていたように思う。マカロニ・ウエスタンやダーティ・ハリーでハデなアクション・スターのレッテルが貼られてしまい、それが災いしたのかもしれない。安定したスターの地位を得てからも、イーストウッドは「オレはただのアクション・スターだけではないんだ」と長い間ずっと訴えつづけてきたようにみえる。
 実際に本人が監督製作した作品のなかには“ダーティ・ハリー”路線とは一線を画す地味な佳作がある。なかでも「センチメンタル・アドベンチャー」のいい加減かつどこか哀しい叔父さん役や監督専念の「バード」なんかはとくに印象ぶかい。一方で商業的な成功を狙った作品も製作しており、なかなか一筋縄ではない映画人である。今回の2度目の受賞はアメリカ映画界が完全にイーストウッドを功労者として認めたということだろう。
 長い人生をかけて、イーストウッドは自分というものをずっと主張しつづけ、世間・業界にそれを認めさせたわけである。男子の本懐を遂げたというか立派なものだ。
◆それはそうと、先ほどの「ローハイド」みたいな昔の米テレビ・ドラマをずっと流してくれる有料チャンネルがないものか、「サンセット77」「ハワイアン・アイ」「ルート66」なんてもう一回見たい。あればすぐ契約します。
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by chaotzu | 2005-02-28 23:59 | 映画周辺
2005年 02月 27日

【読書】「仕事くれ」 ダグラス・ケネディ

◆新潮文庫、中川聖訳。かつて白帯文庫の栄光いまいずこの惨状がつづく新潮海外文庫において希少価値の掘り出し作家、ダグラス・ケネデイの二作目。それにしてもすごい題名だ。
 700ベージの大部だが一気に読ませる。スティーヴン・ハンターの企業戦士版とみればよいかもしれない。戦場はホット・スブリングズやミシシッピではなく、ニューヨーク・マンハッタン、武器はウィンチェスターやスミス&ウェッソンじゃなくもっぱら弁舌と計略である。出版業界における広告取りの内幕話や再就職支援会社の様子も興味深い。
 日本においてこの手の小説があってもおかしくはないと思う、事実かつての森村誠一が手がけていた分野であるが、もう洒落にならないのかもしれない。
b0036803_0254245.jpg◆それにしても、ニューヨークでホワイト・カラーを勤めるというのはたいへんなことだ。高給を得るチャンスがあるといっても、ブレイクファストやランチの時間までも仕事に充て、常にインサイダーや抜け駆けに用心しなければならない。片時も気が抜けない、その割りに生産的なところがない。どこか狂っており、作者もそれを十分承知しているのだろう。
 万事アメリカ式のやり方が最新で合理的との思い込み(あるいは錯覚)があるが、実は大間違いであることを教えてくれる小説でもある。
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by chaotzu | 2005-02-27 23:59 | 読書
2005年 02月 26日

沖縄音楽にはまる

◆このところ、沖縄の音楽ばかり聴いている。MDに数十曲を収納してかけっぱなしである。とはいえ民謡などは入門段階で、本島と先島の区別もつかない。オキナワ・ミュージックの一年生である。
 動機は単純で要するに寒さからの逃避心理、それと青空への憧れもある。もっとも沖縄の1、2月は雨期で曇り空が多いらしいけど、まあそれはおいといてである。若いころは北国志向が強かったが、いまは南国信者にすっかり宗旨替えしてしまった。「真夜中のカウボーイ」のダスティン・ホフマンがフロリダに憧れるのと似たようなものかもしれない。
◆白状すると、沖縄の音楽でこれまで知っていたといえるのは、「ハイサイおじさん」と「花」、それと「島唄」「さとうきび畑」ぐらいだった。かつてはカラオケで「花」をよく唄っていたが、病気して以来すっかり馴染めなくなった。“笑いなさい、泣きなさい”って云われても、現実はそんなに単純じゃない、きっと健康で屈託のない人向きの歌なんだろう。「さとうきび畑」もなんだか悲しみの押しつけみたいな気がする。泣きの“大安売り”はどうも苦手である。それやこれやでこれまであまり聴いてこなかった。それが少しはいろんな歌を聴きこんで、なかなかいい唄もあるじゃないのとしみじみ感じ入っているきょうこの頃である。
◆お恥ずかしいはなしだが、「島唄」のTHE BOOMは沖縄出身者だとこれまで思っていた。すっかり沖縄のご当地ソングで定着しているのでそう思い込んでいたのである。この歌は南米アルゼンチンでも大ヒットしたらしいが、本土出身の歌手がいったいどんな経路で着想したのだろうか。このほか、ディアマンテスは沖縄発祥のラテンバンドと思っていたし、ネーネーズは「ハイサイ」系のコミカル・バンドかと思っていた。まあこれまで知らなかったことをたくさん勉強させてもらっている。いや無知を自慢するわけじゃないけど。b0036803_0173499.jpg
◆現時点で好きな沖縄の唄、順不同。とくに「安里屋ユンタ」はいい、泣けてきます。
 ・安里屋ユンタ(民謡) ・島唄(THE BOOM) ・涙そうそう(夏川りみ)
 ・海とぅ島(りんけんバンド) ・芭蕉布(多数) ・片手に三線を(ディアマンテス)
 ・明けもどろ(ネーネーズ) ・十九の春(民謡?) ・イラヨイ月夜浜(BEGIN)
 ・ミルクムナリ(日出克)
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by chaotzu | 2005-02-26 23:59 | OKINAWA
2005年 02月 25日

【読書】サラ・ウォーターズ「半身」 ネタバレ注

◆創元推理文庫、中村有希訳。2003年度ミステリ・ベストテンでトップ・ランキングされた作品である。途中まではどこがミステリ1位なのかと思わせたが、ラストに至ってなるほどと納得。b0036803_23402136.jpg
 19世紀後半ビクトリア朝ロンドンの女囚刑務所が舞台、テムズ河畔の石造監獄や霧のロンドンの陰鬱な雰囲気などビジュアル感ある描写ぶりはディケンズを彷彿させる出来映えであるが、なんと作者32歳時の作品である。イギリスはなぜこれほど若手女流作家を次々と輩出するのか、大衆文学の伝統力というものをつくづく感じさせる。日本でも宮部みゆきが「霊験お初捕物控」シリーズなど時代物を手がけているが、どこか違う。
 物語は同性愛傾向のある上流階級令嬢(30代の「老嬢」)と元霊媒師女囚の交流を軸にその2人の女性の日記を交互に紹介していく形式。前半はかなりとっつきにくい。
 原題はAffinity、相性のいい仲というかどこか中島みゆきの「二隻の舟」を連想せぬでもないが、その二隻の舟の正体が問題で(以下略)。とにかくあっといわせる結末であり、読者によってはアン・フェアと感じる向きもあるかもしれない。勘のいい人ならば、途中で過剰な技巧性ゆえの不自然さに気がつくだろう。
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by chaotzu | 2005-02-25 23:59 | 読書
2005年 02月 24日

【読書】スティーヴン・ハンター「最も危険な場所」

◆扶桑社文庫、公手成幸訳。太平洋戦争の勇者である元合衆国海兵隊員アール・スワガーもの二作目。b0036803_2351914.jpg
 アメリカのディープ・サウス、ミシシッピ湿地帯にある謎の黒人刑務農場の殲滅戦、前作「悪徳の都」以上のドンパチぶりである。原題は「蒼ざめた馬が来る」、スワガー率いる“7人のガンマン”を蒼ざめた馬=死に喩えている。ガンマンはみな年輩者で、最高齢は80代というのは「スペース・カウボーイ」、饒舌寡黙さまざまのキャラ設定は「七人の侍」とあちこちの映画を参考にしているようだ。このほか老ガンマン(なんと任務完遂後に老衰死)の孫娘サリイ・マグリフィンも出色のキャラであり、いずれ再登場するかもしれない。
 前半はスワガーがさんざん痛めつけられ、後半はたっぷりそのお返しをするという、おなじみのストレス解消パターンである。看守長のビッグボーイなど刑務所側の敵役が前半の精彩きわだつ悪玉ぶりに比べて、後半はあっけないほどのやっつけられぶりでちと物足りないが、刑務所長の正体や謎の医師などのミステリ趣向がそれを補っている。
 しかし、黒人差別にはかなり批判的であるのに、黄色人種とくに日本人について侮蔑的な表現が散見されるのが、前作にひきつづき若干気になった。
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by chaotzu | 2005-02-24 23:59 | 読書
2005年 02月 23日

【ビデオ】「シカゴ」 人をくった爆笑ミュージカル

◆2002年アメリカ映画。ブロードウェイ・ミュージカルヒット作の映画化らしいが、よくこんなことを思いつくものだと感心しきり。b0036803_23562677.jpg
 ふつうミュージカルといえば、夢とか希望あるいは悲恋などが定番であるが、本作はすべてその逆で、打算や金銭欲、裏切りなど人間のダーテイな世界がテーマ。殺人を犯しながら銭ゲバ弁護士の巧言で無罪をかちとったあげく、ショービジネスの世界でそれを売りにしてのしあがるという、なんとも人をくった不道徳なはなしである。だから、反発もあるかもしれない。それはそれとして世の中の出来事はなんでもミュージカルになるものだ。
 日本では和歌山カレー事件なんかミュージカル仕立てにできないか。タイトルはずばり「ワカヤマ」。冒頭ハヤシ・マスミ被告が水道ホースをもって登場、もちろん服装はミ○ハウスである。♪あんたら何してんねん。~やっぱり物議をかもしそうで以下自粛。日本ではどうも無理なようだ。
◆感心したのは、レニー・ゼルウィガーの腹話術人形演技、歌も達者であるし、“ブリジット・ジョーンズ”のおデブさんがこんなに変身するとは思わなかった。体重も出演作にあわせて増減しているようで見上げた役者根性だ。共演のゼタ・ジョーンズと同年だそうだが、断然レニーのほうをおしたい。
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by chaotzu | 2005-02-23 00:00 | 外国映画
2005年 02月 19日

「痛い」発言集

◆近頃目についた痛い発言。まさに「貧すれば鈍す」「厚顔無恥」であって、子供がぐれる一因である。そして、こんな連中にかぎって「教育論」を唱えたがるから始末が悪いときている。
1.サンケイ新聞2月18日付主張:(ホリエモンvsフジTV問題に関して)
 「堀江氏は電波媒体を買収してグループ内の新聞まで支配したいという野望なのだろうが、電波というのは公共財であり、しかも無限ではない。この限りある資源を適切に使うため、国が限られた事業者に免許を与え、割り当てている。それが放送事業である。したがって、利益をあげることが最大の目的である一般事業会社とは当然異なり、より大きな公益性と社会的責任が伴う。」
→フジテレビの日枝会長も同じようなことを云ってるが、いきなり急に公共事業面するなって。「オモしろくなけりゃテレビじゃない」ってホリエモン路線とおなじことを云ってたのはどこの局だろう。野球中継なんか半分はCMだし、地方局じゃパチンコとサラ金のCMだらけである。実際にやってるのは金儲け商売で「公益性と社会的責任」なんてかけらもないのにな。b0036803_23133717.jpg
2.豊島園社長の堤康弘氏~コクドの堤義明前会長(70)の実弟:
 「コクド株式の大半は、父親で創業者の堤康次郎が分散を防ぎ、相続税対策を図るため、他人名義という所有形態を取っただけで堤家のもの」
→こうもあからさまに相続税の脱税を公言するとは(唖然)。衆議院議長までやった人の「遺訓」だそうだが、みっともないことこのうえなし。社会的セレブも一皮むけばこんなものか。
3.愛媛県警警務課船田茂次長:捜査費裏金内部告発の巡査部長異動人事について(1月24日)
「異動は業務の効率化や本人の実績、経歴などを考慮して適材適所に配置している。今回の内示は、内部告発に対する報復ではない」
→みえみえのウソ発言、「事情聴取調査するために無任所のポストに配転した」と説明すればよいこと。あるいは「ノー・コメント」にしといたほうがまだましか。捜査費のインチキなんて全国津々浦々もうばれている。後で「自傷行為のおそれがある」からとかつけ足しているが、警察関係者が嘘ついてはいけません。
4.小泉純一郎首相:小渕優子衆院議員の結婚祝賀会(2月17日)におけるあいさつ
 「結婚生活は1に我慢、2に辛抱。3、4がなくて5に忍耐。私は今、政治の世界でそれを経験している」→自分自身の結婚破綻はどうなんだろうか。この人の場合、もしかしたらもう忘れているのかもしれない。
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by chaotzu | 2005-02-19 23:13 | 時事
2005年 02月 19日

【ビデオ】「帰らざる夜明け」 シニョレとドロンの「不似合い」カップル

◆1971年フランス映画。昔の録画ビデオのたな卸で、さてなんの映画だったのかすっかり忘れている。南アのアパルトヘイト関係かと思っていたが、G・シムノン原作の恋愛映画だった。いい加減なものだ。似たようなものがまだいっぱいある。b0036803_22335695.jpg
 フランスの大女優シモーヌ・シニョレ演じる農家の寡婦がアラン・ドロンの脱獄囚と恋愛の末、共に死んでいくはなしである。はっきり云ってあんまり面白くなかった。
役者としての実際の年齢差はS・シニョレが14歳上であるが、まあそれはいい。日本でも還暦間近の吉永小百合が渡辺謙と熱愛を演じている。S・シニョレにこういう役はどうも似合わないように思うのだ。「影の軍隊」のレジスタンス役が素晴らしかったからそう思うのかもしれない。ただ、フランスの農場風景はすこぶる美しい。
◆メグレ警視シリーズで著名な原作者G・シムノン、日本では推理小説作家として紹介されているが、それは誤解の元で実際の作風はもっと幅ひろい。日本における山本周五郎的な存在だと思うのだが。
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by chaotzu | 2005-02-19 22:44 | 外国映画
2005年 02月 18日

【ビデオ】「旅路」デボラ・カーが引きこもり娘を熱演

◆1958年アメリカ映画、イギリス南部海辺の町ボーンマス、ホテル逗留客による人間模様を描いた舞台劇の映画化で、ホテル外の場面は一切ない。
 原題は「セパレート・テーブル」、登場人物各々の孤独を現しているのだろうか、邦題はちと芸がないというか意味不明すぎる。
 宿泊客10人は過去のトラウマ、親子の歪んだ支配関係、破綻した元夫婦、落魄した元上流階級などみんなわけありの屈折感たっぷり人物ばかり。いかにも舞台劇らしい緊迫した出来映えであり、ラストは大いに盛り上がる。なかなかの秀作であった。b0036803_2332292.jpg
 出演はデヴィッド・ニーブン、バート・ランカスター、デボラ・カー、リタ・ヘイワースなど豪華版だが、ホテル女主人役のウェンディ・ヒラーも印象的だった。
 バート・ランカスターとデボラ・カーは「地上より永遠に」でも共演しているが、5年後の本作ではどちらも全くちがったタイプのキャラクターを演じている。とくにデボラ・カーはクレジットがなければいったい誰だか分からないような、「めぐりあい」とは打って変った引きこもりオールド・ミスを演じている。なおランカスターは製作にも関与している。
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by chaotzu | 2005-02-18 23:07 | 外国映画
2005年 02月 18日

希望退職で憧れの八重山生活?

◆日本たばこ(JT)が4千人の希望退職を募ったところ、5800人近い応募があって、なんと全社員の3分の一が退職することになった由。まあ40歳かつ勤続15年以上の希望退職者の退職金平均が3千万円というから、そりゃ手を挙げますわな。はっきりいってかなりうらやましい。
JTもタバコと医薬品事業の二本柱を唱えてさかんにCMしているが、企業理念としてみれば果たして両立するものか。なによりタバコをやめるのがいちばんの医薬品事業だし、社員も先行きを懸念していたということなんだろうな。
 自分の場合も、仕事はもういいや気分が横溢である。あとどれだけ生きられるかわからないし、もう自由にやりたい。現状は医者代がかかるので職場にしがみついているだけだ。だから3千万円超の退職金となれば、前の晩から行列にならぶだろう。b0036803_22392662.jpg
◆さて仕事を辞めるとしてどうするかだが、かねてから沖縄・石垣島に住んでみたいと思っている。ただし離島での田舎生活願望やいま流行りの“定年帰農”指向は毛頭ない、だいいちそんなの出来っこない。スタンスとしては人口5万人近い亜熱帯地方での小都市生活であって、根性が必要なカントリー・ライフではない。
 NHK・BSとADSL環境、コーヒー豆それに図書館と病院があれば十分だろう。家賃は案外かかるかもしれないが、酒、たばこ、パチンコはしないし、食費はもうそんなにかからない。なにより暖房費が要らないのが魅力である。八重山の猫は腹まる出しで眠っている。人間もそれにあやかって、だらだら暮らしてみたい気分である。西表島、小浜島、竹富島も近い。海辺の日陰で岩波文庫などを一日じっくり読めたらいいなと思う。恥ずかしながらこれまで人生大半の読書は日刊スポーツと日経新聞、それにマンガ本だった。映画もまだ見ていない名作がいっぱいあるし、あとは釣りが出来たらサイコーというか。
 まあ夢だろうけど、JTのおかげでおじさんの妄想がつのること(泣)。
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by chaotzu | 2005-02-18 22:58 | OKINAWA