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2006年 01月 14日

共産党不破議長の遅すぎる退任

◆雨降り日和であるが、気温はぐんぐん上昇し、まるで春の先取りみたいな一日。スキーツアーのひとには申しわけないが、やれやれこんな日が続けばいいのにな。

◆さて、本日閉会した日本共産党大会で、不破中央委員会議長がとうとう退任した。1970年代から政界の第一線にずっといたのだから、日本の現役政治家のなかではおそらく最古参だろう。かつての共産党のプリンスであり、一時は国民的な人気もかなりあった。街頭演説でもかなり人が集まっていたように記憶している。
しかし、今となれば、それもすっかり色あせてしまい、辞めるのが遅きに失したという思いしかない。正直申し上げて晩節を汚したのではないか。

◆1970年代のそう遅くない時期に民主連合政府が誕生すると高らかに打ち上げた。しかし、いま振り返ってみれば惨憺たるものだった。わたしより年長の団塊世代のなかには、この民主連合政府構想にすっかり熱中してしまい、お金どころか人生そのものを共産党に捧げつくしてしまったようなひとがいる。ある意味で詐欺にあったようなものである。
現実は民主連合政府が実現するどころか、結果として自民党政権の延命に手を貸してきたありさまである。しかるにその最高責任者の首にダレも鈴をつけられなかったわけだ。これだけ選挙で惨敗がつづけば、普通はトップが責任をとって辞めるのがジョーシキというものだが、「善戦健闘」なるわけワカメな選挙総括で居座ってきたわけである。
それどころか、「衆議院小選挙区選挙供託金支援基金」を満場一致で採択したという。とても信じられない(苦笑)。ほんとによくやるよというしかないが、はっきり云って人事の不透明性や多様な意見の封殺は、ただ今将軍様巡業中の某国労働党と大して変わらない。いくらいいことを唱えていても、これではダメなのである。

◆と書いてきたら、なんと常任幹部会員には残るらしい、アジャパー、故いかりや長介じゃないが、ダミだこりゃ。
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by chaotzu | 2006-01-14 23:11 | 時事
2006年 01月 09日

【DVD】「アンドロメダ……」 アメリカ版手塚治虫のSF世界

◆現在1700点ほど刊行中のハヤカワ・ポケミス、その記念すべき1000点目が出たのは今から35年も前の1970年4月、そして注目の作品はアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作とはいえ、なんと無名の26歳医学生が書いたものだった。
ジェフリー・ハドソン「緊急の場合は」。
よほど将来を嘱望されていたのだろう。その眼に狂いはなく、たしかに大ベストセラー作家になった。ところが、好奇心旺盛なのか作品はどんどんミステリの枠からはみ出していく、SF、冒険、企業、災害、そして原作の多くが映画化されていく。そのうちに作家本人が監督を手がけたりもする。医者出身で多芸多才なひと、そしてあらゆる分野に際限なく枝葉を広げていく、こうみると、なんだか日本の手塚治虫によく似ているのである。
現在はマイクル・クライトンで著名、大当たりした「ジュラシック・パーク」に先立つSFミステリの映画化作品をみる。巨大怪獣こそ出てこないが、サスペンスフルなSF佳作である。

b0036803_2243356.jpg◆1971年アメリカ映画、ニューメキシコの小さな村に人工衛星が落下し、村民の大半と回収に出向いた兵士が絶命するという発端。人類と地球外生命体のファースト・コンタクトのはなしであるが、その相手は2ミクロンほどの微細な結晶体、まあバイキンみたいなもので、接触した生物の血液をたちまち粉末に変えてしまうという極悪病原体である、名づけてアンドロメダ病原体。排泄はなくただ貪るのみ、原爆で焼き尽くしてもそのエネルギーを吸収して増殖するというから、究極無敵の生命体である。ところが、村民がことごとく絶命したなかで、酒飲みのじいさんと泣き叫ぶ赤ちゃんの二人だけはなんともなくぴんぴんしている。それはなぜか?

◆砂漠の地下深くに建設された秘密の研究所で4人の科学者チームによる不眠の研究がはじまる。まず回収した人工衛星にラットを接触させるとたちまちコロリ、サルも同様だ。空気感染にちがいない、次にフィルターを介在して「病原体」のサイズを探る……、この辺りの実験シーンが延々と続くがあまり退屈しない。科学的な説明の段取りがうまいのだろう。
また、この研究所自体の設定も面白い、地下深く5層構造になっており、深く潜るほど、無菌状態が徹底される。科学者も一段階下りるつど、裸になって洗浄され消毒される。表面の老化した皮膚が白い灰になるほど放射線で灼かれたりする。許容される食べ物も各レベル毎に変わってくるなど、この辺りの細密描写が凝っている。ときどきアナログ風の機器が登場するのも、またご愛嬌である。

◆この映画では、仄めかす程度にとどめているが、もともとは国防省が生物兵器を研究するために設置した研究所である。あるいは人工衛星も異種生命体の採取が目的であったかもしれない。しかし、研究どころか、地球外生命との「戦場」になってしまう。おまけに研究所各層のシールドが破れたら5分以内に核で自爆するという設定である。アンドロメダの弱点を突きとめねばならんし、自爆設定を強制終了させにゃならんはで、ラストはてんわやんわで、ハラハラドキドキになる、というか無理やりそんな展開にもっていく(笑)。
それにしても、人類滅亡の危機であるというのに、バタバタしているのはたった4人の学者だけである。政府の役人や軍部はけっこう呑気にかまえていたりする。み終ってから、ハラハラさせやがって損したなと思ってしまうのは、いったいなんだ(苦笑)。
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by chaotzu | 2006-01-09 22:09 | 外国映画
2006年 01月 08日

医者は神になるべきでない

◆録画しておいた昨夜のNHKスペシャル「日本のがん医療を問うII」をみる。あらためて日本のがん情報体制の立ち遅れを痛感してしまう。なにせ、がん拠点病院の空白県が未だにあるというのだから、治療水準以前のはなしである。情報の収集分析もないまま、個々の医療機関がただやみくもバラバラに取り組んでいる。医師会~地域の医療ボスの既得権擁護と大学医学部の思惑がまずありきになっていて、患者の気持ちは後回しにされている。そして、厚生労働省は無力そのものである。結局のところ、頼りになるのは熱意ある医師の個人的能力だけとなる。これでは百年河清を待つ状態と思わざるを得ない。
番組に出演していた厚生労働省の技術統括審議官、おそらく技官(医師)のトップなんだろうが、云ってることは本省にご意見を伝えますだけである。こんなメッセンジャーボーイだったら、中学生でもできる。情けないはなしだ。

◆セカンド・オビニオンを求めて築地の国立がんセンターまで出向いたはなしは、以前にもエントリーしたが、そのときの説明は「なにも手のうちようがありません」だけだった。一泊2日で出かけた結果は5分もかからなかった。ほんとに簡単なものだった。こちらも動転していたのだろう、もっと食いさがって聞いとくべきであったかもしれないが、応対した医師がそのように判断した根拠背景の説明はなにもなかったのである。
少なくとも、いま現在、これこれの新薬が治験中ですが、効果のほうはまだ検証されておりませんとか、外国ではこんな有効情報があります。個人輸入する方法もあります。ただし、相応のリスクが伴うかもしれません、お金のほうもだいぶかかります。当面はなにもしないという選択肢もあり得ます云々……の補足説明があれば、また受けとめ方も変っていただろうが、ただ気落ちしにいったようなものだった。

◆番組に出演した医者が云う、はっきりしない情報を安易に伝えて患者をリスクにさらすわけにはいかないと(大意)。なるほど、もっともらしい云い分であるが、大半の患者にしてみれば藁をもつかむ思いなのである。こういう小ぎれいな云い方は、医者が自分の勉強不足を糊塗しているようにしかみえない。
なにもせず座して死を待つよりは、1%の可能性でもあればそれにかけてみたい、そう考える患者もきっといるだろう。そういう思いを医者が事前に摘み取ってしまっていいものか。最終の判断は患者自身の価値観に委ねるべきだろう。医者がその前に立ちふさがるのは真に大きなお世話というものだ。
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by chaotzu | 2006-01-08 10:48 | 病気
2006年 01月 07日

なお生きている

◆自分の日記なんだから、たまには自分自身の状況のことも備忘的に記しておくべきだろう。
体調のことである。このところ、どうにも寒さにまいっている。血行が悪くなってくると、体がとたんに動かなくなるのだ。お手上げである。末しょう血管が収縮して、手指は白くなり感覚がなくなってくるし、足の先も冷え切っている。それで、このところ、自宅に到着次第、すぐさまお風呂に直行、長時間入浴して自分自身を「解凍」しているありさまだ。だいたい一時間半ぐらいお湯に浸る、それでやっとひと息ついている。食事のあとは、まだ余熱があるうちにと早々に就寝している。
そんな具合だから、当ブログの更新頻度もだいぶおちてしまった。
春よ早く来てくれの心境である。
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by chaotzu | 2006-01-07 18:37 | 身辺雑記
2006年 01月 05日

「心の問題」三態

b0036803_19582163.jpg◆「ココロの親分」というタヌキみたいなギャングのボス、かの赤塚不二夫が創造したキャラクターである。口癖は「○○のココロ」、だいたいセリフはこれで締める。さて、その親分がコイズミさんをみたらどんなことを云いだすだろうか。
“はぁ~、ポックンポックン、政治家が「心の問題」なんて乱発するなのココロ”
“く~だらない、く~だらない”
ニャロメも云うぞ “一国の総理たる者、個人の心象に矮小化するなニャロメ”

◆某セクハラ常習者の弁明
いやあ、彼女がいろいろ云ってるけどさあ、あれってボクのほうからすれば親愛の表現なんだよね。きれいな女だったら、そりゃ体全体で感銘をあらわしたくなるじゃない、ちょっとタッチするぐらいお宮さんにお参りするようなもんだ。それがけしからんなんてとても理解できませんね。逆に無視するほうがよほどセクハラなんじゃないの。だいいち、これはボクの精神の自由というか、心の問題でもあるんだよね。憲法にも保障されてるじゃないの。ダレにも立ち入ってほしくないね。断じてセクハラ問題に卑小すべからずだ。それに、いつでも話し合いに応じるといってるじゃないの。
えっ、相手のほうの心の問題はどうだって、そんなの分かるわけないじゃない。もしかしたらこれを出汁にして脅しにかかってるつもりかもね。そんなのカードになりっこないさ、いゃあ、とても理解できないね。
えっ、心の問題じゃないって、心の病だって、そうかなあ。

◆某痴漢常習者の独白
やっぱりさあ、電車んなかで可愛いねえちゃんみたら、ちょっと挨拶したくなるじゃない。何もしないほうが失礼じゃんか、だいいち、イヤなら専用車のほうに行けばいいんだよ。そうじゃないってことはさ、ほんとは触ってもらいたがってるんだよな。それにさあ、オレのポリシーでもあるんだよね。云ってみれば心の問題だなあ。自由な精神を解放してるってわけさ。それで二度と風俗には行かないという誓いもしてるんだよ。オレってえらいだろ。だから、それがけしからんって云われても理解できるわけないじゃん。
だいたいさあ、文句云ってるのは、とても触りたくないような女なんじゃないの、相手にしてほしくて騒いでんだよ。そんな、一つの問題ぐらいでガタガタ云うなっつーの。
なに、心の問題じゃない、犯罪だって。ほっといてくれや。
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by chaotzu | 2006-01-05 20:03 | 時事
2006年 01月 04日

就学援助著増の「怪」

◆小学生の頃、クラスのなかでひとりだけ給食費をもってこない子供がいた。その子供は教科書やノートなんかもみんなタダでもらっていた。子供というものは無邪気というか残酷なもんだから、教師に質問したりする。
“センセイ、○○くんはなんで給食費を払わなくていいんですか”
“ああ、○○くんはいいんだ”
今から振り返れば、生活保護等で就学援助を受けていた家庭の子供だったのだろう。それにしても無神経かつ酷い教師がいたもんだと思う、大勢の級友の前でさらし者である。もっと上手なやりようはなかったのか。その子供はすごく傷ついたことだろう。
世の中全体がまだ貧しかった時代である、貧乏な家庭はたくさんあった。それでも、就学援助は50人のクラスのなかで1人か2人ぐらいだったように記憶している。子供に傷をつけまいと学校代はなにがあってもきちんと納めなければいかん、そんな意識が大人にあったように思う。

◆そういったかつての記憶に照らせば、昨日(1/3)の朝日新聞朝刊のトップ記事、ちょっと驚いてしまう内容である。
「就学援助4年で4割増」「大阪・東京4人に1人」。リストラや給与水準の低下が進むなか、生活困窮世帯が増えつつあることを反映して、公立小・中学校における就学援助の受給者割合が急伸しているという。同記事によれば、最高は大阪府で27.9%、次いで東京都が24.8%、三番目が山口県で23.2%とある。これだけでもモノスゴイ高率であるが、市区町村別となると東京都足立区が42.5%、ちょっとにわかには信じ難い数字である。すると、足立区の小・中学校平均では、10人のうち4人までが就学援助の対象児童ということか? それは、ちょっと多すぎるんじゃなかろうか。ここまでくれば、もらえるものはもらっとかねば損という発想がありはしないのか。

◆景気がよくなった、株価が上がったといっても、それが一般庶民の暮らしぶりにはあまり反映されない。むしろ家計は縮小してるんじゃないかと思っている。これまでは消費者物価があまり上がらなかったので、目立たなかっただけじゃないか、そんな風に受け止めている。だから、就学援助対象児童等が増えることは分かる。それにしてもである。ちと地域的なバラつきがありすぎでないか。市町村によって甘い基準があるかもしれないが、一部に親のモラル・ハザードを疑ってしまうのだ。子供の学校代なんて、何があっても歯を食いしばってでも、優先的に確保するべき支出費目である。
親が学校代を払えない児童等が4人に1人あるいは5人に2人の割合までに増加している、だとしたら、援助の一部はパチンコ代に振り替わっているんじゃなかろうか、そんな心配すらあるが、そこまで云ったら云いすぎだろうか。もっとも、これも格差社会がもたらす歪みのひとつかもしれない。
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by chaotzu | 2006-01-04 23:09 | 時事
2006年 01月 04日

【DVD】 「黒革の手帖1~4」 あんな小娘にぎりつぶしてやる

◆一度だけ銀座で飲んだことがある。ことわっておくが地方の○○銀座ではないし新橋や西銀座あたりじゃない、正真正銘、東京都中央区の銀座なんである。もちろん堂々の自腹である。これ以上タネあかしはできないが、もしかするとわが生涯の絶頂期であったかもしれない(笑)。そして世間知らずの増長おさまらず、こんどは銀座で鮨を食べたいと思っているうちに、バブル崩壊とあいなってしまったのである。今から思い返せば汗顔の至りであるが、銀座に一丁前の憧れと興味があったのである(汗)。田舎者のコンプレックスだろうと云われれば、そうその通りと頷くしかない(笑)。

b0036803_21224931.jpg◆テレビドラマは滅多にみないが、松本清張の原作かつ銀座ものということでみる。一昨年テレビ朝日が制作したもので、米倉涼子の主演で話題になった、それをこのお正月に通しで全部みる。中味はドロドロの人間欲ぼけ模様、とても新年にふさわしくないが、それが面白くてやめられない。原作を現代風に置きかえる為かなりいじっているので、半分以上は脚本家の力量だろう。
はなしそのものは、ひと言でいうと、色と欲にとりつかれた人間が織りなす大喜劇である。とくにオトコたちはみんな俗物根性丸出し、思いきりクサイ演技で大笑いさせてくれる。そのなかで、ヒロインの米倉涼子は悪女であるが、ほとんどダレの助けも借りず、己独りの才覚でネオンの海を渡っていく。オンナとしての武器も使おうとしない。みていていっそ清々しいというべきか、いやこれは人によって見方が分かれるかもしれない。ここまで欲望むき出し人間ばかりのドラマとなると不愉快になる人もいるだろう。とにかく、誰一人としてまっとうな健全人は出てこない(苦笑)。それでも俳優さんは悪役となるとみな愉しそうにやっているようにみえてしまう。なぜだろう?

◆ヒロインがのしあがる武器となるのは、銀行の架空名義預金を密かに記録した「黒革の手帖」である。もともと架空名義預金は禁止されておらず「自粛」だった。ということは「推進」と同然でやりたい放題になる。護送船団当時は預金量で銀行の収益が決まる、だから成績を上げたい銀行員はみな口座名義まで用意して協力に走った。これは云うまでもないが、脱税の手助けである。
いまは、本人確認書類が要るので、昔みたいな濫造は無理だろうが、それでも是正されないままの旧い口座がかなりあるだろう。とにかく、銀行員のヒロインがそんな架空預金口座の記録を取引材料にして、1億2千万円の横領を支店長に黙認させるところは、痛快である。そして並みのオトコだったら、その程度で満足してしまうところを、そのお金をタネ銭にして、銀座の一流クラブのママを目指す。極めつけの悪いオンナではあるが、見ているうちにだんだん感情移入してくるからフシギである。

◆もうひとつは、ゴージャス・ムード、ヒロインの着ている和服に帯止め、かんざし、それがしょっちゅう変わるので溜息ものである。見ているほうはナンボぐらいのもんだろうかと下種根性丸出し(汗)。洋服のほうも、ソニア・リキエルのパンツスーツ、ヴァレンティノのドレス、ディオールのワンピース、ピアジェのピアス、アルマーニのジャケット……、さながらブランドもの展示会である。思わぬ眼福でありました。
しかし、女優さんが着ているからこそ映えるのである。同居人なんかが着てもムダムダと内心呟いたりする。おっと聞こえでもしたらおおごとだ。
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by chaotzu | 2006-01-04 21:29 | 日本映画
2006年 01月 03日

【NHKBS】「砲艦サンパブロ」混沌時代の中国描く大作

◆日中戦争以前の中国近代史、目まぐるしく変転するので、なかなかおぼえにくい。孫文率いる辛亥革命(1911年)で清朝が倒れたことは承知しているが、そのあとが何やら群雄割拠状態でワケワカメなのだ。
孫文や蒋介石の中華民国、毛沢東他の中国共産党、旧清朝の将軍であった袁世凱その他軍閥……、国中が実質分裂状態であって、おまけに西洋諸国や日本の権益も入り乱れている。要するにタ゜レが当時の中国を支配していたのかさっぱり分からない。国のかたちをなしていなかったそんな混沌状態の中国をやがてまとめていくのは、外国人排斥運動である。そういえば、日本の明治維新もはじめは攘夷思想が原動力になった。まあ、そんな時代の中国のはなし。

b0036803_22451646.jpg◆1966年アメリカ映画、「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ監督による超大作であるが、がらりと趣向を変えてきたのでびっくり。職人監督の本領発揮というべきか。
この映画の主役というべきサンパブロ号はいまや死語となった「砲艦」、「軍艦」の一種であるがその小型版みたいなものか、この映画のなかではアメリカの既得権益を守るべく中国沿岸部や長江流域の巡視にあたっているから、巡視艇みたいでもある。もとは19世紀末の米西戦争による戦利品という想定であり、ポロ船であるが、ベテランの機関兵であるマックィーンは、こじんまりした砲艦のほうが戦艦より居心地がいいと考えている。
ところが、サンパブロ号に着任してびっくり、機関室にはたくさんの中国人が働いている。口出しすると中国人ボスがイヤがる。機関室だけではない、船中に中国人が住み着いている。コックに散髪屋、洗濯夫、甲板掃除……。別にアメリカ軍が雇用しているわけではない、雑用手伝いと食糧の交換でいつのまにかたくさん入り込んでいるのだ。だから、砲艦内部は二重権力状態になっていて、船長も機関室には入ってこない。

◆誠実な水兵であるマックィーンには他の米兵のような中国人蔑視の考えはない。なんとかして、中国人の負け犬根性を払拭したいと思っている。とくにマコ岩松演じる中国人青年に蒸気機関の説明をしたり、ボクシングのセコンドについて応援したりするエビソードは感動的である。だけど、中国民衆の完全独立運動は激しくなるいっぽうで、「ゴーホーム・外国の悪魔」がスローガンになり、アメリカ人と仲良くする中国人は見せしめにあったりする。マコ岩松も裏切り者として公開処刑のような目にあい、マックィーンは悲痛な決断をしなければならない。サンパブロ号にいた中国人もやがていなくなる。そして、中国人の小船が砲艦の周囲を取り囲むなど、一触即発の緊張関係に発展していく。

◆いったいどこで撮影したのだろうか、中国本土ではないはずだが、見事なまでに当時の中国らしい雰囲気を再現している。そして、アメリカ人も中国人もステレオタイプに描いていない。悪い中国人もおれば、狡いアメリカ人もいるといった具合。とりわけ、アメリカ人伝道師は呑気というか、せっかく救出に来た米兵に、国籍を離脱したからもう安全だ、帰れというありさま、かくてマックイーンたちは局地的な戦禍のなかに巻き込まれていく。
歴史映画であり、戦争映画であり、異文化が衝突する映画でもある。3時間を超える大作だが飽きさせない、それにしても、スティーヴ・マックィーンって、いい俳優だったんだなあ。
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by chaotzu | 2006-01-03 22:55 | 外国映画