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マイ・ラスト・ソング

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2005年 01月 20日

言い得て妙の「ITゼネコン」

◆1月18日放送のNHK「クローズアップ現代」は“ITゼネコン”がテーマでなかなか興味深い内容でありました。
 地方自治体の情報システムは富士通、NEC、日立などの大手ベンダー(及びその系列子会社群)の寡占状態で、初期調達段階で入り込んだら、後はメンテナンスやプログラム修正でぼろ儲けしているとのこと。卑小な喩えであるが何やらプリンタのインク代を連想せぬでもない。番組の紹介事例では住民800人程度の住居表示変更のブログラム修正費用が500万円余、そりゃぼったくりすぎですわ。それにしても「ITゼネコン」って言い方、今まで知らなかったけど、うまい言い回しに思わず感服。たしかに公共事業にたかってるということでは同類だし。
言い得て妙の「ITゼネコン」_b0036803_19203657.jpg◆番組では、汎用機のプログラム・ソースがブラックボックスになっている問題や役所の人間がシステムに疎いため、ベンダーのほぼ言いなり状態になっているとのコメントがあった。それもあるだろうけど、硬直した予算制度が抱える問題も大ありだろう。ついた予算は完全消化、常に前年度比増額の予算計上が役人のレゾン・デートルだから、そもそも予算を減らそうというモチベーションに乏しい。企業のような切実なコスト意識になかなか目覚めない。その典型的見本として社会保険庁の例がある。
◆それにしても地方自治体の情報システムだが、基本設計では自治体による差なんてあまりないだろう。IT化はどんどん進むだろうに、ちゃちなプログラム修正で何百万円も取られているようでは、将来の巨額負担が心配になる。規模の似通った府県や市町村が協同して開発するとか、ソフトのパッケージ化などを今のうちから進めておくべきと思うが、これは素人考えだろうか。銀行なんかもシステム開発では複数行が協同して取り組んでいると聞くがどうだろう。
 また。ベンダー側企業も目先の大儲けじゃなくて、長期的な利益の確保という観点を重視してほしいものだ。荒稼ぎは長つづきしませんよ。
◆いま朝日新聞と全面バトル状態でどうしようもないNHKだが、たまにこういう報道番組があるのが救いである。もともと優秀なディレクターがいるんだし、調査報道の実力そのものは民放とは比べものにならないと思う。それなのに、最近の“プロジェクトX”なんて民放と見まがうばかりの企業ヨイショのパブ番組になっている。もったいないことだ。

by chaotzu | 2005-01-20 19:41 | 時事


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